【開催レポート】Monozukuri Venures、ロボット業界の最先端がわかるオンラインイベントVirtual Demo Dayを開催
株式会社Monozukuri Ventures
「ロボティクス」と題して、日米ロボット業界それぞれの特徴とマーケット動向、ロボットを操作・制御するソフトウェアスタートアップを紹介。
ハードテック・スタートアップ特化型投資ファンドを運営する株式会社Monozukuri Ventures(本社:京都市及び米国ニューヨーク市、CEO:牧野成将、以下「MZV」)は、市場動向やスタートアップを紹介するオンラインイベント「Monozukuri Ventures Virtual Demo Day」の第7回を5月13日に開催しました。
Monozukuri Ventures Virtual Demo Dayとは
テーマごとの業界動向やスタートアップの紹介、情報交換の場を提供する当社主催の無料オンラインイベントです。
多くの日系企業が出資を検討する調達額10億円以上の企業ではなく、調達額が1億~5億円程度のスタートアップの技術やサービスにいち早く出会えます。
https://monozukuri.vc/ja/events/monozukuri-virtual-demo-day/
第7回ではロボティクスと題し、ロボットを操作・制御するソフトウェアスタートアップを紹介しました。また、後半では同分野で事業を展開する日本のスタートアップ4社をお招きし、パネルディスカッションを行いました。また、今回は初めて、オンラインとオフラインの同時開催を実施しました。
ロボット業界の概要
イベントの冒頭では、弊社投資チームで主に米国スタートアップを担当している中島功から日米ロボティクススタートアップの動向及び当社が注目する米国のスタートアップについてご紹介しました。
ロボット業界は大きく分けて産業用ロボット、サービスロボットの2つに分類でき、前者は製造用途の固定型ロボット、搬送用途の移動型ロボットが主に活用されています。
ロボットマーケット動向(日米比較)
日本はロボット生産量で見ると世界1位(※)です。一方で、人材不足やデータ収集が不十分なためAIなどのデータ活用の促進が課題となっています。ロボットのティーチング人材が大きく不足していることも課題の一つです。
対してアメリカは、産業ロボットの主要メーカーは外資系という状況で生産には強くありません。しかし、今まで需要の大きかった自動車産業だけでなく、様々な産業にて自動化を導入する動きが広く出ています。さらに近年ではデータ活用を前提とした「RaaS(Robotics as a Service)」が広まりつつあります。
このように、日本はロボット生産に、アメリカはデータ活用に強みがあるといえます。
(※) 出典元:IFR プレスリリース 2022年3月10日
https://ifr.org/ifr-press-releases/news/japan-is-worlds-number-one-robot-maker
ロボット業界構造の違い
日本ではエンドユーザーがロボットを使用する際、多くの場合システムインテグレーター(SIer)が介在します。一方米国では、図のように3つのケースに分類されます。
1つ目は日本同様にSIerが介在するケース。2つ目は大手ロボットメーカーが直接エンドユーザーに導入されるケース。こちらはエンドユーザー側のソフトウェア担当部署がSIerの役割を果たします。3つ目はソフトウェア企業を介在させるケース。こちらはソフトウェア企業がSIerの役割を果たしています。しかし、SIerとは異なり、エンドユーザー側に毎回カスタマイズすることはなく、ソフトウェアに付随したパッケージ製品として売り出していることです。さらに、近年米国ではこのソフトウェア企業がRaaSモデルを展開する事例も出てきています。RaaSモデルではエンドユーザー側でCAPEX(Capital Expenditure)を削減できるというメリットがあります。
MZVが注目するロボティクスソフトウェア領域の日本スタートアップ
イベント当日は当社投資先を含めた日本のロボティクススタートアップ企業5社が登壇しました。
ラピュタロボティクス
ラピュタロボティクスはソフトウェア、ハードウェア、AIと幅広く展開していますが、主にソフトウェアに強みを持つスタートアップです。資金調達額は100億円に達しています。(2022年5月時点)ラピュタロボティクスは強みである群制御技術を生かして、rapyuta.ioプラットフォームという群制御の開発、管理プラットフォームを提供しています。様々な分野で活用できますが、現在のコアマーケットは物流倉庫になっています。
ugo
ugo(旧社名: Mira Robotics)は遠隔操作ロボットにより、人手不足を解消するビジネスを目指すスタートアップです。警備、監視、清掃などビルメンテナンスサービスや遠隔ビル警備サービスでの利用を進めています。自動運転と遠隔操作のハイブリット・ロボット、運転・監視用のアプリとUI/UX、クラウド上のデータ蓄積を垂直統合したプラットフォームを目指し、他社ロボットに対してもAPIを公開してプラグインできる世界を目指しています。
※当社ファンド投資済
KiQ Robotics
KiQ Roboticsは北九州発のスタートアップです。ロボットに手(ハンド)と目(センサー)をつけたパッケージ商品であるQuick Factoryを提供しています。その中のPick & Placeパッケージでは、作業前後の様子を認識させるだけで、ロボットが自動で作業を行います。この企業はハンドに強みを持っており、人の指先のように柔らかさを持たせることで、さまざまなものを掴めるという特徴があります。
Octa Robotics
Octa Roboticsはサービスロボットの障壁を取り払うシステムを開発しているスタートアップです。サービスロボットの導入には自動ドアなどの横の障壁とエレベーターなどの縦の障壁があります。現在、Octa Roboticsは縦の障壁に取り組んでいます。エレベーターに取り付けられたユニットとサービスロボットがOcta Linkで連携することで、自由な移動を可能にしています。さらに、メーカーに関係なく作動するよう標準化への取り組みも行っています。
Robofull
Robofullはパッケージ型のロボットシステムを販売して中小製造業の人手不足解消を目指すスタートアップです。生産工程それぞれに対して、オーダーメイドではなく標準パッケージ化して提供しています。さらに、Manufacturing Process Database(MPD)という国内の中小製造業が保有している設備・工程をデータベース化したものを開発しました。中小企業が保有している工程を検索したり、ある工程を有している企業を検索することが可能です。このデータベースを用いて、次に標準パッケージ化する工程を検討しています。
日本のスタートアップによるパネルディスカッション
最後には、オフラインでピッチ登壇いただいたugo、KiQ Robotics、Octa Robotics、Robofullの方々のパネルディスカッションをお届けしました。モデレーターには、株式会社シグマクシスにてIoT・ロボティクス分野のコンサルティングを数多く手掛けられている桐原慎也氏をお招きしました。
パネルディスカッション内では、今のロボット業界の課題やアメリカ企業の動きに対する意見、今後のロボットスタートアップなどについて幅広い議論が行われました。
今後の開催予定について
MZVではハードテック特化型のVCから見た、さまざまな業界動向や有望なスタートアップをご紹介しています。
ご興味のある方は下記URLから当社ニュースレターへご登録下さい。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSevHBTBGxIXF3oNr7mrcILt3AG-TRRNCTgxVa7_QwHos917Hg/viewform
過去に開催したVirtual Demo Dayのアーカイブ動画一覧
https://monozukuri.vc/ja/contents/?group0=gr1_virtual-demo-day
Monozukuri Venturesについて
株式会社Monozukuri Ventures(略称: MZV)は、京都とニューヨークを拠点に、ハードテック・スタートアップへのベンチャー投資ファンドの運営と、ハードウェアの試作・製造に関する技術コンサルティングを提供する企業です。
2020年1月に、Makers Boot Campを運営する株式会社Darma Tech Labs(京都市)と、FabFoundry, Inc.(ニューヨーク市)が、2社のハードテック・スタートアップ支援の経営資源を結集して発足しました。MZVが運営するMBC試作ファンドは2017年夏に1号ファンドが、2021年に2号ファンドが発足しました。これまでに日米のハードテック・スタートアップ53社(日本24社、米国29社)に投資しています。また、試作から量産に至るまでの知見とネットワークを活かし、技術コンサルティングを提供しています。スタートアップを中心に現在に至るまで150件以上のプロジェクトを支援しています。(数値はいずれも2022年5月時点のもの)