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コロナ禍の分断を越え、大企業協創スペースは新たなステージへ

JAPAN INNOVATION DAY 2022 「次世代につながる大企業内共創スペースの将来像を知る」レポート

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2022

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Innovation Space DEJIMAとhoops link tokyo:2つの大企業内共創スペース

 Iinnovation Space DEJIMAは五反田駅にほど近いビルの13階に位置しており、ミートアップやワークショップに利用できる120名程度収容可能なスペースを持っている。CTC+伊藤忠グループのグローバルネットワークを活かして、新規事業開発を含むイノベーションの創出を実現するのオープン・イノベーション・スペースとして創設された。

 伊藤忠グループにはCTCのようなIT企業のほか、クリエイティブやベンチャー投資など様々な業種の企業があり、それら及びグループ外の会社とも連携しながら、スタートアップから大企業までマルチインダストリーで運営している。

 Innovation Space DEJIMAはCTCがカタリストとなってスタートアップと大企業をつなぐCTC Open Innovation Platformという枠組みで活動している。

 「Innovation Space DEJIMAという名前で場所を持ち、そこでワークショップなどを開催してコミュニティを作っていく。そしてCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるCTC Innovation Partnersがベンチャー企業への投資や共創のためのJV設立の機能を持っている。スペース場と投資機能の2つの武器を使いながら、CTC自らリスクテイクする新規事業創出に挑戦しながら運営している。」(五十嵐氏)

 Innovation Space DEJIMAの運営組織はCTCの未来技術研究所に所属している。CTCはIT企業で、下図のDigital Technologyが正業であったが、そこからBusiness領域に伸ばしていくところに課題を抱えていた。前述の二つの武器を活用しながらITベンダーとしてBusinessに踏み出すことに挑戦している。

 「最近(下図の)Digital Technologyへの期待が高まり、BusinessイコールDigital活用と言っても過言ではない。Digital Technologyの輪とBusinessの輪が近づく中で、共創パートナーと一緒に事業アセットや人材やファイナンスを活用して新しい価値を創出しようとスペース運営している。」(五十嵐氏)

 Innovation Space DEJIMA設立の翌年、2018年には一般社団法人五反田バレーが設立され、品川区の後押しもありオープンイノベーションへのムーブメントが地域で生まれてきた。様々なスタートアップとの接点ができたり、コミュニティのディスカッションの中からワークショップの開催へとつなげられたりと、立地の恩恵に預かり、Innovation Space DEJIMAにとって非常に幸運な開設タイミングだった。

 一方hoops link tokyoは渋谷文化村通りに面したビルの6階にあり、定員80名で利用可能なスペースが設けられている。運営する三井住友ファイナンシャルグループデジタル戦略部の従業員が常駐し、金融に限らず、スタートアップ・自治体・大学・大企業などがあつまり、「新たな出会い・アイデア・挑戦」が生まれることを企図したオープンイノベーションの場となっている。

 hoops link tokyoの入口(下図)は1920年代の米国の銀行の貴賓室をイメージしたものとなっており、そこから入るとレンガ造りを模した壁など禁酒法時代の隠れ酒場をモチーフにしたインテリアデザインのコワーキングスペースが展開されている。

 「金融業界は、FinTechという形で業界以外の方が入ってくるなど競争にさらされており、我々も新たなステージへ踏み出す必要がある。グループCEOの太田も殻を「カラを、破ろう」、と言っていて、そのコンセプトに合うのが禁酒法時代にカクテルを生み出した隠れ酒場だというわけでこの施設を開設した。」(下入佐氏)

 社外とのコラボレーション、オープンイノベーションを創出する場として開設されたhoops link tokyoだが、社内に対しては従来の金融機関に染みついていたマインドセットに変更を迫るドライバーとしての役割も期待されている。従業員向けのセミナーなども含めてコロナ前は年間240件程度のイベントが開催されており、そこから生まれたコミュニケーションを起点に新しい事業が創出されるなどの事例が生まれてきている。

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