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日本MS、スタートアップ支援「Microsoft for Startups Founders Hub」を開始

資金/コスト、テクノロジー、メンタリングという3つの側面からスタートアップを支援

 日本マイクロソフト(日本MS)は2022年4月19日、スタートアップ企業に対する新たな支援策として、「Microsoft for Startups Founders Hub」を開始すると発表した。「すべての人にイノベーションを」「スタートアップとともに育つテクノロジー基盤」「スペシャリストによるメンタリング」という3つの柱を掲げ、包括的な支援を行う。2021年10月から北米などで提供開始しているプログラムで、このほど日本を含むアジア地域でも新たに展開する。

日本を含むアジア地域でもスタートした「Microsoft for Startups Founders Hub」の“3つの柱”

日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部 クラウド事業開発本部長の原 浩二氏、同統括本部 クラウド事業開発本部 ビジネスデベロップメントマネージャーの戸谷仁美氏

スタートアップの成長に合わせて支援の規模も成長

 Microsoft for Startups Founders Hubでは、起業家がスタート時に直面する資金やコストなどの課題を減らし、さまざまな人が起業に挑戦できるよう支援する「すべての人にイノベーションを」、スタートアップの成長ステージに合わせたテクノロジーへのアクセスを提供する「スタートアップとともに育つテクノロジー基盤」、そして世界中のマイクロソフト社員が参加するメンタリングネットワークを利用して、起業家が持つ課題を解決する仕組みを提供する「スペシャリストによるメンタリング」という“3つの柱”で構成されるプログラムだ。

 スタートアップ企業はまず、最大4年間で15万ドル(約1800万円)相当のMicrosoft Azureサービスが利用できる。これに加えて「アイデア化」ステージでプロトタイプ開発を行う際には1年間1000ドル分のAzureクレジット、以降も「開発」ステージでは1年間5000ドル分、「成長」ステージでは製品を発売し顧客を獲得するために1年間2万5000ドル分、会社の規模拡大を狙う「拡大」ステージでは12万ドルのクレジットが、それぞれ提供される。

 テクノロジー面での支援としては、「GitHub Enterprise」や「Visual Studio Enterprise」「Microsoft 365」「Power Automate」などの開発/生産性向上ツールを無料で利用できる。また、Azure専任エンジニアによる24時間365日のサポートが利用できる「Azure Standard Support Plan」、テクニカルスペシャリストによる技術メンタリング「Azure Technical Advisor」、マイクロソフトのエンジニアによるハンズオントレーニング「Open Hack」への招待なども行う。

 そのほか、ベンチャーキャピタルによる投資要件の提示や、第三者によるビジネス検証、「Microsoft Learn」を通じた起業特化のトレーニング、メンタリングによるサポートなども提供される。

Microsoft for Startups Founders Hubにおける支援の概要

 日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部クラウド事業開発本部長の原浩二氏は、「今回のMicrosoft for Startups Founders Hubは、市場の変化を捉えるとともに、スタートアップからのフィードバックに基づいて強化した支援プログラム」だと説明した。メンタリングにおいては、特定業界に対する知見や企業経験、あるいは機械学習などの技術的な専門性を持つマイクロソフト社員が対応を行う。また、マイクロソフトとの共同プロモーションやイベント開催など、事業支援の観点からもサポートすると述べる。

 加えて、OpenAIが開発した自然言語モデル「GPT-3」が利用できる1000ドル分のクレジットや、OpenAIのAPIを利用できる3カ月分無償のイノベーションライセンスも提供する。原氏は「多くの起業家にOpenAIのプラットフォームを利用してもらうことで、開発の品質を高めることができる」と語った。

 「日本マイクロソフトでは、スタートアップ企業は重要な顧客であるとともに、次代を担う重要なパートナーになると考えている。マイクロソフトのスタートアップチームのビジョンは、スタートアップの戦略的なテクノロジーパートナーになること、すべてのスタートアップをあらゆる事業フェーズで成功に導くこと、スタートアップの成長をグローバルに後押ししていくことの3点だ。日本のスタートアップ企業の海外展開も、これまで以上に後押ししたい」(原氏)

これまでのスタートアップ支援ではすでに成果も

 日本マイクロソフトでは、2016年からスタートアップ企業向けプログラムを開始。各種ツールを提供したり、日本の専任チームがローカルでサポートしてきた経緯がある。日本では600社以上、グローバルでは2万社以上に及ぶスタートアップ企業支援のネットワークを構築しているという。

Microsoft for Startupsのグローバルネットワーク

 国内におけるこれまでの成果として、Telexistenceとの小売業向けロボティクスサービスに向けた協業、Rapyuta Robotics(ラピュタロボティクス)との物流および製造分野における倉庫内オペレーションの効率化に向けた連携について紹介。さらに、LayerXとはブロックチェーン分野での協業を発表しているほか、センシンロボティックスとはドローン活用によるインフラ設備点検や災害対策、現場管理の効率化と安全性向上を実現している。コミュニティオでは、組織パフォーマンスの向上を支援する「TeamSuite(チームスイート)」を開発し、Teams連携によるリモートワークのコミュニケーション強化サービスとして、NECや東急建設、長谷工コーポレーションなどが導入しているという。

センシンロボティックス、コミュニティオとも連携している

 日本マイクロソフト コーポレートソリューション統括本部クラウド事業開発本部ビジネスデベロップメントマネージャーの戸谷仁美氏は、「ここ2年ほどは、大手企業が新規事業開発や既存事業の刷新を目的に、スタートアップ企業を探し求めるケースが増えており、今後もその傾向は増えると見ている」と語った。顧客企業の新規事業開発担当者やCVC担当者、情報システム部門から、新規事業開発の相談をもらうことが増えているという。

 またマイクロソフトでは2020年から、衛星通信や衛星データなどを活用できる「Microsoft Azure Space」を提供しており、戸谷氏は「今後、宇宙関連のスタートアップ企業の支援も行っていく」と語った。

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