メタバースにより、私たちは何ができるようになるのか?
「PLATEAU CONNECT Session 03」レポート
PLATEAU CONNECT Session 03開催
PLATEAUはメタバースと、どのように関係するか
現実の都市空間を3D都市モデルとして再現する国土交通省のプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」。そのPLATEAUを軸に、さまざまな領域の有識者が参加して、都市空間データを利用した新しい事業創造を社会全体で惹起していくためのトークセッションイベントが「PLATEAU CONNECT」だ。
第3回、Session 03の議題は「3D都市モデル×メタバースの最新テクノロジー」。オープンデータ化プロジェクトであるPLATEAUが、話題の“メタバース”とどのように関係し、またどのような可能性が生まれるかについて議論された。
初めに、Symmetry Dimensions Inc. Founder & CEOの沼倉 正吾氏、博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター開発1G テクノロジストの目黒 慎吾氏、ブレイクポイント株式会社 代表取締役でXVC LLP 創業メンバーの若山 泰親氏がゲストとして登壇し、事業内容を今回のテーマに絡めながら紹介した。
現地調査に数ヶ月かかる解析を数時間で実現
Symmetry Dimensions Inc.は、デジタルツインのプラットフォーム開発を手がける企業だ。代表の沼倉氏は、「デジタルツインそのものは従来から存在していた考え方で、製造過程の品質チェックや、製品の改良などに活用されてきた」と話す。そのコンセプトを、都市のような広大な空間に当てはめていくことが、都市でのデジタルツインの活用につながっていくと解説した。
同社が提供しているサービス「SYMMETRY Digital Twin Cloud」は、PLATEAUをはじめとしたオープンデータや、インターネット上のAPIと連携し、さまざまな3次元データや2次元データを統合。3D都市モデルの構築を容易にするというソリューションだ。
2021年には、複数の企業と協業し、「デジタルツイン渋谷プロジェクト」を実施。渋谷区が保有していた公園の管理情報といったデータをデジタルツインの3D都市モデルに統合し、3Dモデル上で桜の木をクリックすると、瞬時に桜の管理状況が確認できるデジタルツインモデルなどを、実証実験を通じて構築した。
また2021年7月の伊豆山土砂災害においては、静岡県が保有していた点群データを元に、現場の3Dモデルを作成。どこを起点に災害発生して、どのような過程で土砂が流れたのかを解析した。
沼倉氏は「従来なら、現地調査に1ヶ月や2ヶ月かかる解析を、数時間で実現できた」とし、3次元データを使うと、状況がわかりやすくなり、企業、自治体、研究機関のデータを統合していくことで、より精度の高い状況把握が可能になる」と、デジタルツインの可能性に言及した。