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特許から見るデジタルセラピューティクス(DTx)

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知財で読み解くITビジネス by IPTech

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国内外での著名なDTxをチェック

・BlueStar(Welldoc社)

 最初に紹介するのは、糖尿病患者の治療を補助するアプリケーション「BlueStar」です。世界初のDTxであり、アメリカでの治験で治療効果が実証され、2010年にアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から承認されました。

 BlueStarは、スマートフォン、またはタブレット端末にインストールされて糖尿病患者に利用されます。日々の血糖値等を入力すると、データに基づき、バランスの良い食事を促すメッセージや、運動を促すメッセージ等が患者に与えられます。通院治療と並行してBlueStarを利用することで、定期的な医師からの指導に加え、継続的な自己管理が可能となります。

 まだ日本では事業化されていませんが、2019年からアステラス製薬が日本での商業化を目指している最中です。2022年3月までに治験入りする予定となっています。

・AKL-T01(米国製品名:EndeavourRx)(Akili社)

 続いては、8〜12 歳の⼩児の注意欠如・多動症(ADHD)に対するゲームベースのアプリケーション「AKL-T01」です。AKL-T01は、2020年にFDAから承認され、世界初のベームベースのDTxとなりました。

 AKL-T01は、スマートフォンやタブレット上で操作するゲーム形式の治療法であり、認知機能において重要な役割を果たすとされる脳の前頭前野を活性化するように設計されています。治療セッションを完了した患者の進捗状況を秒単位で監視し、各患者に最適なレベルの課題を継続的に与え、患者のパフォーマンス向上を促します。

 こちらも日本では事業化されていませんが、2019年から塩野義製薬が国内商用化を目指している最中です。現在、薬事承認を目指して治験進行中となっています。

・CureApp SCニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー(CureApp社)

 前述したCureAppによる日本初の薬事承認ならびに保険適用を受けた製品です。ニコチン依存症の心理的依存にアプリを通じてアプローチし、患者の考え方や行動を正しく変容することで正しい生活習慣に導き治療するデジタル療法です。

 同製品は、2020年6月に治療用アプリとして国内初の薬事承認を取得しました。アジア初のDTxであり、ニコチン依存症の治療を補助するアプリとしては、世界初の承認でした。そして、2020年の11月に、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で、公的医療保険の適用対象として認められました。2022年1月においても、保険適用される唯一のアプリとなっています。

 CureApp SCニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーは、患者が治療経過等を記録する「患者アプリ」、患者が自分で呼気中の一酸化炭素濃度を測定する「COチェッカー」、医師が患者の状況を把握できる「医師アプリ」から構成されます。

 患者は、患者アプリに、自身の治療状況と、COチェッカーにより測定された一酸化炭素濃度を入力します。すると、患者アプリを介し、自身に最適化された治療介入が行われます。また、医師は、医師アプリにより、患者アプリで得られる日々の経過を確認することができるため、患者に対し適切な治療方針を策定できます。

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