災害備蓄を社会でシェア 防災テック6社がピッチ
「IoT H/W BIZ DAY Product Pitch 2021」
防災ソリューション「Ai-SYSTEM」
地盤条件の調査で情報の精度向上へ
まず、株式会社エーアイシステムサービス プロジェクトリーダー小穴久仁氏が登壇した。
過去から現在に至るまで、自然災害での犠牲者はなかなか0にすることができず、今後起きるであろう大地震などの災害でも大きな犠牲者が出ることが予見されている。そんな中、日本で運用が始まった緊急地震速報には、2つの種類がある。1つ目はテレビやスマートフォンなどから発信される一般向けの速報だ。こちらはエリアごとに発信されるため、詳細な情報を得る事はできず、実際に何かアクションを起こす事は難しいと言わざるをえない。2つ目は高度利用者向けの速報である。一般向けの速報とは異なり、その場所に対しての震度、揺れの到達時間など詳細な情報を得ることができる。また、放送で呼びかけることや自動的に設備運動をかけることができ、命・生産設備・施設を守ることにもつながる。
同社の提供する「Ai-SYSTEM」は、ボーリング資料で地下の構造を調べたり、過去の地形図や空中写真から地形条件を判読したりと、その場所ピンポイントの地盤条件を専門家が調べ、震度予想の精度向上を図っている。「ここまでやっている会社はなかなかないのではないか」と小穴氏は自信を伺わせた。愛知工業大学の研究者と共同で開発を行ない、精度向上を図っているのも特徴の一つである。「安否確認・連絡アプリ等が防災情報と連動するようになれば、より強固な防災ソリューションになるはずだ」と外部との提携を模索中であると話した。
「現在は自動車業をはじめとする製造業・学校等がメインの顧客であるが、今後は食品メーカーや物流センター・医療機関などにも展開していきたい。防災ソリューションの活用はまだまだこれからである」と意欲的に語った。
7分のプレゼンののち、審査員による質疑応答の時間が始まった。
「予想震度の精度が向上する事によってどれくらいのインパクトがあるのか」という牧野氏の質問に対し、「震度の大きさで災害のインパクトは大きく変わってくる」と小穴氏。「緊急地震速報を鳴らす震度を任意で設定できる。利用者によって必要な設定は変わってくるので、コンサルティングした上で設定していきたい」と語った。
「競合はあるか。それともオンリーワンなのか」という残間氏の質問には「(高度利用者向情報に関しては)競合は沢山あるが、コンサルティング、地盤条件の解析には専門的な知識が必要である。代理店を通さないので細かなコンサルティングができるのは当社が優位な点」と直販ならではの強みをアピールした。