「つながる」、「知る・学ぶ」、「試す」、「発信する」
四つの循環を繰り返す
第二部では横浜未来機構事務局・事務局長、古木淳氏が登壇。事前に会員へのアンケートを実施し、「つながる」、「知る・学ぶ」、「試す」、「発信する」という4つの視点から今後の活動内容について説明を行った。
ひとつ目は「つながる」。「ゆるやかな交流会」「テーマ毎のディスカッション」「未来人材が集まる交流スペース」に対して「それほど興味ない」の回答は0%~6%と極めて低く、イノベーションの創出はつながる事でしか生まれてこないという考えは、会員の中でも色濃いことが伺えた。
今後の取り組みとしては、事務局で情報を一元管理し、会員間の交流・多様なステークホルダーとの交流の機会を創出していくことを約束。古木氏は「(今後の展開を)期待していて欲しい」と意欲を示した。
2つ目は「知る・学ぶ」。こちらも会員たちの関心は高く、「行政や業界の課題・ニーズを知る勉強会」について「大いに興味あり」「興味あり」と答えたのは全体の94%に上る。中には、行政と民間企業と連携するためのハブ・接点としての機能を期待する声もあった。また、持続可能な未来づくりのひとつとして「学生と企業との連携」にも関心が寄せられている。
今後の活動として、「行政の課題をみんなで考える場」と「5Gに関する学びの場」が挙げられた。前者は区役所における健康づくりについての課題を説明し、会員からアイデア出しを行なう場を準備中とのことだ。5Gに関する学びの場も複数回のセミナーに加え、実証実験とあわせた説明の場を提供していく予定である。
また、2021年11月18日には学ぶ場を一元化したウェブサイト「YOXOカレッジ」のキックオフイベントをウェブで開催。来年度以降、同機構が主体的に運営にかかわる予定と発表した。
4つの視点の中でも最も興味・関心があるとされたのが、「試す」である。特に実証実験に関しては「大いに興味あり」、「興味あり」の合計が96%にも上った。第一部でも話のあった通り、イノベーションはトライアル・アンド・エラーを通して生まれるものである。「みらい体験」を生み出すプラットフォームとしての役割への期待が、大いに反映される結果となった。
プロジェクト化に向けて実際に動き出している事例も紹介された。
古河電気工業発案の「インテリジェント歩道」は、歩行者と車の近接する環境でセンサーやLEDライト、音声を使用して安心安全な環境を作る、次世代インフラ活用した街づくりを目指すプロジェクトだ。公道での実験は困難で、現在実証実験に最適なフィールドを確保すべく調整を継続中である。古木氏は「実証実験を行いたいシーズ側と、フィールドを提供するニーズ側でWIN WINの関係を築きたい」と構想を述べた。
日産自動車、NTTデータ、Swapが発案した、モビリティでの相乗りアプリとビジネス交流を足した「アイモビ構想」である。オンデマンドシェアモビリティ「アイモビ(仮称)」は、イノベーティブな人同士が車の移動中に知り合える機会を作るコミュニケーションツールだ。新しい移動の価値創出を目指し、アンケートやヒアリングを行っている。古木氏は「企業の利益のみならず市民や街の価値を生み出していきたい」と語った。
その他の取り組みとして、「β版フィードバック・サポート制度」も紹介された。新たなアイディアをいち早く検証するボランタリーなサポーターのことで、会員の有無にかかわらず個人で応募ができるようになるとのことだ。応募方法は、今後横浜未来機構Webサイトにて掲載予定。
最後に「発信する」だ。今年度は「つながる」、「知る・学ぶ」、「試す」の3つの視点を優先していたが、ビジネスエリアプロモーションの実施、ウェブサイトの改修など、来年度以降強化を行なっていくと発表した。
「4つの循環を繰り返し、対企業の価値のみならず、横浜のイノベーションエコシステム、文化、ムーブメントを構築していきたい」と古木氏は今後の展望を語った。その上で「相談してほしい」、「ぜひ、意見を聞かせてほしい」と強調。会員へのプロジェクト参画、非会員へ参加の検討を訴えた。