本記事はヴィームソフトウェアが提供する「Veeamブログ」に掲載された「V11:Veeam NASバックアップの性能と復元力を最大限に発揮」を再編集したものです。
Veeam Backup & Replication v10では、大規模なNAS共有とファイルサーバーの保護機能がリリースされましたが、ここで大きな差別化のポイントとなったのは、ストレージを選ばないアプローチ、そして非構造化データの超高速増分バックアップでした。また、v10のNASバックアップでは、必要なときに必要なものを復元する、高速かつ効率的なNASデータの復元も可能になりました。これらの差別化のポイントについて、詳細はこちらをご覧ください。
Veeam Backup & Replication v11でも引き続きこのNASバックアップのエクスペリエンスに重点を置いていますが、v11では復元機能の拡大が特徴となっています。
変更ファイル追跡のネイティブのストレージインテグレーション
Dell EMC IsilonやNetApp ONTAPといったNASデバイスは、非構造化データ(ドキュメント、プレゼンテーション、グラフィックなどユーザーが毎日作成するデータ)に加え、IoTデバイスが毎秒作成している膨大なデータの保存場所として、もはや標準となっています。この2社のストレージベンダーは、画期的なストレージスナップショットの技術や手法も開発してきました。そこでv11では、スナップショットに適したアプローチをさらに一歩進めて、これらのストレージシステムに統合し、ネイティブのストレージスナップショットをオーケストレーションして、それをバックアップのソースとして使用できるようになりました。
Veeamはこれまで、Universal Storage APIによる強力なストレージインテグレーションを実現しており、ストレージシステムとの直接統合によって、本番環境への影響を抑えてRPOを大幅に向上させることを可能にしています。
ここでの主なメリットは、本番NASボリュームへの影響を排除できることです。具体的に言えば、ファイルプロキシによって、本番NAS共有ではなくストレージスナップショットからデータが読み取られます。また、バックアップの時点でユーザーがファイルを開いていても、そのファイルがスキップされることがなくなるため、ファイルロックの問題の解消にもつながります。
Dell EMC Isilon:変更ファイル追跡
NASバックアップ機能によるVeeam Backup & Replication v10の主な特徴は、前回のバックアップ以降の変更内容を迅速かつ効率的に把握できる点にありました。この機能は「変更ファイル追跡」と呼ばれ、イメージベースバックアップの「変更ブロック追跡」と類似しています。
v11では、Dell EMC Isilonで変更ファイル追跡を有効にするオプションが追加されます。これとストレージスナップショット統合を合わせることでNASバックアップのパフォーマンスが向上します。
NASインスタントリカバリによるダウンタイム中のアクセス維持
v10とNASバックアップにより実現した中で特に優れた機能の1つが、ランサムウェア関連のユースケースでした。具体的に言うと、正常なリストアポイント、つまりは攻撃前の段階までロールバックすることでランサムウェアに対抗できるというものです。これは修復プランの最終ステップ向けの優れたオプションではありますが、その修復プランの実施中は、従業員全体がその重要な非構造化データにアクセスできなくなります。NASを分離したか、あるいはデータがランサムウェアに感染して暗号化されているからです。
v11では、サイズに関わらず、最新の正常なリストアポイント、あるいは任意のリストアポイントを、マウントサーバー経由でパブリッシュすることで、ユーザーが少なくともデータにアクセスできるようになります。ただしv11の時点では、この機能はSMB共有に限定され、パブリッシュ時には読み取り専用の状態になります。その修復期間中は全てのITスタッフがサービスの復旧に集中することになるため、ユーザーが重要なファイルにアクセスできるというのは、改善点として大きな一歩と言えます。
修復が完了し、正常であると確認済みの最新のリストアポイントにリストアできたら、ユーザーは各自のファイルやフォルダを更新して作業を継続できるようになります。修復の段階でデータにアクセスできなくなるというダウンタイムは発生しません。
バージョンベースの保持の完制御
Veeam NASバックアップをご利用のお客様はおそらく、長期間データを保持するためのオフロードの際にバージョン管理を利用されたことがあるでしょう。v11では、このバージョン管理が拡張され、プライマリバックアップも確認されるようになりました。そのため、共通のバージョン管理手法によって、アクティブなファイルと削除済みファイルのバージョンに任意の上限値を設定できます。
重複排除アプライアンスのサポート強化
毎度のことですが、本リリースでもエンジンの機能強化や隠れたパフォーマンス改善を行いました。v10ではNASバックアップの保存時のファイル形式として、データをオブジェクト指向で保存するために64Mb Blobが使用されています。v11では、NASデバイスやファイルサーバーを、重複排除アプライアンスなどの多数の異なる場所にバックアップする場合のパフォーマンスを向上させるために、Blobサイズが1GBまで増加しました。この変更によって、Veeamと統合された全ての重複排除ターゲットで、前のバージョンと比べて約4倍の時間短縮が実現しました。また、同じデバイスからのリストアでも、リストアシナリオで1倍を超えるパフォーマンス改善が確認されています。
最後に、v11ではメタエクステントが導入されます。これにより、NASバックアップを重複排除アプライアンスに送信する際のパフォーマンスがさらに改善されます。これはメタデータを特定の場所に保存できる機能です(推奨される保存先はSSD)。この機能とエンジンの機能強化によって、フルバックアップと増分バックアップの両方で2倍を超えるパフォーマンス改善が実現されます。メタエクステントはScale-out Backup Repositoryで設定します。バックアップのパフォーマンスと同様に、リストアの運用でも、実際のデータではなくメタデータを使用することでパフォーマンスが改善されます。
NASデータが全てのビジネスにとって重要であることは誰もが知ることです。Veeamは今後も、NASデータの管理と保護をシンプルかつ信頼性と柔軟性に優れたものにするような新機能を追加することで、変革と絶え間ない努力を続けてまいります。
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v11のリリースにはAzureネイティブのバックアップと復元の機能も搭載されています(AWSネイティブについてはv10で対応)。現在、Veeam Backup & Replication、Veeam Availability Suite、Veeam Backup Essentialsのいずれかの製品をご利用いただいているお客様を対象に、AWSまたはAzureのワークロードをネイティブで保護できるVULを25個無償でお使いいただけるキャンペーンを実施しています。さらなる特典として、お好きなクラウドクレジット250ドル分もプレゼントしています。詳細についてはこちらをご確認ください。リンク先のページでキャンペーンに登録して、AWSやAzureワークロードのネイティブな保護を無償で始めましょう。
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