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生成AIのプロンプトがうまく書けないときのアプローチ(演繹法/帰納法)

2025年03月03日 19時00分更新

文● 山下 翔/FIXER

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 本記事はFIXERが提供する「cloud.config Tech Blog」に掲載された「プロンプトをもっと気軽に書いてみよう ~演繹法と帰納法を用いたアプローチ~」を再編集したものです。

 皆さん、普段から生成AIって使っていますか?私はほぼ毎日のように活用しますが、周りの人に聞くと「どう使っていいかわからない」とか「なんだか敷居が高くて…」なんて声も多いです。そこであれこれ考えているうちに、

 そもそもプロンプトを書いて回答を得るという一連の営みは、ビジネスで重要な「演繹法」や「帰納法」のアプローチと実は変わらないんじゃないか

 と思ったのです。

 例えば、私の郷里で恐縮ですが「秋田県が魅力的である」という結論があったとします。その下位のメッセージとして以下3つがあったとして、これらを導出するには演繹法・帰納法双方のアプローチがあります。

 何かの論点を考えるとき、こうしたイシューツリーのような形で考えて整理することがよくあります。

(ツリー化せずとも、自然にやっていることも多い)

 もしそうだとしたら、演繹法・帰納法と絡めてみれば、上のような声を挙げている人がどこでつまずいているのか見えてくるんじゃないかなと考えてこのブログを書いてみることにしました。もっと気軽にプロンプトを書くにはどうすればよいか考えてみます。まあ、半分は私自身の単純な疑問解決です。

プロンプト作成~回答生成までの一連の営みを分解・評価

 自分で考えることも大事なので、一から自分でメモ出ししてもみましたが、せっかく生成AIをテーマにしているので、生成AIGaiXerを使ってみました。最初に作成したプロンプトはこちらです。

 と、整ったように見えるプロンプトを書いてみましたが、実際の作業では、最初Step1と2まで指定して、出た結果を見てStep3を追加しました。

 最初から100%を目指さず、出てきたものを見てもっとこうしたいというのがあれば、トライ&エラーを繰り返せばよいのです。

 さて、出てきた回答はこちらです。

 ぱっと見よさそう。と思ったのですが、ここで一つ疑問が出てきました。

「#5 回答の評価は帰納法的アプローチなの?」

 回答の評価は、結論つまり回答の結果が目的と照らして合っているかを考えるので、演繹的なアプローチではないかと思ったからです。

 GaiXerに聞いたところ、以下の回答が返ってきました。

 「回答の評価」だけでなく、「再実行と再評価」についても直してくれました。新たにプロンプトを書き直してその結果を評価するのは、確かに両方関わってきそうです。

 当初着想したとおり、プロンプトを書いて回答を得る営みは、演繹的・帰納的アプローチの両方が関わっていると言えそうです。厳密には、行為の分解の仕方や、各行為に対する演繹的/帰納的の解釈は、人によって異なる部分はあるかもしれません。(例えば、情報収集はせずに、プロンプトを書き出すケースも相当数あると思うので)

 もっと厳密に考えると、奥深そうです。

プロンプト書く上で引っかかるポイントと打ち手

 では、プロンプトを書くことに敷居の高さを感じる人は、上のステップで言うと、どこで引っかかると考えられるか。

・・・「目的の明確化」と「初期プロンプトの作成」、つまり演繹的アプローチで引っかかることが多いのではないか、と考えました。

それぞれ見てみましょう。

・目的の明確化
 ・そもそもどういう用途で使えばよいかわからない
・初期プロンプトの作成
 ・最初どう文字を打てばよいかわからない
 ・最初から完璧なプロンプトを書こうとして息詰まる(行き詰まる)
 ・これらに対して有効なメッセージとして、

 「まずは帰納的アプローチをしてみよう!」

 と言えるのではないかと思います。

(硬いですね!)

 もう少し具体的に見てみます。

・目的の明確化に対しては・・・
 ・目的を明確にするまでの過程を、生成AIを使ってやってみる。なんとなくこうしたいというのがあるものの、解像度が低いなら、それを生成AIに伝えます。そうすると、色々ヒントが得られます。
 ・例えば、自分が所属する組織で色々問題があるけど、どうしたらいいかわからない、どこから手を付けたらいいかわからないとき、以下の一文を打つだけで色々ヒントを教えてくれます。
 ・そうすると、「どこに本当の問題があるか考えないとな。じゃあ問題を特定するためのプロンプトを考えよう」などと考えを広げていくことができます。

・初期のプロンプト作成に対しては・・・
 ・思いついたことだけまずは書いてみる
 ・どうプロンプトを書けばいいかを生成AIに聞いてみる

 と言ったことが考えられます。どちらも帰納的にパーツを作成していき、最後全体の結論を得る形にしていけばよいのです。

 上の例で言うと、「思いついた問題を書き出して、それを解決するにはどうすればよいか」を聞いてみるか、「問題を特定・分析するにはどうすればよいかもあまりよくわからないから、生成AIに聞いてみる」というアプローチもできます。問題の特定と分析をどう行えばよいか、深堀りしてみます。

 こんな感じでステップを示してくれます。

 これだけ出してくれると、その後も何かしら続けて考えることができそうですね。

 「演繹」「帰納」という言葉を持ち出して、少し回りくどく考えてしまったかもしれませんが、自分の中の敷居を下げて「ちょっとずつ使ってみる」という心意気が大事だと考えています。

 上で挙げた組織のことは、私が所属する部署でも今考えているところで、生成AIを使って決めた結果はまたどこかの機会で伝えられたらなと思っています。

 というわけで、私も組織の問題を生成AI使って深堀りして解決策を探っていこうと思います。

山下 翔/FIXER

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