2020年11月18日23時、AMDの“Big Navi”こと「Radeon RX 6000シリーズ」のうち、「Radeon RX 6800 XT」「同6800」の2モデルの販売が解禁された。
お詫びと訂正:掲載当初、Radeon RX 6800 XTのベースクロックに誤りがありました。該当部分を訂正すると共にお詫び申し上げます。(2020年11月19日)
同シリーズの概要はAMDが10月28日に開催したオンライン発表会で公開されているが、Radeon RX 6800 XTでライバルNVIDIAのGeForce RTX 3080対応、Radeon RX 6800でもGeForce RTX 2080 Tiや3070対抗という位置づけとなる。
ここしばらくAMDはGeForceのハイエンドと真っ向勝負ができる内容の製品を出せておらず、実際のパフォーマンスでもアッパーミドル~準ハイエンド程度にとどまっていた。競合するGeForceより価格が安くてVRAMが多め……という評価で終わった製品は非常に多い。
しかし、今回のRX 6000シリーズは、DXR(DirectX Raytracing)対応を果たし、さらにパフォーマンスを伸ばすさまざまな要素を投入し、現行GeForceのフラッグシップ(RTX 3080のこと)を上回るというデータを出している。AMDのCPUがライバルを置き去りにしたばかりだが、今度はGPUでもライバルに追い付き追い越すと謳っているのだ。これは何としてでも検証しなくてはならない。
今回は幸運にもメディア向けのリファレンスカードを試す機会に恵まれた。ただ時間が非常に短かったため、今回はRadeon RX 6000の概要解説とカード紹介、そして主要なベンチマークのみにとどめる。本格的なゲーミングパフォーマンス検証等は後編で本格的に検証することにしたい。
ハイエンドGPU市場で存在感が希薄だったRadeonが復活し、“強いRadeon”の名乗りをあげられるだろうか?
Radeon RX 6000シリーズのスペックと新要素は?
まずはRadeon RX 6000シリーズのスペックをざっと確認しておこう。Radeon RX 6000シリーズのプロセスルールは先代(RX 5000シリーズ)やRyzen 5000シリーズと同じ“7nmプロセス”だが、CU(Compute Unit)の数はRadeon RX 5700 XTの2倍近くに増え、ゲームクロック(ゲーム時におけるブーストクロックの目安)は2GHzを超えている。
GPUの規模が大きくなりクロックも上がると費電力も増えるのは必然だが、今回AMDは「BP(Borad Power)」、すなわち動作時のカード全体の消費電力(本稿ではTotal Board Powerと呼ぶ)も武器にしており、Radeon RX 6800 XTで300W、Radeon RX 6800で250Wとしている。
Radeon RX 5700 XTのTBPが225Wなので300Wはかなり増えたが、競合ターゲットであるGeForce RTX 3080のTGP(Total Graphics Power:TBPと実質同じ)は320Wなので、それよりもいくぶん消費電力は少ない。その上で“RTX 3080よりも高速”と謳っているのだ。
さらにVRAMは2モデルともに16GbpsのGDDR6を16GB搭載している。北米価格を基準にした時、699ドルのGeForce RTX 3080 FEのGDDR6X 10GBに対し、Radeon RX 6800 XTは649ドルでGDDR6 16GB。さらにGeForce RTX 3070 FEは499ドルでGDDR6 8GBだが、Radeon RX 6800は579ドルでGDDR6 16GB。このクラスのGPUだとWQHDや4Kプレイも可能だが、その場合8GB程度では厳しいシチュエーションも出てくるだろう。VRAMが欲しい人にとっては極めてお買い得感のある仕様になっているのだ。
Radeon RX 6000シリーズの詳細な解説は大原氏の記事にお任せするとして、ここではRadeon RX 6000シリーズを知る上で重要なポイントのみに絞って解説しよう。
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