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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第587回

ライバルと真っ向勝負を挑むRadeon 6000シリーズから見える自信 AMD GPUロードマップ

2020年11月02日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 すでにハッチパイセンの速報が上がっているが、日本時間の10月29日午前1時から、AMDはRadeon 6000シリーズの発表会をオンラインで開催した。この内容はYouTubeでも視聴できるが、この内容を整理して説明したい。

 まずは製品ラインナップだ。今回は合計で3製品が発表になった。そのラインナップであるが、おおむね下表のように位置付けられている。

Radeon 6000シリーズのラインナップと対抗機種
ラインナップ 対抗機種
Radeon RX 6900 XT GeForce RTX 3090対抗
Radeon RX 6800 XT GeForce RTX 3080対抗
Radeon RX 6800 GeForce RTX 2080 Ti/GeForce RTX 3070対抗

 GeForce RTX 3070についてはKTU氏の熱の入ったレポートがすでに掲載されているが、おおむねGeForce RTX 2080 Tiと同程度以上という結論であり、筆者がテストした結果もだいたい同じである。このあたりの層をRadeon RX 6800で狙おうというわけだ。

初代NaviのCU数を増やしただけではなく
内部構造を大幅に見直したBig Navi

 ではBig NaviことRDNA2チップについて説明しよう。大写しとなったこちらのパッケージは、良く見るとCU数が72個で、要するにRadeon RX 6800XTのものである。ダイそのものはCUが80個であるのは、しばしば示されている通りだ。

チップを示すLisa Su CEO。さすがにこれをアップにしても暗すぎてなんだかわからない

大写しとなったチップ。しかしこう、真ん中で分けると簡単に2つに分割できる構造になっているのがある意味わかりやすい

Su CEOの背後の画像を見ると、ちゃんと80CUになっている

 そのBig Naviは単に初代NaviのCU数を増やしただけではなく、内部構造を大幅に見直したとする。現時点では、それが具体的にどういう形になったかの詳細は明かされていない。ただ下の画像にあるように、3つがCUの特徴として挙げられている。

  • 広範囲できめ細かなClock Gatingを実施
  • 積極的なパイプラインのバランス取り直し
  • データの移動効率改善を目的としたデータパスの再設計

つまりCUの論理的な構造そのものは初代NAVIと同じで、ただしより省電力化と高速動作対応を図ることで、より高い動作周波数での駆動が可能になったということだ

 一方Big Naviで新しく追加されたのが、Infinity Cacheである。初代Naviは128KB/16wayのL1+4MB 16wayのL2という構成であったが、ここにおそらくL3の形で追加される構造と思われる。これにより、384bit幅のGDDR6そのままと比較して、実効バス幅を2.17倍にしながら、消費電力は0.9倍に抑えられたとする。

Infinity Cache。こういう使い方をするということは、L3はプログラムからは透過的に存在し、GPU自身がメモリーのプリフェッチやライトバックのために利用する領域として使われると思われる

 384bit幅が唐突に出てきたのは、おそらくBig Naviの構成では普通に考えると256bit幅では全然帯域が足りず、384bitでもまだ不足していると考えているためだろう。かといって512bitはコストも上がるし消費電力も上がる。ところが256bit幅+大容量L3キャッシュの搭載でこれをカバーできた、というわけだ。

 性能について言えば、動作周波数を30%引き上げできたとしている。実際問題としてはRadeon RX 5700XTが40CU/1605MHz(ベースクロック)で、Radeon RX 6800XTが72CU/2015MHzだから、動作周波数が1.26倍、CU数が1.8倍で、消費電力は本来なら2.25倍に膨れ上がっていないとおかしい。

 これを同じ300W枠内に収めつつ、動作周波数を2GHzオーバーまで引っ張り上げられたのは、先のInfinity Cacheで示した省電力化と高速動作化が効果的に作用したということだろう。ちなみに性能/消費電力比ではNAVI世代から54%の改善とされている。

動作周波数を30%引き上げたが、プロセス自身は完全に同じTSMCのN7である。つまり省電力化はAMDの設計だけで実現した形だ

性能/消費電力比はNAVI世代から54%の改善。回路の高速化と省電力化、Infinity Cacheの搭載の3要素がそれぞれ同程度の貢献を果たしたとする

 加えて新たにDirectX RayTracingやVariable Rate Shading(VRS)、Mesh Shader、Sampler Feedbackなどにも対応した。

DirectStorage APIへの対応も表明された

Variable ShadingなどはDX12 Ultimateにも含まれる機能である

 VRSはすでにDirectX 12に実装されているが、それ以外はDirectX 12 Ultimateでのサポートになる。このあたりの新技術の概略はジサトライッペイ氏の記事がわかりやすい。この辺のサポートはNVIDIAが先行していたが、やっとAMDもこれに追いついた形だ。

 なお、従来からFidelityFXとして提供されてきた機能は引き続き提供される。また、Radeon RX 6000シリーズというかRDNA 2に続くものとしてRDNA 3の開発が行なわれていることも明らかにされた。

RDNA 3は“Advanced node”とあり、おそらく5nmを利用すると見られる

 ところでカードの話に移る前に、Big Naviのダイでもう1つ。先の大写しとなったチップの画像を見てもわかるが、現在の構成は半分のサイズにしやすいように設計されているように思う。ということで試しに切り貼りしてみたのが下の図だ。

Big Naviを半分にしたダイ。コード名は不明なので、とりあえず“Not so big Navi”としてみた

 半分とは言わないが、6割程度のダイサイズで完結しそうである。このあたりは、よりバリュー向けのRadeon RX 5600などに向けたラインナップに出てきそうな気がする。たぶんこちらは相当低コストで収まりそうだ。

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