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最新パーツ性能チェック 第321回

Radeon RX 6800 XT/6800で強いRadeonが久々に戻ってきた!【前編】

2020年11月18日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU)  編集●ジサトラハッチ

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3) Ray AcceleratorによるDXR対応

 描画周りの新機能としては、DXR(DirectX Raytracing)に対応したことも注目ポイントだ。この点においてはGeForceにようやく追い付いた形だが、レイトレーシング対応のゲームも増えてきたし、家庭用ゲーム機でも対応させるし、ちょうどいい導入の頃合いといえるだろう。

 Radeon RX 6000シリーズにおいてもNVIDIAのTuring/Ampereと同様にレイトレーシングにおける最大の勘所、BVHトラバーサルを行なう専用の回路「Ray Accelerator(RA)」を実装している。CU1基につきRAは1基の割合で搭載されているため、CUが72基のRadeon RX 6800 XTならRAも72基となる。

Radeon RX 6000シリーズのCUには、CU1基につき1基の割合でRay Acceleratorが実装されている

RAはクロック当たりレイ1つとトライアングルとの衝突判定を実行でき、さらにレイの挿入時間ごとにソートする機能も備えている。Infinity CacheはこのBVHトラバーサルに必要なデータの多くを保持することで、処理を効率化するのだ

 RAで衝突判定した結果を元に、さまざまな処理が行なわれるのはGeForceと同じだが、レイトレーシングにともなうノイズ除去処理に関してはGeForceと異なるアプローチをとっている。

 AMDは「FidelityFX」というSPを使った処理をいくつか開発しているが、今回FidelityFXにノイズ除去処理「FidelityFX Denoiser」を開発した。GeForceのノイズ除去処理はTensorコアに負荷をオフロードすることができる(計算ベースのデノイズも使われる)が、ご存じの通りTuring/Ampereでしか使えない。しかしFidelityFX DenoiserはSPを使うためGPUを選ばないというメリットもある。

FidelityFXを利用してデノイズ処理を加えることもできる(左:オフ、右:オン)。もちろんGeForceでも実行可能だ

 Tensorコアの話題が出たところで、NVIDIAのDLSSの話もしておこう。現状のところRX 6000シリーズにはDLSSに相当する機能はない。DLSSはリアルの解像度よりも低い解像度でレンダリングし、さらに時間的空間的要素も加味しつつ、AIでアップスケーリング&アンチエイリアシングを行なう技術である。

 ゲームの画面はDXRの有無に関係なく1ドットずつ色を決めていくのだが、解像度が高まるごとに効率は悪くなる。アップスケーリングを使えばこの負荷を省略できる、というのがDLSSのコンセプトだ。

 現時点のRadeonには、DLSSのような負荷軽減技術はVRS(Variable Rate Shading)か動的解像度変更(Radeon Boost)しか利用できない。VRSはRX 6000シリーズで新実装された機能で、こちらもFidelityFXの一部として利用できる。

VRSは画面の中で注目される部分は1ドットずつレンダリングし、動いているなどで知覚されにくい部分は2x2ドットなどでレンダリングする技術。これは「Dirt5」の1シーンだが……

これをVRSで表現すると、画面の部分部分でレンダリング解像度を変えられる。緑の部分は平坦ゆえに違いがわからないので粗く、黄~赤の部分はディテールを感じるために重要なので細かくレンダリングする

 だがVRSだけでは根本解決にはならない。そこでAMDもDLSS相当の機能である「FidelityFX Super Resolution」を開発中である。FidelityFXなので特定のGPUアーキテクチャーに関係なく利用できる(OpenMLによるAI実装を使っているらしい)のが強みだ。ただし現時点ではこれ以上の情報はない。今後に期待したい。

4Kプレイでの描画負荷は非常に高く、ドットバイドットのレンダリングではパワーがいくらあっても足りない。そこでTemporal Reconstructionやアップスケーリング等で負荷を減らす技術が必須になってくる

Temporal Reconstructionには様々な技法がある。AMDのFidelityFX CAS SharpningとScalingの合わせ技や、動的解像度変更、1ドットおきに処理して間は前フレームデータから補間するチェッカーボードレンダリング等がある

Temporal Reconstructionは高解像度環境では効くが、予期せぬチラつきや描画になることがある。さらに「専用のハードが必要で、それ自体がボトルネックになる」技術もある。右の2つは明らかにDLSSへの当てこすりだ

現在AMDは「FidelityFX Super Resolution」なる技術を開発中だ。その内容はまだ明らかにされていないが、この文脈で行くなら画質の劣化が少なく、専用ハードを使わない技術になるだろう(本当だろうか……)

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