●できないことはリスクになり得る
2000年代、デジタルを前提として、固定した場所や職場、地位から切り離されて活動する「ノマド」というライフスタイルに注目され、個人的にも傾倒して自分の生活に取り入れていました。小さなスタートアップを作る際にも「持たない経営」を念頭に、ノマディックなスタイルを試したこともありました。
新しいスタイルやツール、なんでもそうですが、初めて取り組む際には「本当にできるのだろうか」という疑念や恐れのようなものは必ずつきまといます。その一方、案ずるより産むが易しと言いますか、やってみると意外とできてしまう、あるいは感覚や勘所をつかめてそうした不安がなくなることも多いのです。合わないモノはすぐにやめて元に戻した方が良いと思いますが。
ノマドにしても持たない経営にしても、今までと異なる常識だから恐れがあるだけ、という側面はありますし、それでもやっぱりオフィスがあると良い、デスクにいた方が効率的だと感じたら、そちらに戻れば良い、ということです。ただ、試さないことは、今後リスクになるのではないか、と思いました。
そういう観点から考えて、今回のテントを張ったワーケーションも、夜にクマに襲われないかが怖かったのでRadioの音を大きめにして寝ましたが、テントを張るのも火をおこすのも、さしたる不便があるわけではない、と「知る経験」になりました。別にこれを365日続けるわけではない、最も極端なパターンではありますが、テントを張って仕事ができるなら、わりとどこでも仕事が続けられる、という確認というか、自信にはなったと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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