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無人化・省力化を促す小規模事業者向けの安価なスマートキーシステム

ホスピタリティとフードサービスの商談専門展示会、「HCJ2020」に見るスタートアップたち

 2月18日から21日までの4日間、幕張メッセにて「国際ホテル・レストラン・ショー」「フード・ケータリングショー」「厨房設備機器展」の3展示会の頭文字をとったHCJ2020が開催された。コロナウィルスの影響で人出も例年より少ない印象で、出展をみあわせた企業も見られたが、来場者は目当ての展示をゆっくりみて情報収集することができたように思う。出展した企業も、見込みのある来場者へ懸命なアピールができたのではないだろうか。

 HCJ企画展示である「サービス業向け次世代技術EXPO」「キャッシュレスTech」では、ユニークな製品、新しい切り口での事業展開を図るスタートアップ企業が出展していた。

モノコトデザイン

 スタートアップブースでは、「モノコトデザイン」が、スマートキーとその操作を行なうクラウドソリューションを展示していた。他のスマートキーと異なるのは、小規模なホテルや民泊など、大規模なキーシステムの導入が難しい事業者向けに、カスタマイズが行なえる点にある。

 キーユニットからクラウドシステムまで自前で開発することでコストを抑え、施設に大量導入する際のハードルを下げるとともに、予約、決済システムと連動して宿泊者へアクセス権を付与するなど、ワークフローと連動した運用が行なえるようカスタマイズできる点などが事業者にとって受け入れやすいという。

 ホテル業界以外にも、時間貸の会議室や倉庫など、複数の利用者が使用する施設のキーシステムとして提案してゆきたいとしている。

Glafit

 電動コミューターを手がける「glafit」は、キックボードタイプの「X-SCOOTER LOM」と、すでに発売を開始している電動自転車の2台を展示。来場者の関心を集めていた。

 いずれもモーターで走行し、最高時速は30Km/h。原付とおなじくナンバー取得とバイク用ヘルメットの着用が義務付けられる。

 X-SCOOTER LOMは、海外でよくみられる電動キックボードのデメリットを解消し、両足を揃えて乗ることで安定性を実現する。また、タイヤサイズも大きく、段差や不整地の多い日本の道路でも安定した走行を実現する。

 現在は、クラウドファンディングで展開しており、目標は達成したものの、さらなる販売増を目指している。当面は販売(買い切り)のみの予定で、シェアライドなどの予定は現時点ではないという。

Kotozna

 今回のHCJでは、インバウンド対応として、自動翻訳を組み込んだチャットシステムを提案する企業が目立った。Kotoznaでは、ホテルの内線電話を多言語対応させるソリューションを展示。客室に配備したQRコードを読み取るとブラウザーでメニューにアクセス。

 宿泊客が、自国の言語で問い合わせると、フロントの端末には日本語に翻訳された状態で問い合わせが表示される。回答も日本語でOK。問い合わせ端末の言語に翻訳されて宿泊客に提示されるという仕組み。

 ホテルやレストランなどの商業施設にARガイドページへのリンクを貼ることで、直感的にナビを行なう「PinnAR」や、QRを読み取るとAIが応答するコンシュルジュサービスに接続し、目的地までの道順や交通機関を教えてくれる「BEBOT」など、様々なサービスが展開されていた。

CASHIER

 CASHIERは、スマホでセルフオーダーできるオーダーシステムだ。QRを読み込んで、オーダーから決済まで客の個人スマホで完了できる。オーダーはレシートとして厨房に伝わり、できあがったオーダーを配膳するもの。大規模なセルフオーダーシステムを導入できない個人店舗でもセルフオーダーシステムを導入できる。飲食店だけでなく、在庫を持たないショールーミング、など応用の幅があるという。

Payoneer

 インバウンド対応とは若干異なるが、ユニークなのが国際送金を簡単に行なえるサービス「Payoneer」は、銀行取引などの大口送金よりも低い手数料が魅力。送金者は、国内銀行への振込手数料のみで、受け取る側が為替手数料や引き出し手数料を負担する。ドル、ユーロであればPayoneerにプールした残高で支払いを行なうこともできるという。

 試作のための原料購入や小口の輸出入など、少額取引の支払いにコストメリットが出せるという。

クイックピジョン

 クイックピジョンのブースでは、人の立ち入れない高所などにカメラを設置し、利用者がスマホでリモート撮影できるIoTフォトスポットサービスを展示。独自のIoTデバイスとデジカメを接続し、クラウド経由でスマホからの操作でシャッターを切り、データを転送するというもの。

 モーションセンサーや振動センサーなどと連動し、ジャンプした瞬間、太鼓を叩いた瞬間などタイミングを合わせた撮影も行なえる。

 一般には立ち入れない場所からの撮影、普通では難しい決定的瞬間の撮影など、普通なら撮影できない写真が撮れることで、撮影の価値、映えを求めるユーザーの利用を見込んでいる。


 全体的な印象としては、スタートアップとはいえ実用的な製品、サービスが増え、大手が手掛けにくいロット、規模に向けた商品を中心に手堅く展開している印象を受けた。いくつかの企業では、大手がスケールメリットを生かして参入してきた場合でも対応できる価格設定やラインアップなどが用意しているなど事業の持続性が考慮されていた。

 

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