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「YOXO BOX」イベントレポート 第5回

「YOXOグローバルセッション CES 2020報告会」レポート

スタートアップ出展者が感じたCES 2020の注目ポイント

2020年02月18日 18時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII STARTUP

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スタートアップ企業がCESへの出展で得られたもの

 続いて、PLANTIO, Inc.のCo-founder & CEO 芹澤孝悦氏が、2年連続でCESに出展した経験を踏まえて語った。

PLANTIO, Inc.のCo-founder & CEO 芹澤孝悦氏。「プランター」という和製英語を発案・製品開発した芹澤次郎氏を祖父にもち、家業のセロン工業株式会社を経て、現在は人と植物との関わり方を再定義する事業を展開

芹澤氏:PPLANTIOでは、世界では当たり前になっているビルの屋上を菜園地化しています。「grow」というサービスをやっており、アプリを通じて種をまき、育て、最後にみんなで食べるという循環型の社会を作っています。

 今回CESでは家庭用に「grow_connect」というセンサーをプランターの形にして、活用できる製品を展示。野菜栽培が増えると社会がどうなるのかソーシャルインパクトをビジュアライズ化し、Co2がどれぐらい減少するか。緑がどのくらい広がり、それによってヒートアイランド現象がどれだけ減少するか、といったことを伝えています。

 しかし、これは非常に伝わりにくいと思いました。そうした伝わりにくいものをどう展示すべきかといったノウハウをお話したいと思います。

2019年に出展したときの状況。プランターを作るということで、プランターを展示したが惨敗に近い結果だった

 2019年の出展時は、ほとんど足を止めてもらえませんでした。隣にはLOVOTのブースがあり、そちらのほうが大注目を浴びてしまったため、より足を止めてもらえませんでした。そこで今年はとにかく目立つことに力を入れました。また、情報を整理し1秒でわかるように工夫しています。

2020年のブース。畑とプランターで情報をコネクトすることで、イベントができコミュニケーションを通じて野菜を育てるということを全面に出した

 こうした工夫によって、たくさんのお客さんに来てもらいました。また、メディア限定のイベントにも出席したところ、たくさん取材をしていただき、メディアにも露出されています。

 なぜ、米国では発売されていないわれわれが出展しているのかというと、たくさんの日本の大企業の方が来ています。そういった人たちとCESを通じて知り合うことで、事業連携を進めています。たとえば、大手デベロッパーさんとは屋上に畑を作ったり、ベランダにプランターを標準搭載したり、という話をしています。スマートシティーとしてわれわれのカルチャーを取り入れてもらうなど、そういった話に発展していくことがCESへの出展の目的なのです。

 ものすごくたくさんの企業が出展しています。そこで、何ができるのか。日本らしいキラリと光る技術を出すべきだと思っています。日本のスタートアップの傾向は、よく話を聞けばスゴイものだとわかる製品やサービスが多いと思います。それをどう伝えるかがキモなので、今後もチャレンジしていきたいと思っています。

CESは情報収集だけでなく協業・パートナー探しのきっかけ

 続いてディスカッションが行なわれた。

モデレーターは株式会社アドライトの代表取締役CEO 木村忠昭氏。事業開発やオープンイノベーション、スタートアップ企業やイノベーターの育成を手掛けている。YOXO BOXではアクセラレーションプログラムも展開している

――今回CESの会場を見て回り、全体的に感じられたものはなんでしょう。

美谷:ソニーのコンセプトカーなどを見て、大企業もスタートアップ的になってきていて、良い点真似しあって良い変化が起きていると感じました。デルタ航空も同様ですね。アプリで荷物がどこにありますといったことがわかるようになっています。スタートアップだからすごいというだけでなく、良いところを吸収して切磋琢磨していると思います。

――トヨタもビックニュースをCESに持ち込んでPRとして使われているなと感じました。 芹澤さんはいかがでしょう。

芹澤:全体感としては昨年に比べて遥かに人とが来ていました。また、家電ショーなのですが、プロダクト単体ではなく、サービスが複合し、サービスを働かせるためのハードウェアが多かったですね。われわれと同様きちんと話を聞かないとわかりづらいプロダクトが多く、そのあたりは多様化してきたのではないかと感じました。

――ガジェットよりはソリューションが増えてきたということでしょうか。今回大企業の印象はいかがでしたか?

美谷:TOTOとかは昨年のウォシュレットだけの展示から、面白いプロダクトの展示に変わっていました。 出展する側に回らないとなかなか情報が得られず、協業の機会を得られない時代になったのかなと感じました。

――日本企業の存在感はいかがでしたか?

芹澤:これまでは正直メディアで見ればいいというものが多かったのですが、今年は違ってきていて、最たる例がTOTOだと思います。奇をてらったというか技術やテクノロジーを使えば、こうしたマッシュアップやこういう提案ができるぞ、みたいなものを感じました。ただ、グローバルで見るとアグレッシブさ、まだ足りないと思います。もっとここでないと見られない、ワクワクするようなプロダクトにするといいと思います。

美谷:日本企業は個々に頑張って話題性も出していたと思います。ただ、それ以上に中国企業が勢いもあるし、数も多く、深センという名のつく企業だけ数えても420社もありました。日本的なきめ細かさ、可愛らしさも取り入れてきていて、日本企業も切磋琢磨していかないと、追い抜かれてしまうかもしれません。

――出展することで事業効果はあるのでしょうか。

芹澤:われわれの場合は、それを狙っているので、事業連携ができるか声をかけていました。ソニーや日立、東芝など、多い会社では1000人規模とも聞き、かなり多くの人が来ているということがわかりました。スタートアップ側からすると、非常に投資効果が高いと思っています。

――日本同士ではあるけど、CESに参加したほうが効果的ということなんですね。海外スタートアップで特に目立っていた国はどこでしたか?

美谷:フランスはもちろん、韓国が頑張っていました。昨年は50社程度だったのですが、今年は100社を超えていました。政府のバックアップもあり、お客さんがよく通る場所にソウル市のブースを出展していましたね。ラスベガスのバスに広告も出していました。また、深センの会社も政府の支援が入っていたようですね。

――毎年日本のスタートアップが賞をとったりしていましたが、今年は日本のスタートアップで気になった企業は?

芹澤:昨年はLAVOTでしたが、今年は個人的にゲートボックスですね。ジャパニメーションというか、日本のデジタルコンテンツに対して海外の反響はどうなのか気になっていました。結果、反響もよく海外向けアバターではなく、日本向けのものを出したほうがいいのではと個人的に思いました。

美谷:スタートアップではない場所になりますが、Xenomaは昨年回路を織り込んだシャツなどを出展していましたが、今年は倒れると検出されるパジャマやスマートスーツを出展していました。また、ノーニューフォークスタジオが走る動作を解析するシューズを、アシックスの出資を受けたことで、アシックスの会場で発表していました。そういった成功例が見られたのは嬉しいですね。

――テクノロジーで気になったものは。

芹澤:技術面ではそこまでイノベーションはなかったのではと思っています。大事なのはIoT、ICT化していった先に、解析してどんなことがわかったのか、それを使ってどう利用されているのか。その先がまだ見えていない気がしました。

美谷:ARやVR領域ではより高性能なものが出てきていましたが、われわれはそれを使ってどのようなビジネスができるのか、という観点で見させてもらっていました。先程紹介した、ダンボールで作ったデバイスは、今まで少量だと難しかったものも、それをうまく回避して勝負できる。ラズペリーパイを活用するなど既製品を使うことで、スモールに新しいイノベーションができるもの、真似できそうなところに注目していました。

――ほかのカンファレンスと違う点は。

芹澤:CESに出ることで、日本の大企業も来るのでマッチングも可能ですが、来ているお客さんとたくさんコミュニケーションすることで、自分たちのプロダクトやサービスがグローバルにどこのカルチャーに刺さるのかが明確に見えます。米国でも西と東では違いますし、グローバリゼーションの中で、どういうポジショニングで戦略をとっていくのかが、一気に見られるのがいいと思います。

美谷:ボリュームがぜんぜん違います。参加者も大企業のイノベーションに関する展示も圧倒的に多いですね。技術だけでなく、価値を提案していかに共同作業できるのかを確認できる場としていいと思います。

――最後にスタートアップ企業の人に対してひとこと。

美谷:2つの面で面白いと思います。もちろん自社の製品のアピールや協業探しの場ではありますが、出している人たちが非常に面白いです。自分たちが挑戦しようとしていることに対して、ライバルはどう取り組んでいるのか、もしかしたら協業できるパートナーが見つかる可能性もあります。情報収集だけでなく、パートナー探しとしても行ったほうがいいと思 います。

芹澤:まずは出展してみることですね。自分で飛び込んでみて感じることはスゴイあると思います。自分自身を磨き、サービスをアップデートして、人に伝わるようになったので、出してみたいと少しでも思っているなら、出展すべきだと思います。

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