■キーボードの薄型化には限界があるのか
最大の変化は、打鍵感が別物になっていることです。アップルが「MacBook ProにMagic Keyboardを搭載した」と表現するように、物理的な構造や打ち心地はMagic Keyboardによく似たものになりました。
キーストロークはこれまでの0.55mmから1mmに深くなり、タイピング時にはしっかりした反発が返ってきます。その感触は2015年までのMacBook Proに近いもので、懐かしさを感じるほどです。
細かいことを言えば、MacBook Proはキーボードを大きな金属ボディで支えており、薄い金属板で支えるMagic Keyboardとは打ち心地が微妙に異なります。しかしその使用感はかなり近づいたといえるでしょう。
気になるのは、キーボードの薄型化というトレンドがどう変わるのか、という点です。MacBook Proは2016年のモデルチェンジでキーボードが大きく変わり、12インチモデルと同じバタフライ構造の採用が賛否両論を巻き起こしました。
キーボードの薄型化には、タイピングを省力化できるメリットがあります。キーストロークが浅ければ浅いほど、指の運動量は少なくなるからです。その反面、力加減を工夫しないと指が痛くなるとか、反発がなく逆に指が疲れるとの指摘もありました。
それに加えて、バタフライキーボードは最新の2019年モデルを含めて修理プログラムの対象になっています。日々、仕事に持ち歩くノートPCのキーボードが、いつこうした問題に直面するか分からないというのは、正直なところ不安です。
将来的にキーストロークはさらに浅くなり、あるいは完全な一枚板になる時代がくるのかもしれません。しかしこうした現状を踏まえれば、Magic Keyboardへの回帰は妥当な判断であり、バタフライキーボードは人類には早すぎたといえるでしょう。
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