WQHDゲーミングで確かなアドバンテージを構築する
では実ゲームベースの検証に入ろう。まずはシーズン2を迎えたばかりの「Apex Legends」を利用する。画質は各項目を一番重くなるように設定し、トレーニングステージにおける一定のコースを移動した際のフレームレートを「OCAT」で測定した。この後のゲーム系検証では、全て解像度をフルHD/WQHD/4Kの3通りで検証している。
フルHDだとVega 64以上およびRTX 2070だと負荷が軽すぎるのか、誤差程度の差しか出ない。だがWQHDにすると各GPUの力の差が出始める。Radeon VIIとRX 5700XTがほぼ同程度だが、最低fpsはわずかにRX 5700XTの方が高い(手動計測なので誤差もある点に注意)。RTX 2070も健闘しているものの、RX 5700XTに7%程度の差をつけられ、さらに下位のRX 5700にほぼ並ばれている。今回のRX 5700/5700XTは明らかにRTX 2070(≒GTX 1080)近辺を潰しにきていることは明らかだ。
描画負荷軽めのテストとして「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」ベンチも試してみたい。ご存知の通りこのベンチ(というよりFF14で使用されているエンジン)はNVIDIAのGameWorksに最適化されているため、Radeonでは良いスコアーが出ないというのが知られているが、RDNAベースのGPUではどうなのだろうか? 画質は“最高品質”とし、スコアーに加えてレポートに表示される最低および平均fpsも比較する。
トップは予想どおりRTX 2070となったが、平均fpsを見るとRadeon VIIやRX 5700XTもかなり良いポジションにつけている。最低fpsが低くなってしまうのが残念だが、RX 5700や5700XTはFF14用としても悪くない選択になったといえるだろう。
続いては「World War Z」(WWZ)で検証する。APIはVulkanを使用し、アニメーション品質と画質はともに“ULTRA”、レンダースケールは100%に設定する。ゲーム内ベンチマーク機能を用いて計測した。
Vulkan系のゲームはRadeonと相性の良いものが多い(今回試してはいないが、AMDが謎にプッシュする「Strange Brigade」もそれ)。このWWZもその例にもれず、フルHDでも平均fpsベースでRTX 2070を26~42%上回る結果を出している。エンジンとGPUがカッチリハマればしっかり回る、ということで前掲のFF14ベンチと対象的な結果になったといえるだろう。
同じく軽めだが、フレームレートが重要なタイトルとして「Rainbow Six Siege」を試してみたい。画質は“最高”をベースにレンダースケールを100%とし、ゲーム内ベンチマークを利用して計測した。ベンチはいくつかのシーンに分かれているが、それらを総括するフレームレートで比較する。
フルHD時はRX 5700XTがRX 2070を平均fpsベースで16.6fps上回り、格上のRadeon VIIに6.9fps差まで詰め寄っているものの、解像度が高くなるにつれ勢いは失速。4KになるとRTX 2070に逆転を許してしまう。ゲームの性質上高fpsでプレイするのが有効であるためあえて4Kでプレイする人は多くはないと思われるが、どんな条件でもライバルGeForceに勝つ訳ではないことが分かる。

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