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足湯からBBQまで! 富士24時間レースはレースからサイドアクトまで楽しい

2019年06月22日 15時00分更新

文● 栗原祥光 撮影●栗原祥光

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ついに夜明け! 決着の時間は近い!

 午前4時を過ぎると辺りは明るくなり始め、富士山がうっすらと形を表す。静寂の中、マシンの音が響き渡る。トップ争いはTAIROKU RacingとGTNET MOTOR SPORTSがいまだ一進一退。その中で、先に動いたのはTAIROKU Racing。レース中1回ブレーキ交換など時間のかかる作業を行なうための「メンテナンスタイム」という最低10分間のピットストップ義務を消化。一時はGTNET MOTOR SPORTSに対して5周遅れとなる。GTNET MOTOR SPORTSは明け方にメンテナンスタイムを実施。GTNET MOTOR SPORTSがピットアウトすると、5周分は帳消しになるばかりか、1分20秒近いマージンの獲得に成功。今風にいうとアンダーカットに成功した形だ。

 その他のクラスに変動はなく、トピックとして挙げられるのは、ST-4クラスでROOKIE RACINGから参戦しているトヨタの豊田章男社長が、このレースで初めて走行を担当。8時15分にご子息である豊田大輔からマシンを引き継ぐと、丁寧なドライビングで約40分間で16周回をこなし、501周目に石浦宏明にマシンをつないだ。

 太陽が高く登るものの、雲が多く過ごしやすい陽気。20時間以上観戦している身としては、大変ありがたいものだ。いっぽう、ゴールまで残り残り4時間を迎えるところで、トップ争いに異変が発生。TAIROKU RacingのGT-Rが駆動系トラブルでピットイン。修復作業に1時間20分を要したのだ。これでGTNET MOTOR SPORTSは盤石の体制に。さらに3番手を走行していたMP Racingが2番手に浮上する。

 ST-4クラスでも今シーズンの開幕から2連勝の林テレンプSHADE RACING 86に駆動系トラブルが発生。ENDLESS 86にオーバーテイクされ3番手に後退する。ST-4クラスを走行する86/BRZ勢に不安がよぎる。その中、ROOKIE RACINGは最後に豊田章男社長へドライバー交代。丁寧な走りでチェッカーへと向かう。

 そして午後3時、メインストレートのLAPが800を超え、24時間を表示する。いよいよファイナルラップとなった。ピットからは大勢の人が出て、ピットウォールにかけよる。そして、GTNET MOTOR SPORTSのGT-Rがトップでチェッカー。2連覇を達成した。総合2番手はMP RACING GT-R、TAIROKU RACING GT-R GT3は無念の3位となった。新型車よりもノントラブルで走り切れた旧型車の方が上位、というのも耐久レースらしい結果だ。そしてノントラブルで速く走る術を知るGTNETのレース巧者ぶりが際立つ結果となった。

逆転につぐ逆転
耐久レースはこれだから面白い!

 各クラスの優勝は以下のとおり。

  • ST-Zクラス:ENDLESS AMG GT4
  • ST-TCRクラス:BRIN・NAUB RS3 LMS
  • ST-1クラス:D'station Porsche
  • ST-2クラス:AMD MOTUL ED WRX STI
  • ST-3クラス:TECHNO FIRST RC350
  • ST-4クラス:TOM'S SPIRIT 86
  • ST-5クラス:村上モータースMAZDAロードスター

 レースが終わると、チームの垣根を越えて、完走をはたした車両とドライバーを讃えあう。その光景もまた、他のレースでは見られない姿だ。こうして日本でもっとも長い1日は幕を閉じた。来場者数は2日間で3万2000人を超え、2回目となる富士の24時間レースは成功裏に終わった。

 まる1日、実際は24時間以上にわたり富士スピードウェイで過ごして、予選/決勝(金~日)のチケットは5800円(税込)。素泊りのホテル2泊3日より安い金額で、こんなにも楽しめ、感動できるアミューズメントは他にないのではないだろうか。そしてコースサイドには昨年以上にテントが並び、そして色々な場所でバーベキューをはじめとするキャンプを楽しみながら、レースをのんびりと楽しむ姿に、成熟したモータリゼーションを見た気がした。

 来年の開催は未定とのことだが(そもそも来シーズンのS耐の日程は未だ出ていない)、ぜひ来年もこの素晴らしくも、長い1日が過ごせることを祈りながら、サーキットを後にした。

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