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クラウドから「エッジ」への動きが加速:Build/de:code 2019レポート 第2回

新発表をすべてまとめたガイドブック『Book of News』を要約する

Build 2019が開幕、クラウドから「エッジ」への動きが加速

2019年05月07日 00時30分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 マイクロソフトの年次イベント「Build 2019」が、米国時間2019年5月6日、シアトルで開幕した。3日間で6000人以上が参加する見込みだ。今回のBuildでは、イベントでのすべての新発表をまとめたガイドブック『Book of News』が用意された。

 『Book of News』では、Microsoft 365、Microsoft Power Platform、Microsoft Azure、MR(Mixed Reality)、ブロックチェーン、インテリジェントクラウド&インテリジェントエッジ、データベース、アナリティクス、Kubernetes & サーバレス、OSS、Developerツール、DevOps、ストレージの章立てで、各分野の新発表について解説している。

 『Book of News』の中から、Azureに関する特に重要な発表を抜粋して紹介する。特に、インテリジェントエッジの分野での新発表が目立った。

Azure SQL Database Edge

 エッジ向けのDBエンジン「Azure SQL Database Edge」が発表された。ARMプロセッサ上で動作し、データストリーミングや時系列データといった機能を提供する。データベース内での機械学習やグラフデータにも対応している。

IoT Plug and Play

 PCで過去に実現したPnP(プラグアンドプレイ)と同じように、IoTデバイスを起動するだけで接続設定やデータ配信設定などを自動化する技術への取り組みが発表された。IoT Plug and Play対応機器は、認証済み機器(Certified IoT Plug and Play)としてカタログに掲載されている。

Azure IoT Edge integration with Kubernetes clusters

 昨年のBuild 2018で、実験的プロジェクト「Azure IoT Edge Connector for Kubernetes」が発表されていた(関連記事。今回、このプロジェクトがパブリックプレビューになった。これを使うと、コンテナーオーケストレーターのKubernetesを使って、Azure IoT Edgeのデプロイを管理できるようになる。Virtual Kubeletを使った仮想Kubernetesノードを利用している。

Azure Database for PostgreSQLにCitusの技術を統合

 これまでAzure SQL Databaseで提供されていた最上位レベル「Hyperscale」が、Azure database for PostgreSQLでも選択できるようになった。スケーラブルでレイテンシの低いデータベース環境を構築できる。1月に買収したCitus Dataが開発したPostgreSQLデータベースをスケールアウトさせるテクノロジーを使っている。

Azure SQL Database serverless

 「Azure SQL Database serverless」が発表された。ワークロードの量に応じてデータベースのコンピューティングを自動的にスケーリングし、非アクティブ時は一時停止する。コンピューティングの使用量に対して課金されるので、コスト効率がよい。

AKSの仮想ノードがGA

 Azure Kubernetes Service(AKS)の仮想ノードがGA(一般提供)になった。需要が増えた際に追加のポッドを数秒で作成できる。仮想ノードは、マイクロソフトが開発してCNCFへ寄贈したVirtual Kubeletを使っている。

Red Hatとの共同プロジェクトKEDA

 KEDA( Kubernetes-based event-driven autoscaling)は、マイクロソフトがレッドハットと共同で開発している、サーバレスでコンテナをホスティングとオートスケーリングする仕組み。イベントドリブン型でコンテナを起動することができる。Azureだけでなく、オンプレミスのKubernetes環境、他社クラウド、OpenShiftでも動作する。現在はAzure Functionsのオプションとして利用可能になっている。今回、KEDAをオープンソースとして公開することが発表された。

Q#のコンパイラと開発キットをオープンソース化

 マイクロソフトが開発した量子コンピュータ向け言語Q#のコンパイラと開発キットを、まもなくオープンソース化することが発表された。

Azure Blockchain Service

 Azure Blockchain Serviceが発表された。Ethereum(Quorum)ベースのフルマネージドブロックチェーンネットワークを展開するもので、インフラだけでなくコンソーシアムネットワークの連携とメンバーのガバナンス管理、ユーザーと分散アプリケーションの認証などの機能も提供する。

 あわせて、Microsoft FlowおよびPower AppsにEthereumコントラクトの呼び出しができるコネクタ「Ethereum connector」が追加された。また、新発表の「Visual Studio code extension for Azure Blockchain」を使うことで、Ethereumのコントラクト開発、Azure Blockchain Serviceの展開とコントラクトのデプロイ、アプリケーションの開発まで一気通貫で行えるようになる。

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