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さとうなおきの「週刊アジュール」 第97回

「Build 2019」アップデート ~データ編~

Azure Cosmos DBがSparkやJupyterノートブックをサポート

2019年06月10日 13時00分更新

文● 佐藤直生 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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 こんにちは、さとうなおきです。2019年5月6日~8日にかけて、米国シアトルでMicrosoftの年次カンファレンス「Microsoft Build 2019」が開催されました。「週刊アジュール」では、Build前週の事前発表、基調講演での発表をまとめた「Build 2019」特別号外に続いて、Build 2019でのAzureアップデートを、インフラ編アプリ開発編、データ編、AI/IoT編の4回に分けてお伝えします。今回はデータ編です。

Azure Cosmos DB:Spark、Jupyter、etcdなど

 Azure Cosmos DBは、複数のデータモデル/APIをサポートしたグローバル分散型のNoSQLデータベースサービスです。

 Azure Cosmos DBで、次のアップデートが発表されました。

  • Apache Sparkの組み込みサポート(プレビュー):Azure Cosmos DBのデータに対して、Azure Cosmos DB上でSparkを使った分析を実行可能
  • Jupyterノートブックの組み込みサポート(プレビュー):すべてのAzure Cosmos DB API/データモデルで、ノートブック エクスペリエンスをネイティブにサポート
  • etcd APIのサポート(プレビュー):分散キー/値ストアであるetcd APIをサポート。セルフマネージドのKubernetesクラスターでetcdクラスターを管理する代わりに利用可能
  • (特に集計クエリの)クエリ実行のコストパフォーマンスの大幅な向上
  • SQL APIの新しいSQLクエリ機能:OFFSET/LIMIT、DISTINCT、複合インデックス、相関サブクエリ
  • Gremlin APIの拡張:パフォーマンス評価用の実行プロファイル関数、Apache Tinkerpop仕様に合わせた文字列比較関数
  • Cassandra APIの拡張:Cassandra CQL v4とのほぼ完全な互換性、CQL拡張コマンドとしての変更フィード
  • Azure Cosmos DB .NET V3 SDK(GA)
  • Azure Cosmos DB Java V3 SDKの機能強化
  • Java用変更フィードプロセッサ
  • クロスプラットフォームのTable .NET Standard SDK(GA)
  • Azure Resource Managerが、データベース、コンテナー、オファーをサポート
  • Azure Cosmos DBオペレーターロール
  • アカウントの単一リージョン書き込みから複数リージョン書き込みへのアップグレード
  • 固定コンテナーから無制限のコンテナーへの自動アップグレード
  • Azure Cosmos DB ExplorerでのAzure Active Directoryのサポート
  • Azure Portal、Azure Advisorの機能強化

 詳細は、次のページをご覧ください。

Azure Cosmos DBによるJupyterノートブックの組み込みサポート

Azure SQL Database:Hyperscale、サーバーレス、Edgeなど

 Azure SQL Databaseは、SQL Serverベースのリレーショナルデータベースサービスです。

 2018年9月のIgnite 2018カンファレンスで発表されパブリックプレビューになっていた「Azure SQL Database Hyperscale」が、GA(一般提供)になりました。

 Azure SQL Database Hyperscaleでは、コンピューティングとストレージを個別にスケーリングできます。ストレージは、最大100TBです。

Azure SQL Database Hyperscale

 「Azure SQL Database サーバーレス」が発表され、プレビューが始まりました。

 Azure SQL Database サーバーレスは、使用量が断続的で予測不可能なデータベースのパフォーマンス管理を簡素化する、Azure SQL Databaseの新しいコンピューティングレベルです。ワークロードの需要に基づいて単一データベースのコンピューティングを自動的にスケーリングし、秒あたりのコンピューティング使用量に対して請求を行います。アイドル時には、自動的に一時停止します。

Azure SQL Database サーバーレス

 Build 2019カンファレンスの前週に、「Azure SQL Database Edge」が発表され、プライベートプレビューが始まっていました

 Azure SQL Database Edgeは、組み込みのAI機能を備えた、フットプリントの小さい、エッジに最適化されたデータエンジンです。

 Azure Data Studioは、SQL Server、Azure SQL Database、Azure SQL Data Warehouseでのモダンなデータベース開発、運用のための、Windows、macOS、Linuxで動作する軽量なツールです。

 4月リリースに続いて、Azure Data Studioの5月リリースが利用可能になりました。このリリースでは、スキーマ比較の拡張機能がプレビューになりました。

 Data Migration Assistant(DMA)は、SQL ServerからSQL Serverの新バージョンやAzure SQL Databaseへの移行を支援するツールです。

 2018年11月にプレビューになっていた、Data Migration Assistantの移行先Azure SQL Database SKU推奨機能での、Azure SQL Database Managed Instanceのサポートが、GAになりました。

Azure Database for PostgreSQL:Hyperscale (Citus)、pg_auto_failover

 Azure Database for PostgreSQLは、PostgreSQLベースのリレーショナルデータベースサービスです。

 2月に、Microsoftは、PostgreSQLデータベースをスケールアウトさせるテクノロジを持つCitus Dataの買収を発表していました

 今回、Citus Dataのテクノロジを活用した「Azure Database for PostgreSQL Hyperscale (Citus)」が発表され、プレビューが始まりました。

 Azure Database for PostgreSQL Hyperscale (Citus)を使うと、Azure Database for PostgreSQLをスケールアウトできます。

 Citus Dataのテクノロジを活用した「pg_auto_failover」が、オープンソースとして公開されました。pg_auto_failoverは、PostgreSQLクラスターの自動フェールオーバーのための拡張機能/サービスです。

pg_auto_failover

Azure Database Migration Service:OracleからAzure Database for PostgreSQLへのオンライン移行

 Azure Database Migration Serviceは、データベースのAzureへの移行を支援するサービスです。

 Azure Database Migration Serviceで、OracleからAzure Database for PostgreSQLへのオンライン移行がプレビューになりました。

Azure Data Factory:マッピングデータフロー

 Azure Data Factoryは、データ統合サービスです。

 Azure Data Factoryの「マッピングデータフロー」が発表され、パブリックプレビューになりました。

 マッピングデータフローでは、データ変換を視覚的に設計、デバッグ、管理、運用できます。マッピングデータフローは、内部でAzure Databricksを使っています。

 Azure Data Factoryの「ラングリングデータフロー」(Wrangling Data Flows)が発表され、プレビューが始まりました。

 ラングリングデータフローでは、コードを記述することなく、視覚的にデータの準備/ラングリングを行うことができます。

Azure Data Factoryのマッピングデータフロー

Azure SQL Data Warehouse:結果セットのキャッシュ、具体化されたビューなど

 Azure SQL Data Warehouseは、SQL Serverベースのデータウェアハウス(DWH)サービスです。

 Azure SQL Data Warehouseで、次のアップデートが発表されました。

  • 結果セットのキャッシュ(プレビュー):対話型のダッシュボードで有効
  • 具体化されたビュー(プレビュー):パフォーマンスを改善
  • 順序付けされたクラスター化列ストアインデックス(プレビュー):高速なスキャン
  • ワークロードの重要度(GA):3月にプレビュー
  • JSONデータのクエリ、管理(プレビュー):構造化/半構造化データの両方をサポート
  • 統計情報の自動メンテナンス/更新(プレビュー)
  • 動的データ マスク(DDM)(プレビュー):機密データの保護

 詳細は、次のページをご覧ください。

Azure HDInsight:自動スケール、HBase書き込みアクセラレータ

 Azure HDInsightは、Hadoop、Sparkなどのマネージドサービスです。

 Azure HDInsightの自動スケール機能が、プレビューになりました。

 自動スケールは、負荷や事前定義されたスケジュールに基づいて、HDInsightクラスターを自動的にスケールアップ/ダウンします。

 Azure HDInsightで、HBase向けの書き込みアクセラレータ機能がプレビューになりました。

 これは、Azure Premium SSDマネージドディスクを使用して、Apache HBaseのログ先行書き込み(WAL)のパフォーマンスを向上させます。

Azure HDInsightの自動スケール

Azure Data Explorer:Sparkコネクタ、Pythonプラグインなど

 Azure Data Explorerは、大規模データに対してアドホッククエリを実行できる、データ探索サービスです。

 Azure Data Lake Storageは、スケーラビリティ、パフォーマンス、コスト効率に優れたビッグデータ分析向けのデータレイクソリューションです。

  • Sparkコネクタ(パブリックプレビュー)
  • Pythonプラグイン(パブリックプレビュー)
  • Azure Data Lake Storage Gen 2に対するクエリ(パブリックプレビュー)
  • 継続データエクスポート(パブリックプレビュー)

 詳細は、次のページをご覧ください。

Azure Stream Analytics:Visual Studio Code、カスタムデシリアライザー

 Azure Stream Analyticsは、リアルタイムストリーム処理サービスです。

 Azure Stream Analytics for Visual Studio Codeが、プレビューになりました。これを使うと、Visual Studio Code上でAzure Stream Analyticsジョブの開発、管理、テストが可能になります。

 Azure Stream Analytics で、カスタムデシリアライザーのサポートがプレビューになりました。Parquet、Protobuf、XMLなど、あらゆるバイナリ形式について、C#でカスタムデシリアライザーを実装できるようになります。

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