続いてアッパーミドルに位置付けらているGPUが「Radeon RX 580」と「Radeon RX 570」である。Radeon RX 580とRadeon RX 570は、ともに上位モデルと同じくGCNアーキテクチャに基づいているが、GPUコアは第2世代Polarisマクロアーキテクチャーの「Polaris 20」を採用している点が大きな特徴となる。今回はクロック違い、ビデオメモリー違いで、以下4製品を用意した。
Radeon RX 580は64基のStream Processorから成るCompute Unitを36基備えており、それゆえStream Processorの総数は2304基となる。一方のRadeon RX 570はCompute Unitが32基となり、Stream Processor数は2048基と上位モデルのRadeon RX 580の9割弱の規模だ。また、ベースクロックや最大ブーストクロックもRadeon RX 580のほうが高い。そのほか、ビデオメモリーは両者ともGDDR5に対応し、メモリークロックにも差が設けられている。両者の主なスペックを下記表にまとめておいたので参照して欲しい。
| Radeon RX 580/570の主なスペック | ||
|---|---|---|
| 製品名 | Radeon RX 580 | Radeon RX 570 |
| Stream Processor数 | 2304基 | 2048基 |
| Compute Unit数 | 36基 | 32基 |
| テクスチャーユニット数 | 144基 | 128基 |
| ROP数 | 32基 | |
| ベースクロック | 1257MHz | 1168MHz |
| ブーストクロック | 1340MHz | 1244MHz |
| メモリータイプ | GDDR5 | |
| メモリーインタフェース | 256bit | |
| メモリークロック | 8000MHz | 7000MHz |
| メモリーバス幅 | 256GB/s | 224GB/s |
| 広帯域幅キャッシュ容量 | 4/8GB | |
| TDP | 185W | 150W |
| 接続インターフェース | PCIe 3.0 | |
| PCIe外部電源 | 8ピン×1 | 6ピン×1 |
特筆すべき点は、Radeon RX 580には高クロック動作が可能なAMDによる選別品「Radeon RX 580 XTR」が用意されていることだ。そのため、より高いパフォーマンスを望むのであれば、Radeon RX 580 XTRを採用したモデルを選択するとよいだろう。
少し話はそれるが、ゲームの描画オプションや解像度とビデオ メモリー容量の関係について触れておこう。これはRadeonシリーズに限ったことではないが、解像度や描画オプションを高く設定するにつれて、メモリー使用量は多くなる。たとえば、「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」では、グラフィックスメモリー使用量がかなり多く、Radeon RX 580とRadeon RX 570には、グラフィックスメモリーが8GBと4GBのモデルが用意されているが、解像度などユーザーの環境に合わせて選択するとよいだろう。
さて、Radeon RX 580とRadeon RX 570についても、ゲームパフォーマンスを確認しておこう。テスト環境は前述の表のとおりで、テストにはPUBGと「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下FFXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク)を利用した。ただし、PUBGはこのクラスのGPUにとっては描画負荷が大きいため、プリセットは「中」を選択している。
その結果は以下4つのグラフのとおり。PUBGも中プリセットなら、1920×1080ドットで平均60fps前後のフレームレートを発揮しており、十分快適なプレイが可能だ。また、FFXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマークも1920×1080ドットであれば、スクウェア・エニックスが示す指標で「非常に快適」となるスコア7000を大きく上回っている。2560×1440ドットでも、そのスコアーは7000に迫る勢いだ。
つまり、Radeon RX 580やRadeon RX 570は、描画負荷が高めのゲームであれば描画オプションを調整することで快適にプレイが行え、FFXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマークのように比較的軽めであれば最高の描画設定でも高いパフォーマンスを発揮する。また、RX 580、RX 570共に一部の仮想通貨のマイニングやブロックチェーンでも高いパフォーマンスを発揮するなど人気も高いので、そうした用途を考えている人も検討する余地がある。

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