最新パーツ性能チェック 第214回
Skylake-Xの10コアはCINEBENCH R15で約2200スコアー!
Core i9-7900X&Core i7-7740X速攻レビュー
2017年06月22日 22時00分更新
実はそれほどでもなかった消費電力と発熱
Core Xシリーズの一番の懸念は消費電力と熱だ。国内外のサイトにおける第一報では、Core i9-7900Xは爆熱&電力ドカ食いと散々な評価をされていたが、今回入手したマザーボードとCPUの組み合わせではどうなのだろうか?
まずは消費電力の測定にはラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用した。システム起動10分後を“アイドル時”、先の動画エンコードベンチマーク実施中(x265、2パス目)のピーク値を“エンコード時”、「OCCT Pelestroika 4.5.0」の“CPU Linpack(64bit、AVX、全論理コア)”テストを30分動かした時のピーク値を“OCCT時”とする。
4コア/8スレッドのCore i7-7740XとCore i7-7700Kはエンコード時とOCCT時の差が小さいのに対し、Core i9-7900XはOCCT時に一気に消費電力が増える。Kaby Lake-XもSkylake-XもAVX命令を使うと消費電力は一気に増大するが、Skylake-Xの増え方は凄まじい。
消費電力と発熱は比例するのかということで、CPUの熱をOCCT中に追跡したのが下記のグラフだ。温度計測は「HWiNFO64」を使用したが、「CoreTemp」や「OCCT」自身の温度計測でもほぼ同じ値が拾えることを確認している。ここでは全CPUコア中の最高温度と、CPUパッケージ温度をそれぞれ追跡した。
意外だったのは消費電力が一番高かったCore i9-7900Xの温度が70℃以下と出たことだ。これに対して、Core i7-7740Xや7700Kは定格運用時でも4.5GHzで全コアが回るため、温度もほぼ80℃以上。Core i7-7740Kのほうが若干温度が低いが、消費電力が低めだったことやヒートスプレッダーがCore i7-7700Kより大きいといった要因が絡んでいると考えられる。
だがそのCore i7-7740Xも5GHzにOCすると強烈に熱をもつ。特にパッケージ温度は終盤ほぼ100℃あたりで安定してしまうため、サーマルスロットリングが断続的にオン→オフを繰り返す。Kaby Lake-XをOCするのは比較的簡単な印象だが、これを飼い慣らすには強力な水冷システムが必要になるだろう。
最後に「SiSoft Sandra」の“Cache and Memory”ベンチマークも計測してみた。データ量(横軸)を倍々に増やしていった場合に、メモリーキャッシュ間でどの程度の伝送量が期待できるかを見るものだ。
ダントツの転送量を誇ったのがメモリーのチャンネル数が広く、キャッシュ搭載量も多いCore i9-7900X。Core i7-7740XとCore i7-7700Kはまったく同じカーブを描いている。OCすれば若干転送速度が稼げるが、Skylake-Xのメモリー帯域には遠く及ばないのだ。
まとめ:シングルもマルチも速いSkylake-X、本格水冷OCで迎えたいKaby Lake-X
ここで締め切りが来てしまった。半日程度しか検証できなかったが、Core i9-7900Xは消費電力が大きいものの、シングルもマルチも速いという点が印象的だった。Ryzenの登場でマルチスレッド性能が大きくクローズアップされたが、ゲームをはじめ、大抵の処理ではまだシングルスレッド性能に依存する部分も多い。
コストパフォーマンス的にはRyzen(あるいは今後登場予定のThreadripper)に分がありそうだが、金に糸目をつけず安定して速いものが欲しいという人には、Core i9-7900Xは非常に魅力的なCPUだ。Threadripperが出たら速攻で価格改定が入りそうではあるが、今すぐ最高性能が欲しければ、発売日に秋葉原に詰める価値は十分あるだろう。
一方、Core i7-7740XはOC向けのCPUと言える。定格で使うならどう考えてもCore i7-7700Kと安めのIntel Z270チップセット搭載マザーボードのコンビのほうがお買い得のはず。良品の多いES版とはいえ、倍率変更だけで5Hzが難なく動いた点は評価したいが、これを手なづけるためには冷却システムも強力なものが必要。簡易水冷どころか本格水冷が必要になるだろう。あるいは極冷で限界を攻めるためのCPUと割り切った方がよいかもしれない。
■関連サイト
インテル Core Xシリーズ

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