シャープ コードレスサイクロン掃除機
「RACTIVE Air(ラクティブエア)EC-A1R」
12月8日発売予定 想定価格6万円前後
シャープウゥゥゥゥ!!!! 日本が誇るおもしろメーカーがホンハイに買収されたことで経費節減を命じられ開発部の発想が硬直化して目のつけどころが鋭い製品が作れなくなったらどうしようハァ~などと思っていたのは杞憂だった。
シャープが10日に発表したのは重量わずか約1.5kgの業界最軽量級スティック掃除機「RACTIVE Air(ラクティブエア)」。想定価格6万円前後で12月8日発売だ。本体からパイプをはずすとハンディクリーナーとしても使える2-in-1モデル。
本体にノズルをつなげるパイプ部分がドライカーボン製で軽く片手でサッと持ちあがる。冷蔵庫の上、棚の上、シーリングライトの上などを掃除できる。軽量ボディでありながら4kgのボーリング用ボールを持ちあげられるほどの吸込力をもつ(意味不明だが、日立も前に掃除機でペットボトルを持ちあげてみせていた)。
パイプの厚みは2016年モデルの約2mmから約0.95mmに約5割ほど薄くなった。内径を絞ったことで吸気風のスピードを速くするとともに、吸込口内部をスリット状に絞ることで圧力を高めるなどの工夫によって吸引力を高めている。
ドライカーボンはカーボン繊維を織り合わせたシートを積み重ねて高温・高圧で整形した素材。ゴルフシャフトや釣りざおなどに使われている(「軽くてよく飛ぶ」などと書いてあるやつ)。掃除機の素材としてカーボンを練り込んだ樹脂素材を使うことはあったが、ドライカーボン素材だけを使ったパイプは初めてとか。
ノズルは自走式パワーノズルでスイッチを入れればブイーと前進。大きく左右にひねれてイスの脚などもよけやすく、ソファの下にも軽々すべりこませられる。
ノズルは2016年モデルと比べると幅が小さくなっているが、実は中を工夫していて吸込口の大きさそのものは変えていない。なので家具の隙間のように幅が狭いところにスイーと入りこみ、従来と同じ面積を掃除できるようになっている。
付属品の付け替えノズルは「はたきノズル」「すき間ノズル」2種類。棚の上を掃除するときはブラシ状のはたきノズルを使う。頭上を掃除するときは自然に角度がつき、重心が手元に来るため信じられないほど軽く感じる。
棚の上なんていわゆるハンディモップで掃除すればいいんじゃないのと思うが、あの手のやつは結局静電気でほこりをくっつけるだけなので取りこぼしたほこりが床に落ちてくる。サッサカやってるうちにほこりが落ちて結局それを吸うために掃除機を出してきたりすることになっていろいろつらいのだ。
ちなみにハンディクリーナー時に「はたきノズル」をつけるとパソコンのキーボード掃除ができて「すき間ノズル」をつけるとソファや車のシートが掃除できる。
本体サイズ幅222×奥行き220×高さ980mm、重量約1.5kg(ヘッド・パイプ・本体・バッテリー含む)、集じん容積0.13L。ダストカップやフィルターは取り外して水洗いできる。電源は充電式リチウムイオンバッテリーで駆動時間は標準約30分(強モード約8分)。電池は取り外して充電可能。充電時間は約80分間。
本体は自立しないが、グリップ背面にすべりどめがあるので壁に立てかけられる。同じくイスやその辺に引っかけられる「ちょいかけフック」もついている。
最近売り場でも面積が増えているコードレススティック掃除機は、もともと紙パック式キャニスター掃除機と併用する「サブ機」としての需要が多かった。わたしがまさにそうなのだが、家中の掃除は週末にキャニスター掃除機、リビングなどのごみは気づいたときにサッとスティック掃除機という使い分けはとても便利だ。
しかし市場が成長するにつれてメーカー各社は高性能・高機能モデルを出すようになってきてスティック掃除機の平均質量は2.1kgから2.5kgまで重量化。重心などバラバラなので一概にどうとは言えないが、軽くお掃除とは言えないモデルも出てきてしまった。そこでシャープは「軽い掃除機」に振って素材から開発、基本設計を見直してサッと掃除ができるホウキのような掃除機を完成させた。ちなみにラクでアクティブだからラクティブということ。
シャープは1957年から掃除機を発売してきた。2000年に日本で初めて遠心分離サイクロン掃除機を発売するなど新機軸も追ってきた。今回まさか軽いというだけでここまでテンションが上がるとは自分でも思わなかったが、目のつけどころがシャープでよかった。こういう方向で今後ともよろしくお願いします。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。来年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中。
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