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盛田 諒の「アスキー家電部」第69回

「ジュババッ……」おしっこ吸えるクリーナー『switle』初体験

2016年12月12日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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『switle(スイトル)』
シリウス
予価2万1384円 4月21日発売予定

 吸い取る姿を見ているだけで気持ちがいい。カーペットの上でぐちゃぐちゃになったヨーグルトとシリアルの混合物を掃除機でズジュブブと吸いこんでいくのは、やってはいけないことをしているような背徳的な快感さえあった。

三洋出身者が挑んだ“日の丸家電”

 『switle(スイトル)』は、キャニスター型掃除機に取りつける水洗いクリーナーヘッド。水を噴射しながら汚れを吸い取り、カーペットなどについたコーヒー、ソース、しょう油、ジャム、ペットのおしっこなどをきれいにする。予価2万1384円、4月21日発売予定。クラウドファンディングでは2割引きで予約受付中。

switle(スイトル)。おしっこが吸える
掃除機のホースにつなげて使用する

 ペットの飼い主を中心に話題が広がり、クラウドファンディングは開始30時間弱で目標金額100万円を達成した。開発元のシリウスは12月7日、東京・秋葉原で製品説明会を開催、報道・ブロガーたちにスイトル開発にかける思いを語った。

 シリウスは三洋電機のOB・OGが2008年に設立したベンチャー企業。三洋時代の経験やネットワークを活かし、たとえば弱酸性次亜塩素酸水を除菌に使う空間清浄システム「J-BOY」を開発、医療機関や介護施設向けに販売するなどしてきた。

 スイトルの原型は広島・川本技術研究所が開発した業務用水洗いクリーナー。大手中古車販売店などがシート洗浄に使っていたものを家庭用につくりかえた。デザインはパナソニック出身者が立ち上げた電動義手「handiii」のexiii、設計・製造は三洋電機クリーナー技術者が再就職した設計会社ユウキ産業に依頼した。

 製品は日本製。最近あまり元気がない“日の丸家電”を復活させたいという意気込みで開発をはじめたものだという。三洋電機は中国企業ハイアールに買われたり、パナソニックに買われたりと散りぢりになったが、いまだにサンヨースピリットは絶えていないぞということかと感じると少しうれしくなった。

シリウス代表取締役 亀井隆平社長

掃除機をオンすれば水洗い

 スイトルはウォーターピッチャーにハンドルとノズルと接続口がついたような形の製品だ。内部は汚水タンクと清水タンクに分かれていて、きれいな水を清水タンクから噴射しながら、吸い取った水を汚水タンクにためる構造になっている。

 使い方はまず本体をひっくりかえし、清水タンクにきれいな水を入れてフタをする。キャニスター型掃除機のノズルにクリーナーヘッドを接続したら、普段どおり掃除機をオンにするだけでスイトルが水洗い運転をはじめる。本体に動力はなく、掃除機の吸引力だけで汚れを吸い取り、空気と汚水を分けられるしくみ。

 カーペットの汚れにスイトルをあてると、ただちに水を噴射しながら吸い取りをはじめる。たちまち茶色い水がタンクの中で竜巻のように回転しながらたまる。水洗いをしたあとはカーペットがしっとり濡れる。本体のレバーで水を噴出せず吸い取るだけのモードに切り替え、水気を吸い取ったら洗浄終了。

 掃除機のスイッチをオフにしたら、ふたを開け、タンクから汚水と使わなかった清水を捨てれば終わりだ。本体は使い終えたあと丸洗いして乾かせる。1回あたり500mlのきれいな水を使い、最長3分間の水洗いができる。

 水を噴射しながら吸い取れる構造は、ノズル部分にある3つの穴と、タンク上部の「逆噴射ターボファンユニット」が同社の特許技術。ノズルの2つの穴から水を噴出しながら、1つの穴から水を吸い取る。逆噴射ターボファンユニットは掃除機の吸引力を使ってファンを回転させ、汚水と空気を分離するしくみだ。

水洗いのため噴射する水を清水タンクに入れる
気のせいだろうか、しびんのような形だ
本体にセットするとこのようになる
運転は掃除機のスイッチをオン・オフする
操作時はカーペットに底をつけたまま前後に動かすので疲れない
汚水と空気を分離する「逆噴射ターボファンユニット」
清水の噴射、汚水の吸い取りを同時にこなす独自構造のノズル
水の噴射オン・オフは本体前部のレバーで切り替えできる

やだ、ほんとに吸ってる……

 会場で水洗いしてみせたのは、カーペットにこぼしたコーヒー、こぼして乾いてしまったソース、ヨーグルトとシリアルの混合物だ。

 コーヒーはそのまま当てるだけでみるみる汚れが吸い取られていった。ソースは中性洗剤をたらして歯ブラシで軽くたたき洗いをしたあとに吸い取るとおもしろいように落ちていった。最後のヨーグルトとシリアルの混合物もおなじくたたき洗いをしたあと、ねっとりとした固形物まできれいに吸い取っていった。

 カーペットにべっとり落としたジャムを吸い取らせもした。中性洗剤で浮かせた汚れが簡単にきれいになっていくので通販番組のように感動したが、それ以上に「ジュバッ、ジュブブッ……」と音を立てて吸い込むノズルを見ていると冒頭のような心境になり、「やだ、ほんとに吸ってる……」という感想になった。

 匂い対策としては、前述の空間清浄システムJ-BOYで使用している弱酸性次亜鉛素酸水生成剤「除菌水の素」を使う。1包あたり500mlペットボトル1本分の水溶液が作れる粉末を清水タンクに入れて水洗いすることで脱臭効果が得られるというもの。会場ではカーペットについたイカのあたりめの匂いを消してみせた。

 掃除機ホースとの接続部分には安全装置があり、ノズルを傾けても水が掃除機に流れこむことはない。水を噴射しながら吸い取るのはノズルがカーペットなどに乗っているときだけ。通常時は水を噴射しない。試作機はノズルを水洗いを終えたとき水が垂れていたが、完成時はぴたりと止まるようにするということ。

 なお汚物の水洗いなどをすると掃除機の排気からウイルスが飛散してしまう危険もある。そのため感染性のある汚れには使わないこと、除菌した上で洗浄することなどの注意事項を製品にわかりやすく明記するそうだ。

実演販売士シュッフーすずみさん。元ヤクルトレディ。テンションが高い
はいコーヒーこぼしま~~~すドバアアアァァァァ
これこすってもねー汚れ広がるだけなんですよね~なんて言いながらゴシゴシ
はいここで出ましたスイトルいきますよ~
スイトルで、吸い取る~
はいきれいになりましたー
次はこれですねソース!油汚れなんですよねー
油汚れなので中性洗剤で汚れを浮かせていきますねー
そのあとにスイトルで、吸い取る~~
ほらどうですかみなさん落ちていきますよ~
これねヨーグルトとシリアルを混ぜたものベッチャー
これ子供がね~ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃやるんですよね~
でもこれも中性洗剤で洗ったあと、スイトルで~
吸い取っていくと~
ほらきれい!
さて汚水がタンクにたまったらですね
タンクのフタをはずしまして
このように捨てればお掃除完了、丸洗いもできます

マットレスや畳でも使える

 用途としてはカーペット以外でも使える。たとえばマットレスや畳なども洗えるという。また原理的には水洗いなので、コットン製シャツのように家庭用洗濯機で水洗いできる衣類を床などに寝かせれば汚れを落とせるとか。

 対応する掃除機はいわゆるキャニスター型掃除機。スティック掃除機やハンディ掃除機などは使えない。ちがいは吸引力の強さだ。

 キャニスター掃除機であれば、掃除機の吸引力をあらわす「吸込仕事率」が170Wと低い某社のサイクロン式掃除機であっても、逆に吸込仕事率が680Wと強すぎる某社の紙パック式掃除機であっても使える。しかしスティック掃除機は吸込仕事率が50~100W程度の製品もあり、吸引力が弱すぎて性能が発揮できない。

 実際に会場で試作機を試してみるとおもしろいほど汚れが落ちた。本体底部を床につけた状態で前後に動かすだけできれいになるので腕も疲れない。

 ただ、取り回しがやや厄介だ。サイズも大きく、スイトルではなく掃除機のスイッチをオン・オフするというのも混乱した。お手入れも少々気になった。丸洗いできるのはいいが、タンクには汚水のにおいが残らないだろうか。タンク上部のフタや構造が複雑な「逆噴射ターボファンユニット」、それから長いノズルにも汚れが残りそうに思える。量産試作機ができたら試させてほしい。

 スイトルは第一弾製品として動力内蔵版、小型版なども開発を進めたいという。せっかくの面白いコンセプトなので、第一段だけでなく今後にも期待したい。

SPEC
サイズ 幅148×奥行き506×高さ283mm
重量 本体約1.2㎏、鋼球弁パイプ130g、ホース約300g
素材 ABS樹脂ほか
タンク容量 清水タンク500ml、汚水タンク600ml
運転時間 最大3分間
動力 なし(キャニスター型掃除機に接続して使用)


■関連サイト



書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。来年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中

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