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まずは電話応答から Fintechに取り残された投資信託を変えるロボット投信

どこまで自動化できる?95兆円市場の問題点を解決

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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!

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フィンテック隆盛でもサービスは増加せず

画像提供:ロボット投信

 投資信託にこだわってサービス作りを行うのは、野口氏自身がSBI Groupに2007年から4年間、Pictet Asset Management Ltd.に5年間在籍し、状況把握の難しさを実感していたからだ。

 「自分が担当する商材の現状を把握するために、Excelを使ってデータファイルを作っていたが、担当商品総数は5800本。当然Excelも5800行にまたがるデータになるため、ファイルを開くだけでも簡単ではなかった」と野口氏は苦笑い。この経験が投資経過を分析するツール開発につながった。

 加えて、「フィンテックが盛り上がり新しいサービスがいろいろ登場しているが、投資信託関連サービスは決して活発に誕生しているわけではない」(野口氏)と状況が変わっていない領域でサービスを行うことでのビジネスチャンスを狙う。もっとも、起業したばかりの1年前は、「『インターネットが好きです! いろいろなことがしたいです!』と、自分が考えていることを伝えるメディア事業まで検討していた」という。

 「投資信託を保有した高齢者の人が困っているという話はよく耳にしていた。報告書は月に一度程度、提供されるデータはリアルタイムではなく少し前のもの。解決すべき課題はいくつもあるのに、なぜ誰も解決しようとしないのかと」(野口氏)

 投資信託に関する知識や経験があるだけに、金融機関に出向いてサービスを説明すると相手の反応は上々だという。金融機関からシステム開発会社に新サービス開発を依頼することは多いが、発注される側でも投資信託の知識は不足しているためだ。

 サービスとしては、投資信託を購入した顧客だけでなく、投資信託を販売した金融機関向けに、専用電話の利用頻度、問い合わせ内容などをまとめたレポートを提供する。販売する金融機関にとっては、コールセンターの負担軽減だけでなく、販売強化にもつなげる狙いだ。

画像提供:ロボット投信

 「我々が提供するのは、投資信託を分析したツールとデータ。金融商品に関連するデータはさまざまな領域に分かれているため、またがって分析されたデータを提供しているところはこれまでなかった。日本で投資信託を販売している証券会社は約250社あるので、サービスを安定提供していくことで、徐々に多くの企業に導入してもらうことを目指していきたい」

 投資信託市場は、日本だけで95兆円の市場規模がある。米国にはその20倍の市場規模があり、規格自体が日米共通であることから、日本で成功すれば米国進出も決して難しくないと野口氏は分析する。

画像提供:ロボット投信

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