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佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第13回

マセラティ クアトロポルテ GT Sが搭載するB&Wスピーカーを体験

佐武宇綺、エンジン音とバイオリンの意外な関係に驚く (3/5)

2015年07月16日 17時00分更新

文● ASCII.jp 聞き手●佐武宇綺
写真●Yusuke Homma(カラリスト:芳田賢明)

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エンジン音にもこだわり。フェラーリの工場で製造されるV8エンジン(ツインターボ)は、最高出力530ps/最大トルク650Nmというスペックで、最高時速307km。時速0-100kmの加速はわずか4.7秒と驚異的。ちなみにエグゾーストパイプのバルブ開閉で、エンジン音を演出する。Normalモードでは毎分3000回転までバルブが閉じられ静粛性が優先されるが、Sportモードではバルブが開き、野太いエンジン音を発する。

エンジン音に対するこだわり

佐武 今回はカーオーディオの企画です。私たち(9nine)も移動中に音楽を聴く機会が多くあります。でも人数が多いので仕事の移動はワンボックスカーが大半です。車で聴く音はそんなによくないなって、思うことも多いのですが……。

── 自動車にはエンジン音やロードノイズもありますしね。

安部 確かに。でもマセラティは、音に対するこだわりが非常に強いメーカーでもあるのです。特にエンジン音にはこだわりがあります。音は内部の空洞を伝わってきますから、どこにエンジンを置くかで音色も変わります。それを本国のエンジニアが調整するといったこともやっています。

中央大学理工学部 音響システム研究所でのテスト風景

 また、心地よい音とは何かについても研究を続けています。日本でも数年前に、科学的な分析を依頼しました。エンジン音は車種によってはうるさく感じる場合も多いと思うのですが、マセラティのエンジン音には人に高揚感を与えたり、リラックスさせたりする効果がある。なんでそう感じるのかという分析です。(資料を手渡して)その結果がこれなのですが……。調べて分かったのは、マセラティのエンジン音は、(バイオリンの名器)ストラディバリウスの音と倍音の構成が非常によく似ているという結果だったのです。

佐武 そうなのですか!!! うそ~(笑)

安部 その理由はなんだろうと考えてみました。そして思い当たったのが、ストラディバリウスが作られているイタリアの町クレモナと、マセラティの工場があるモデナは、自動車で移動して30分もかからない程度の近い地理関係にあるということです。だから作っている人の感性や想いに通じる部分があるのではないかと。

佐武 なるほど!!!!

実験では、音響心理実験による主観評価、心電波や脳血流の計測による客観評価、そして周波数分析による物理評価などを通じて、マセラティの加速音とバイオリンの音に類似性があることが分かり、その中でもストラディバリウスと特に相関が高いことが示されたという。

安部 人間の耳にはバイオリンとエンジンの音はぜんぜん違うものに聞えると思いますが、倍音が似ているというだけで、人に与える印象が心地よいものになるというのは興味深いと思います。

佐武 へぇ~。車種によって音はぜんぜん違ってくるんでしょうね。

安部 違いますね。マセラティを担当して10年以上になりますが、遠くからやってくると音だけで分かります。現行車種ではエンジンがターボになり、また違う音がするのですが。もちろん車内で音楽を聴く場合でも、いちばんほっとできるものは何だろうと考えています。実際の開発に当たったイタリアのエンジニアもその点を考慮して、B&Wのスピーカーを選んだのだろうと思っています。

佐武 お話を聞いて、どんな音がするんだろうって興味がわいてきました(笑)

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