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佐武宇綺が聞いちゃいます オーディオのココが知りたいです! 第11回

日本で唯一レコードを作れる工場、東洋化成で“いい音”を探す (1/7)

2015年04月09日 09時00分更新

文● 編集部、聞き手●佐武宇綺

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さてこれは何でしょう?

 佐武宇綺がいい音を探す旅。この連載ではプロの現場を取材しながら、さまざまな立場で“いい音とは何か”を語ってもらっています。

 スタジオエンジニアの皆様の取材が続きましたが、今回は少し趣向を変えて、国内で唯一のレコードプレス工場を取材しました。対応いただいたのは、東洋化成ディスク事業部レコード課の西谷俊介さん。原盤を作るカッティング工程からプレス工程まで一連の作業を見せていただきました。

アーティストのこだわり、そしてコレクションのために

佐武 佐武宇綺です! 今回はレコードについてお伺いしたいと思います。

東洋化成ディスク事業部レコード課の西谷俊介さん

西谷 お手やわらかにお願いします(笑)

佐武 私たちの世代だと、レコードには慣れていない人が大半だと思います。まずは実際にどういった層がレコードを使われているのか教えてください。

西谷 ファン層やリスナー層について知りたいということですね! かつては世の中にアナログのソースしかなく、レコードやテープで聴くしかないという面がありました。しかしCDなどデジタルソースが主流になった現在では“アーティストさんご自身の趣向”によるところが大きいですね。

 レコードが好きな方であれば、ファンの方にもアナログレコードを届けたいと思うのでしょう。こういったアーティスト主導で、レコードを作るケースが多かったと思いますね。

佐武 いまでもそれは変わりませんか?

西谷 はい。そういったアーティストさんは今でもたくさんいらっしゃいます。ただここ2~3年の動きとしては、年に1回、4月の第3週に「RECORD STORE DAY」というイベントが開催されるようになり、それに合わせてレコードを作りたいと考える方が増えてきました。

佐武 そんなイベントがあるんですか!?

レコードはジャケット写真も大きく見栄えするため、コレクション用に手に入れたいという人も。

西谷 はい。もともとは欧米で盛り上がってきたムーブメントで、レコード店に行ってレコードを買いましょうという動きが活発なんです。

佐武 全然知らなかったです!

デジタル全盛の時代だから生まれるパッケージの価値

西谷 もうひとつ。最近では配信で音楽を流通させる動きがありますが、そうなるとメディアレスとなり、パッケージそのものがなくなってしまいます。つまりデジタルメディアは形がない状態に進化しています。それとは逆に古くからあるモノとしての魅力というか、所有した実感が得られる媒体がほしいという声もある。結果としてアナログメディアが改めて注目を浴びている面もあると思いますね。

佐武 確かに形があれば思い出に残るというか……。でもレコードを再生する機械は価格が高かったり、ハードルが高いようにも思います。

西谷 いえ、実は高いものから安いものまでプレーヤーのバリエーションも豊富なんですよ。比較的価格が安価なものでもUSB端子が付いて、パソコンに取り込めるなど、昔のプレーヤーにはない機能を持つものも生まれていますね。

東洋化成のエントランスに置かれていたレコードプレーヤーの試作品。小型でかわいいデザインだ。

佐武 新製品が出ているんですか? 私たちの世代や音響機器に疎い世代でも、手軽にレコードの再生ができるよ、ってことなんですね。

西谷 もちろん音響にこだわりたい人に向けた製品も継続して新製品が出ています。そして昨年ごろからプレーヤー自体の販売数が再び伸び始めるという結果も出ているんです。プレーヤーが同時に売れてこそ、ソフト=レコードも広がっていきますから嬉しい話です。

佐武 そうなんですか! レコードは現在進行形のメディアだったのですね!!

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