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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第11回

豊かな低域ときめ細かい中低域

DITA「Answer」は、インイヤーの究極の“答え”となるか (2/4)

2015年06月26日 17時00分更新

文● 編集部 写真●神田喜和

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汎用品ではなく、自社開発の部品にこだわる

 DITAの特徴のひとつに、プラグ、ケーブル、ハウジングなど、ドライバー以外のほとんどのパーツを既製品に頼らずに自社開発している点がある。DITAのサイトには安易に「市場のトレンドに追従せず、音楽的な真実に対して妥協するような部品や技術を用いないこと」がブランドの哲学であると書かれている。

 言い換えるなら、成熟したダイナミック型ドライバーを利用し、ドライバー自体が持つ能力をなるべくシンプルかつ高純度に引き出すことにこだわりぬいたのがDITAの製品だ。音の要であるドライバーの振動板には超軽量で応答性が高く、かつ高剛性ものを選択。滑らかでワイドレンジな再生を狙っている。

アルミを高精度に削りだしたシャーシも特徴。

 そしてその音をよどみなく伝えるため、金属製で密閉型のハウジングを制作。航空機グレードのアルミ素材を切削加工しており、共振による音のにごりを極力排除できるよう形状にも配慮している。

 ケーブルは中心モデルのAnswerが独自開発の「The Fat」。さらに上位のAnswer Truth/Answer Truth BalancedはこのイヤフォンのためにオランダのVan den Hul社と共同開発した「The Truth」を使用している。

中央のAnswerに使われるThe Fatは一般的なラバーシースのケーブル。左右のモデルで用いられているThe TruthはVan den Hul製。編みこまれているので外見から区別できる。

 忠実に信号を伝送できることに加えて、タッチノイズの影響も少ない独自ケーブルとなる。さらにプラグ部分には、非磁性で磁場の変化によって生じる渦電流の影響を受けにくいカーボンファイバー製のプラグホールドを使用するなど、厳選した部品を用いている。カタログには使用しているハンダの種類(Van den Hul製銀ロウ/無鉛ハンダ)まで書くほどのこだわりようだ。

 考え方としてはオーソドックスで、優れたドライバーユニットを採用し、途中に生じる物理的な干渉や信号のロスを減らし、ストレートにソースの情報を届けるという生真面目なものだ。しかし、その音を聴くとそのこだわりの意味が明確に伝わってくる。

ケーブルの違いで3モデル、さらに色違いも用意

 Answer/Answer Truth/Answer Balancedの各モデルが採用するドライバーやハウジングのサイズは共通。違いは上述したケーブルと、ハウジングのデザイン(カラー)になる。ダイナミック型ドライバーの直径は10mmと大きめで、周波数特性は18Hz~25kHzとかなりワイドレンジだ。インピーダンスは16Ωで感度は102dBとなる。

大き目の10mmドライバーを使用しており低域もゆとりがある。

 Answerが使用するThe Fatはタッチノイズやケーブルの絡みを防ぐために太めのラバーシースを採用している。柔軟性、耐久性、耐候性なども配慮して、数多くの材質と染料を吟味し、選択したものだという。

 Answer Truth/Truth Balancedが使用する、The Truthについては詳しい資料がないが、DITAの本国サイトではより透明感が高くワイドレンジの再生が可能になるとうたわれている。導線が編みこまれていることから、見た目でThe Fatとの違いが分かる。黒いシースで覆われているが、ケーブルの途中に銀色の線材が一部分だけ見える部分がおり、そこに「THE TRUTH CUSTOM MADE BY VAN DEN HUL FOR DITA」という刻印もあしらわれている。

The TruthのケーブルにはVan den Hulのカスタムメイドを示す刻印。

裏側は銀色のケーブルが露出する演出。

3.5mm3極プラグと2.5mm4極プラグ

 なお、プラグに関しては4極のAnswer BalancedのみL字型で、プラグホールドもカーボン素材ではない。基本的には第2世代Astell&Kern製プレーヤーのバランス駆動を想定したものだが、φ2.5mm4極をφ3.5mm3極に変換するケーブルが付属するので一般的なプレーヤーとの接続も可能だ。

イヤーピースは素材や形状の異なる4種類。2重フランジ型以外は3種類のサイズがある。低域の表現などに違いが出る。

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