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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第67回

ドローン少年事件で考えるマネタイズの寿命

2015年06月05日 09時00分更新

文● 前田知洋

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メジャーはリスクを回避して、マイナーはリスクを好む法則

 ビジネスでも、人間でも動物でも、身体や組織が大きくなるにつれて、防衛本能も働き、寿命も長くなってきます。アリのように個体のリスクを犠牲にしても自分の何十倍ものサイズの獲物にかかっていく種もあれば、象のように比較的に穏やかに生きる種もあります。先日もNTTドコモが、物議をかもしていたキャンペーン動画を公開からたった1日で非公開にしたのも、そうした防衛上の決定でしょう。

現在の最大の陸生哺乳類、象(アフリカゾウ)。人間には聞こえない、低周波で会話することも知られている。photo nickandmel2006,CC BY-SA 2.0

 しかし、個人や小さな組織が、その種のリスクをおかさなければ成功しないという法則もありません。ジョブズやザッカーバーグが、初期にリスクテイクをして成功したエピソードが有名になったケースもありますが、それはあくまで稀なケース(「昔はワルだった」みたいな、脚本やストーリーとしては面白いですが…)。

 スタートアップ時は、ある程度のリスクは覚悟する必要はあります。しかし、それはリソースの分配などのリスクであって、「迷惑行為」や「過激さ」などのリスクではありません。

ドローンの問題点とそうではない部分

 ドローンの落下事件は、「ドローン=危険」という語り口で一般報道されることが多いのですが、ドローンが人や交通機関の上に落ちる危険性と常習的なルール無視、迷惑行為を分けて考える必要があるのは明白です。たとえば、飲酒は違法ではありませんが、「ここは飲酒禁止」ってルールがあれば、やはりそれに従う必要はあるのと同じかと。

 調べてみたら、2014年にも湘南国際マラソンで墜落。女性が頬に4センチの切り傷を負った事故がありました。おそらく、人の上を飛ばすタイプのドローンは、近い将来、軽量化や羽の形状変更、墜落防止措置を装備などの義務化などを予想しています。

 やっかいなのは悪用されるケース。先日も5つの肩書きの大臣が出席する式典に、筆者もたまたま参加しましたが、警護のSPも相当ナーバスになっている様子でした。

 いくら規制やルールを作っても、初めからそれらを無視する目的であれば別の対応をするしかありません。いわゆる、危険や危害の可能性を承知している人間への対処の問題です。

 今回はあえて15歳という要素を考慮せずに考察しました。なぜなら、ただでさえ、問題が複雑なのに、そこに若年の自己顕示欲とか、教育論、更生の話などを含めると、内容が一般化しすぎてしまいそう。そのあたりは、リベラルな専門家にお任せします。ドローン規制の話じゃなくてね。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 3.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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