2015年3月18日未明、NVIDIAは「GPU Technology Conference 2015」においてGeForceの最新フラッグシップモデル「GeForce GTX TITAN X」(以下、TITAN Xと略)を発表した。

第2世代Maxwellをベースにしたエンスージアスト待望のフラッグシップモデル「GeForce GTX TITAN X」
すでに発売済みのGeForce GTX 900シリーズと同様に、第2世代Maxwellアーキテクチャーを使って設計されたワットパフォーマンスの高いGPUとなっている。
米国における価格は999ドルと、さすがフラッグシップを名乗るだけある製品だが、NVIDIAは“最高画質のゲームを4Kで楽しむためのGPU”とうたっている。今回は、運良く評価用のリファレンスカードを入手できたので、早速その実力の程をチェックしてみたい。
回路規模はGTX980の1.5倍だが
TDPは250Wにとどまる
TITAN Xのスペックを以下の表に示した。3072基のCUDAコアに384bitのメモリーバス、さらにビデオメモリーは12GBと超リッチな仕様になっている。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
GPU | GeForce GTX TITAN X | GeForce GTX 980 | GeForce GTX TITAN Black | GeForce GTX TITAN | ||
コードネーム | GM200 (Maxwell) |
GM204 (Maxwell) |
GK110 (Kepler) |
GK110 (Kepler) |
||
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | ||
ストリーミング プロセッサー数 |
3072基 | 2048基 | 2880基 | 2688基 | ||
コアクロック | 1000MHz | 1126MHz | 889MHz | 837MHz | ||
ブーストクロック | 1075MHz | 1216MHz | 980MHz | 876MHz | ||
テクスチャー ユニット数 |
192基 | 128基 | 240基 | 224基 | ||
ROP数 | 96基 | 64基 | 48基 | 48基 | ||
メモリ転送レート(相当) | 7GHz | 7GHz | 7GHz | 6GHz | ||
メモリータイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | ||
メモリーバス幅 | 384bit | 256bit | 384bit | 384bit | ||
メモリー搭載量 | 12GB | 4GB | 6GB | 6GB | ||
TDP | 250W | 165W | 250W | 250W | ||
外部電源 | 8ピン+6ピン | 6ピン×2 | 6ピン×2 | 6ピン×2 |
GPUコアはGTX980の1.5倍、メモリーはさらにその上を2.5倍という超贅沢な仕様になっているが、それでもTDPは250W(8+6ピン)という常識的な仕様に収まっているのは、さすがワットパフォーマンス重視の第2世代Maxwellといったところだろう。
GTX980よりもクロックはやや低いが、それでもKepler世代のTITAN Blackよりも高く設定されている。今回試したリファレンスカードでは、ゲームプレイ中の実測クロックは1189.7MHz。GTX900シリーズ同様オーバークロックがしやすいことも売りになっている。
以下はTITAN XとGTX980のブロック図だ。CUDAコア128個でSMMが構成され、SMM4基でGPC(Graphics Processing Cluster)……という基本的構造は既存のGTX900シリーズとまったく同じ。GPC1基ににつきメモリーコントローラー1基(64bit分)2次キャッシュ512KBという配分も変化はない。
さて、これまでのTITANは“DPフルスピードモード”という設定を有効にすることで、通常よりも倍精度小数点演算性能を引き上げ、“安価なTesla”的な運用も可能なGPUだったが、TITAN XではこのDPフルスピードモードが削除されている。
ゲームの描画では倍精度の浮動小数点演算を行なうメリットがないため、この機能を落として3D描画性能を上げるチューニングがされていた、というのが従来のTITANファミリーだったが、TITAN Xは最初からゲーム用として設計されたためか倍精度演算性能は考慮されていない。もしTITAN XをプチTeslaとして期待していたなら、TITAN Blackを探す方が得策だ。
→次のページヘ続く (発熱には注意が必要)

この連載の記事
- 第331回 GeForce RTX 3060速報レビュー!VRAM 12GB&Resizable BAR対応のメインストリームGPUを検証
- 第330回 Radeon RX 6800 XTの性能を最も引き出せたCPUをゲーム12タイトルで検証する
- 第329回 Samsung のPCIe 4.0対応SSD「980 PRO」に2TBモデルが登場、その実力を他の2TBモデルと比較検証
- 第328回 Cyberpunk 2077に最適なGeForceはどれ?レイトレーシング最高画質で比較してみた
- 第327回 3年ぶりのモデルチェンジでSamsung「870 EVO」が最強の2.5インチSSDに
- 第326回 Cyberpunk 2077最高画質プレイに必要なRyzenとRadeonの組み合わせについて考える
- 第325回 最速Big Navi「Radeon RX 6900 XT」の未知の速さを検証する
- 第324回 Intel環境でもRadeon RX 6000シリーズのSmart Access Memoryが使えるのか検証してみた
- 第323回 GeForce RTX 3060 Ti FE速攻レビュー!DXRゲームを楽しむなら最もお買い得なGPU
- 第322回 Radeon RX 6800 XT/6800で強いRadeonが久々に戻ってきた!【後編】
- 第321回 Radeon RX 6800 XT/6800で強いRadeonが久々に戻ってきた!【前編】
- この連載の一覧へ