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新発表が続々!「AWS re:Invent 2014」レポート 第4回

クラウドを前提としたITの“再発明”、アジリティ重視、独自の企業カルチャー

「クラウドは“新しい標準”になった」AWS re:Inventを振り返る

2014年11月25日 15時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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AWSの「ユニークなカルチャー」を印象づける

 基調講演の締めくくりとして、SVPのジャシー氏は「AWSのカルチャーのユニークな点」を3つ挙げ、このカルチャーをぜひとも理解してほしいと聴衆に訴えた。同氏の発言をまとめる。

Amazonのカルチャーのユニークさとは、すなわちこの3点である

1)徹底した顧客中心主義
 「ほかのITベンダーも同じようなことを言うが、本当にそうだろうか。大半は競合の動きばかりを見ており、いつも他社がやったことの後追いになってしまう。AWSは“徹底した”顧客中心主義である。AWSのロードマップの90%は顧客からの『こうしてほしい』という要望に添ったもの、そして残りの10%は『こういう問題を解決したい』という顧客の声に応えるものである」

2)パイオニアであること
 「AWSは、カスタマーエクスペリエンスやさまざまなビジネスの『再発明』に対して建設的に取り組める人、発明できる人を重視して採用している。大手ベンダーの中には、技術買収によって最先端に追随する戦略をとるところもある。だが、とても変化の激しいこの業界においては、より多くの機能を提供し、より迅速にイノベートし、より顧客中心主義であり、より大きなエコシステムを持ち、より多くの学習機会を提供する(その分野の)パイオニア、リーダーと協業するほうが、ふつうは顧客にとって大きなアドバンテージとなるものだ」

3)長期的な視点を持っている
 「四半期末や年度末になると、業績の数字を作ろうと『こういう大きな案件はどうですか』と持ちかけてくるベンダーも多いのではないだろうか。AWSは違う。AWSは顧客との関係を重視して、長期的に実りのあるビジネスの構築に、共に取り組んでいく」

 「AWSでは顧客のリソース使用率をチェックして、使用率が低い顧客に対してはプロアクティブに『そんなに料金を支払わなくてもよいのでは』と提案している。過去数年間で260万件、3億5000万ドル以上のコスト削減を(AWSの側から)提案、実施した。そんなテクノロジー企業がほかにあるだろうか」

 AWSは、競合他社について多くを語らず、まるで意識していないかのように振る舞うのが常だ。その根本には、他のITベンダーと大きく異なる、こうした企業カルチャーの存在がある。re:Inventにおいては、AWSではなく顧客、パートナーが登壇し、他の参加者が学ぶブレイクアウトセッションが多数提供された。AWSがこうしたエンスージアスト(enthusiast、熱心な支持者)を獲得できている背景にも、このカルチャーがあるのではないか。そう印象づけられる基調講演だった。

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