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新発表が続々!「AWS re:Invent 2014」レポート 第4回

クラウドを前提としたITの“再発明”、アジリティ重視、独自の企業カルチャー

「クラウドは“新しい標準”になった」AWS re:Inventを振り返る

2014年11月25日 15時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「ITのアジリティ」を重視、マイクロサービス化への言及も

 冒頭に挙げたとおり、ジャシー氏は「クラウドは『ニューノーマル』になった」と発言した。「あらゆる規模、業種の企業において、クラウドを利用してアプリケーションを展開するのが『当たり前』のことになった」(同氏)。現在のAWSのアクティブカスタマー(1カ月以内にAWSを利用した顧客数)は100万以上だという。

 ジャシー氏は旧来のオンプレミス環境=「古い世界」とクラウドという「ニューノーマル」を、繰り返し比較して語った。そこで特に強調されたのは、クラウドのコスト効率でもスケーラビリティでもなく「アジリティ(俊敏性)」だった。ITのアジリティこそが、企業のビジネス変革を後押しし、競争優位性の源泉となる重要な要素だからだ。そしてAmazon自身も、その課題に長年取り組んで来た企業であると語る。

 「一般に、ビジネス変革を後押しする重要な要素は『アジリティ』と『イノベーション』だ。しかし、新しいアイデアを試してみようと社員が考えたときに、『古い世界』(のIT)ではサーバーの構築までに何カ月もかかってしまう。それならば、多くの社員は新しいことを試し、イノベーションを起こそうとは考えなくなるだろう」(ジャシー氏)

 クラウドの世界では、ビジネスアイデアを実現するためのITインフラを「指先一つで」用意でき、アイデアは迅速に実現可能である。ジャシー氏は、AirBnB、Spotify、Dropboxといった、この数年間に登場した「まったく新しい、破壊的なサービス、ビジネス」は、AWSがそのイノベーションの原動力になったと語った。

 「企業は、ビジネスの競争力優位性を維持するために、顧客体験をアップデートし続けなければならない」「もはや企業には、ゆっくりと動くことは許されていない。そうすれば“死のスパイラル”に陥り、競合から取り残されてしまうからだ」(ジャシー氏)

 アジリティ実現のため、今回新たにAWSが披露したのが、CodeDeploy、CodeCommit、CodePipelineという開発ライフサイクル管理サービス群、そしてDockerコンテナのAWS上での利用を促進するEC2 Container Service(ECS)である。

 2日目の基調講演でECSを発表したAWS CTOのWerner Vogers(ヴァーナー・ ボーゲルズ)氏は、アプリケーションの「マイクロサービス化」に言及した。単一の巨大な(モノリシックな)アプリケーションではなく、小さなサービス群の組み合わせで1つのアプリケーションを構成することにより、開発/テスト/デプロイという一連のサイクルをより短期間で回し、新たなイノベーションの追加やサービスの改善を容易にする。そのアジリティを下支えするのがDockerであり、AWSのインフラというわけだ。

顧客企業GILTの例。DockerとAWSを活用し、旧来のモノリシックなアプリケーション7つを300以上のマイクロサービスとして作り直した。その結果、開発~デプロイのサイクルが数週間から数分に、1日に100個ものイノベーションが生まれる環境になったという

 「アプリケーション開発においてはアジリティこそが命だ」「アジリティのコアにあるのは開発とテスト。顧客のCIOに聞くと、開発とテストにかかるコストは40~60%を占める。これを迅速化、効率化できれば、企業のアジリティが向上し、想像もしなかったような新サービス、新製品の開発につながる」(ボーゲルズ氏)

ボーゲルズ氏は「アジリティこそが命」「アジリティのコアにあるのは開発とテスト」だと強調

 前述のLambdaも、アプリケーションのマイクロサービス化を推し進めるプラットフォームの1つと言えるだろう。今後さらに、この方向でAWSのサービスが拡張されていくことが予想される。

(→次ページ、AWSの「ユニークなカルチャー」を訴える

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