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日本のITを変える「AWS侍」に聞く第7回

ブログは10年間で2000ポスト!ベテランだからこそのノウハウを聞いた

JAWSを工場で作りたい!AWSエバンジェリストのコミュニティ論

2014年10月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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米AWSのチーフエバンジェリストのジェフ・バー氏は、約10年に渡ってクラウドコンピューティングの技術や価値を世界中のエンジニアに説いてきた。今回はJAWS-UG連載の番外編として、ジェフさんにインタビュー。エバンジェリストとしての心がけ、そしてコミュニティについて聞いた。(インタビュアー TECH.ASCII.jp 大谷イビサ)

本連載は、日本のITを変えようとしているAWSのユーザーコミュニティ「JAWS-UG」のメンバーやAWS関係者に、自身の経験やクラウドビジネスへの目覚めを聞き、新しいエンジニア像を描いていきます。連載内では、AWSの普及に尽力した個人に送られる「AWS SAMURAI」という認定制度にちなみ、基本侍の衣装に身を包み、取材に臨んでもらっています。過去の記事目次はこちらになります。

書く!動く!話す!エバンジェリストってこんな仕事

ASCII.jp大谷:日本ではまだまだエバンジェリストという仕事が一般的ではないのですが、ジェフさんはエバンジェリストという仕事をどう捉えていますか?

ジェフ・バー氏:AWSのプロダクトをすべて理解した上で、いろいろは人たちに説明するのが私の仕事だ。チームの作った製品で用いられている技術要素を、お客様が理解できる言葉に訳してお伝えする。ただ単に伝えるだけではなく、聞いている側がワクワクするような情報を提供するとともに、技術的に正確でなければならない。

Amazon Web Services チーフエバンジェリスト ジェフ・バー氏

ASCII.jp大谷:具体的にはどういった活動をやっているのですか?

バー氏:主な活動はオフラインとオンラインがある。まず、オフラインでは人の前で講演することだ。昨年(2013年)はアメリカを5550マイル以上を車で縦断し、3週間で14のユーザーグループと話した。ユーザーグループのように技術に長けた人たちの前で話すのはとても楽しい。

多くの人に素晴らしい技術を説明できるというのは、エバンジェリストならではの魅力だ。人前で話をしているとき、聴衆の目を見ると、「この人には理解してもらっている」「これでなにかビジネスを始めようとしている」というのが間近に見てわかる。こうした時に、やりがいを感じる。

オンラインでは約10年間ブログを書き続けており、すでに2000以上の投稿数になっている。だいたい1日1回ずつブログをアップデートしているが、開発チームはどんどん新しいサービスを出しているので、それを情報として提供している。世界中の開発者から「単に技術がわかるだけではなく、パーソナリティが出ているブログだ」という感想をもらっている。

ASCII.jp大谷:確かにジェフさんのブログは、旅行の写真なども多いですよね。

バー氏:クラウドがマスコミに取り上げられる前からブログをやっていたが、当時からつまらないITを面白く説明するという役割があったと思う。ブログを読んでもらうことで、読者には中身に共感してもらわなければならないので、世界いろいろなところで撮った写真を入れたり、とにかくパーソナリティが出るようなものにしている。

ASCII.jp大谷:最近はブログで重要な発表をする会社も増えていますね。

バー氏:確かにそうだ。ただ、ブログはあくまで個人のもので、企業のものではないと思っている。だから会社の立場として発言するのではなく、個人の意見を語っている。

とはいえ、実際にやるのは簡単ではない。最初に書く時は、大きな筆で字を書くような感じで、会社が双肩にかかっているようなプレッシャーがあった(笑)。個性を出せるようになるのも、ちょっと時間がかかった。でも、大量に効率よく書く工夫はあくまで「練習」のみ。とにかく繰り返し書くしかないんだ。

ASCII.jp大谷:それにしても10年はすごいですね。

自分自身も10年も続くとは思ってなかったし、2000回もアップデートするとは考えも及ばなかった。ただ、Amazonには「自己批判」という文化があるので、自分のやっていることをつねに客観的に見て、よりよくするにはどうするかをつねに改良してきた。そのサイクルがよかったのだろう。

ASCII.jp大谷:なるほど。そんなジェフさんにとって、エバンジェリストとしての日々のチャレンジを教えてください。

バー氏:いくつもある。たとえば、開発があまりにも早いので、それを学習するのは大変だ。同じ日に異なる技術の人たちから話を聞いて、理解しなければならない。ビジネススピードも速いので、効率的にやるにはどうすればよいのか、つねに考えている。

「ビジネススピードも速いので、効率的にやるにはどうすればよいのか、つねに考えている」

また、ブログの読者が多いので、内容に正確を期すのも大変だ。間違った情報が一人歩きすると、それを軌道修正するのはとても難しい。だから、“正確”なのはもちろんだが、“誤解されない”ように書く必要がある。こうした点は、コンピューターサイエンスとコミュニケーションを学んできた過去の経験が活きている。

(次ページ、エバンジェリストから見たコミュニティとは?)


 

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