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麻倉怜士のハイレゾ入門講座第5回

発展途上のフォーマット、DSDの魅力を知る

2014年12月30日 11時00分更新

文● 編集部、語り●麻倉怜士

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ワンソース・マルチユース時代、制作側にも考え方が

 もうひとつ、DSDの中にはピュアでないものが多いということも問題です。

 実はDSD配信を謳っているメーカーでも、元々の録音がDSDじゃない場合もあって。例えば、ノルウェーの「2L」という高音質で超有名なコンテンツメーカーがありますが、ここは最初DXDっていうフォーマットで録るんですよ。

 DXDはリニアPCMで、352kHz/32bitの情報量を持っています。つまり、リニアPCMの圧倒的な高音質マスターであれば、あとでそれをDSDに変換してもいいし、最悪MP3まで落としてもいい。ワンソースマルチユースの考え方で、ワンソースのところを極端に良いフォーマットでやってるというケースです。

 しかし、そうは言っても、やはりこれはリニアPCMの良いものであって、DSDではない。こういうケースは結構あるので、DSDでは故事来歴が大切になるのかもしれません。

 DSDを買うときは、本当にオリジナルで録られたのかは注意したほうがいいです。逆に言えば、現在の状況で、もしオリジナルをDSDで録ってる録音は絶対“オリジナル録音”って書くでしょうから。

編集が難しいDSD、それでもエンジニアに録りたいと思わせる

 DSDは基本的に編集ができないという点が大問題で、「テイク1で録音したんだけど、間違えちゃった。そこでテイク2をやります」というとき、普通なら「片方をマスターテイクにして、間違ったところをほかのテイクから入れ替える」わけです。PCMなら「ProTools」というソフトを使ってこれが簡単にできるんですが、DSDではこれが非常に難しかったのです。

 たとえば日本の有名な録音エンジニアの村上輝夫さん。村上さんはKORGの「Clarity」というシステムを使ってDSDを編集したそうですが、まず最初にDSDをリニアPCMに変換して、ProToolsで編集点を決めて手書きのリストを作る。それを元にClarityでDSDの編集をしました。

 大変なことですよね。ただ時間をかければ、DSDの編集も可能だと言っていました。アマチュアっぽいやり方にも思えますが、出来上がった作品は見事に編集されていました。それだけ時間を掛けても作りたいのが、DSDコンテンツなのです。

 いずれにしてもいったんDSDからPCM(DXD)に変えて、またDSDに戻したり、DSDで録ったものをPCMにしてから編集したりと、間にPCMを介しているケースが結構ありますね。だから本当にピュアなDSDというのは稀です。

 DSDの良さはピュアなDSDであるから生きる面もあるので、ちょっと苦労がいるかもしれません。

 SACDは2.8MHzのDSDファイルに著作権保護技術などを加えて収録していました。現在では倍の情報量を持つ、5.6MHzのフォーマットで配信されている楽曲もあります。ただ、SACD用に2.8MHzで録ったソースをアップコンバートして5.6MHzにしている場合もあります。これはこれで問題ですね。やはり5.6MHzで録り下ろしたほうが音質的には有利に感じます。

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