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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第7回

PCオーディオという言葉の誕生からハードの変遷を知る

2015年03月27日 15時00分更新

文● ASCII.jp、語り●麻倉怜士

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 今回は「どんなハードウェアでハイレゾを楽しむか」について考えていきましょう。方法は大きくふたつあります。

 ひとつは「PCオーディオ」。USB DACという外部D/Aコンバーター機器を使い、パソコンに収載されたハイレゾファイルを高音質に楽しむ方法です。いまでこそUSB接続でアシンクロナス(パソコンのノイズを遮断する非同期伝送)再生するのが当たり前になっていますが、黎明期には良い音を出すのがなかなか難しく、苦労しました。

 もうひとつが「ネットワークオーディオ」です。ハイエンド機器を使った高音質の再生はスコットランドのLINNが切り開きました。NAS(メディアサーバー)に置いたファイルをネットワーク経由で再生する機器で、いろいろな用途で使うパソコンとは異なり、オーディオ専用の機器として設計されています。

光ディスクから、ファイル再生へ

 ではこういった機器が出てきた歴史的な経緯を話しましょう。ファイル再生によるハイレゾという概念がカチッと決まってきたのは本当にこの数年の話で、それまで高音質のフォーマットといえば、DVD-AudioやSACDでした。言い換えれば、「パッケージにハイレゾ音源を収める」ということになります。これらは次世代CDとして12cmの光ディスクというパッケージは変えず、中身の質を高めて、高い音質で再生できるようにしようという規格でした。

 ただその時点ではハイレゾのファイル再生という概念はありませんでした。

 ではファイルを扱ったHi-Fi再生という概念はいつごろから出たのでしょうか。2005年~2006年ごろだと思います。このころすごく先進的な人たちがオーディオとITの境界を乗り越えて「パソコンで音楽を扱ったら面白い」と考えるようになったのです。それまでのパソコンでは音楽を再生する機器とはまったく考えられていませんでした。効率性や合理性を追求するための機器であり、便利さが第一というものでした。

 iPodが生まれ、iTunesが登場しました。それ以前にもソニーのネットワークウォークマンは出ていました。高音質ではないけどパソコンでも音楽を扱えるという意識があった。これは主に利便性の向上が目的でしたが、多くの人がパソコンを使ってCDをリッピングし、パソコンのHDD内にライブラリーを作り、そのデータをプレーヤーに転送して聞くというリスニングスタイルが登場したのです。

 それでもパソコンでHi-Fi再生に挑戦するというのは、かなり先進的な発想だったと思います。パソコンにヘッドフォンをつないで聞く音は、そのままではとても悪い。会話をする程度なら十分だけれど、音楽を聞くには値しない、と思われていた。

 確かにパソコンの音はそのままでは悪い。でも、再生している音源はCDからリッピングしたもので、音楽CDと同じ情報を保持しているはずです。だから高級なサウンドボードやドライブを使って、制振対策にも徹底的にこだわってみよう、自分たちでパソコンの音を高音質化してみようとマニアたちは考え始めました。そして色々やってみると、パソコンでも実はものすごくいい音が出せることを発見するのです。

 そのひとりがアスキーの創業者でもある西和彦さん。「自分はパソコンの西だったけれど、今はオーディオメーカーの西だ」と、道場破りのように私の家にやってきたことがあります。機材を持ち込んで「音を聞いてほしい」と言うのです。私は「まぁいいでしょう。破れるものなら破ってみてください」と言いました。西さんは有名人ですし、100万円もするような高価なパソコンでしたが、パソコンでオーディオなんてありえないと思っていたので。でも聴いてみたら、なんとまあ素晴らしい音で、「なんですか? これは」と驚いた。

 部品を吟味して、振動対策もして、当然コストもかかっていた。振り返ってみると、まさしくいまのPCオーディオの原型がそこにあったのです。リッピングして、HDDに保存して、高音質なソフトウェアで再生。それを高品質なオーディオボードでD/A変換して、アナログ出力する……すると、ここまでのハイクオリティ音が出せると知りました。2007年ごろの話ですね。

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