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麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第6回

ハイレゾ版の松田聖子やカラヤンで、青春時代がよみがえる

2014年12月31日 11時00分更新

文● 編集部、語り●麻倉怜士

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 まずは音のよさで注目を浴びているハイレゾ音源だが、ディスクではなくファイルをそのまま再生することで、別の価値も見出せる。たとえば生中継や長時間の録音など。ハイレゾ時代、音楽の楽しみ方にも変化が生じる。そんな新しい視点を麻倉怜士先生が提供する。

ハイレゾ再生では今後どんなことを期待したいか

 やっぱり、生演奏をその場で収録したものを聴きたいですね。

 いまハイレゾと言うと、過去のアーカイブを焼き直したり、CDと同時発売するといったものが主流ですが、ハイレゾと配信のスキームを上手く利用すれば、生中継もできる。NHK FMでは、NHK交響楽団の演奏会を生中継したりもしていますが、それをハイレゾで聴きたい。

 実はネットの同時中継はすでに始まっていて、ベルリンフィルの演奏会を聴けたりもするのですが、圧縮されていて、大抵音が悪いんですね。雰囲気は分かるんだけれど、ディテールが伝わらないんです。

ベルリンフィルのDIGITAL CONCERT HALL。ライブ中継でベルリンフィルの演奏が楽しめる。

 もうひとつはCDっていう存在を考えない音楽作り。現在はまだCDが最終的なパッケージで、CDを作るためにハイレゾで録るという考え方が主流です。その延長線上で、ソースはあるからハイレゾファイルでも出しましょうという方向になっている。

 CDには時間の制限があってがんばっても80分しか収録できず、そこで区切らざるを得ない。しかし、現実の演奏会はもっと長いものも多いんですね。例えば、最近東京文化会館で12月31日の恒例行事になった“ベートーベンの全曲演奏”というものもあるんですね。9曲全部やると、休憩入れて10時間近くかかるんですよ。

 CDの制約は、最初に述べたサンプリングレートや量子化ビット数といったオーディオ的な枠もあるけれど、時間的な枠もある。これを取り払うことで、ダイレクトとことん試聴みたいな新しい音楽の楽しみ方ができるかもしれませんね。

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