このページの本文へ

麻倉怜士のハイレゾ入門講座 第5回

発展途上のフォーマット、DSDの魅力を知る

2014年12月30日 11時00分更新

文● 編集部、語り●麻倉怜士

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ハイレゾのいい音を聴きたいというのなら、専用機の購入が近道

 一方、ネットワークオーディオの方は、オーディオメーカーが頑張って自社のノウハウを取り入れて、いい音が出る機器として作られているので、初心者がハイレゾの魅力を知る近道になります。

 個人的な感覚ではありますが、普段Excelなんかを使っているPCに安価なUSB DACを付けたぐらいの環境では、100%あるうちの30%ぐらいでしょうね。ネットワークプレーヤーであれば、何もしなくても60~70%ぐらい引き出せる。


2007年秋に価格294万円で登場したLINNのネットワークプレーヤー「Klimax DS」


 ネットワークプレーヤーのさきがけになったLINNの「Klimax DS」は単体で300万円近い高価な製品でしたが、最近では10万円以下で買える国産製品も少なくありません。

パイオニアの「N-70A」。15万336円でハイレゾファイルの再生が可能となっている。

 LINNはPCMの再生のみにこだわっているメーカーですが、DSDの再生も可能で、価格も比較的手ごろな製品が、パイオニアやマランツ、デノンといったメーカーから登場しています。

スペックの注目ポイント、PCMとDSDの違いとは?

 一昨年ぐらいまでの状況であれば再生機器は、96kHz/24bitのPCMに対応していれば十分だったんですけど、去年ごろから192kHz/24bitのソースが増えてきたので、192kHz/24bitの機器がマストでしょう。

 同様にDSD対応機も昨年から急速に増えて、今年はDSD対応でしかも5.6MHzが再生できないと一人前じゃないぞという感じですね。来年は384kHz/32bitや362kHz/32bit、11.2MHzのDSDもどんどん出てくるでしょう。

 実はDVD-AudioとSACDの時代にも近い話があったのですが、SACDとDVD-Audioの違いは何かというテーマもあります。DVDオーディオのリニアPCMはとても情報量が多く、明快で明晰。細部まではっきりとした音で、解像感が高い。

 一方DSDは響きが綺麗で、肌触りが素敵で、ヒューマンな香りが愉しく、アナログ的な優しさを感じ、臨場感がすごく豊かです。どちらも良いという感じですが、実際問題としてかなり音調に違いはありますね。

 ひとことで言えば、くっきりとしたPCM、しなやかなDSD。デジタルらしさをさらに追求したPCM、デジタルでありながらアナログ的な感触を持つDSDと言ってもいい。SACDを作ったソニーはCDの限界を知ってたんですよ。CDの延長線上にあまり未来はない。だからCDとは違うものを作ろうとしたし、全く違う方式で1bitのDSD方式を取り入れたんです。

 ところが、DVD-Audio陣営の中心となった東芝はそこまでの考察がなく、大容量のDVDでCDの情報量をさらに多くしようとした。

 CDを開発したソニーがCDを否定してDSDを進め、CDをやっていなかった東芝がCDに憧れて(ビジネス的には特許料収入が欲しい)CDの拡張をしたという流れがあって、今に至るんです。

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中