Core Duo全盛期に復活を果たしたPentium
実はPentium Dual-Coreの製品が最初に投入されたのはモバイル向けであり、ベースはCore 2になる前のYonahベースのCore Duoである。
幸いというべきなのだろうが、モバイル向けはその消費電力の多さからPentium 4はほとんど採用されず、Mobile Pentium IIIを経てPentium Mが利用されていたわけで、モバイルに関する限りPentiumというブランドはそう毀損されてはいなかった。
といってもデスクトップ向けのイメージが悪すぎたこともあってか、Yonah世代でトップエンドはCoreブランドのCore Duoに切り替わったが、Yonahコアをそのまま流用した「Pentium T2060」が2007年1月に市場に投入されている。
これに続き、Conroe世代ではAllendaleの2次キャッシュをさらに半分に減らしたAllendale-1Mというコアを採用する「Pentium E2140/2160」が2007年6月に投入された。したがって、リテール市場ではPentium 4/Dと綺麗に入れ替わる形でPentium Dual-Coreが流通を始めたことになる。
このPentium Dual-Coreが流通を始めたときは、65nmプロセスでCedarMillの生産はほぼ終了しており、ややゆとりができた頃になる。それもあって、Pentium Dual-Coreやこれに続くCeleronのために、インテルはダイの差別化を開始する。
Conroeコアは143mm2のダイサイズとなっているが、下の画像からわかる通りダイの半分は2次キャッシュで占められている。
当初は複数のダイを作り分けるゆとりがなく、2次キャッシュを適当に無効化することで製品を作り分けていたが、ラインが安定してくれば最初から2次キャッシュのサイズにあわせて複数のダイにしたほうが製造原価低減や歩留まり改善につながる。
これもあって、後追いの形でAllendaleとAllendale-1Mはそれぞれ別のダイに切り替わった。ダイサイズはそれぞれ111mm2と77mm2で、Pentium Dual-Coreには77mm2のAllendale-1Mが利用された。
2008年にCore 2は45nmプロセスに移行したPenrynに切り替わり、合わせてPentium Dual-CoreもWolfdale-3Mベースに切り替わる。これも65nmの時同様に当初はPenrynの2次キャッシュを無効化した形でリリースされ、後追いで専用のPenryn-3Mに切り替わった。
Penrynは107mm2、対してPenryn-3Mは82mm2である。コード名からわかるとおりPenryn-3Mは2次キャッシュが3MBであり、このうち1MBを無効化する形でPentium Dual-Coreに利用された。
Penryn-3Mは本来はCore 2向けの仕様であるが、Pentium Dual-CoreやCeleron向けに2次キャッシュをさらに削減したダイは製造されなかった。というのは、同じ45nmプロセスを使うCore i向けに、デスクトップだけでNehalem/Lynnfield/Havendaleの3つを開発する必要があったからだ(他にサーバー向けにはJasper Forestも待ち構えていた)。
これだけ数が多いと、Penryn世代はあれこれいじらずに単一のダイを生産して仕様を変えた方が効率的である。おまけに2009年頭にHavendaleがキャンセルされ、Clarkdaleに切り替わるといった騒ぎがあったため、このPenryn-3MベースのPentium Dual-Coreは結構長く利用されることになった。
さらにインテルはCore iからプラットフォームを一新している。それは単にソケットが変わるだけではなくDDR2メモリーの非サポートも含むもので、Pentium Dual-CoreやCeleron向けとしてはややコストがかさむ変更になった。
またこのCore i世代からチップセットの構造が変わり、メモリーコントローラーやグラフィックはCPU統合の方向になったが、肝心のグラフィック統合が間に合っておらず、第一世代のCore iシリーズはグラフィック非統合の製品のみだった。これが低価格のPentium Dual-Coreにはそぐわなかったというのも、Penryn-3Mが長く使われた理由であろう。
→次のページヘ続く (価格性能比が良い製品にブランドを再構築)
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