価格性能比が良い製品に
ブランドを再構築したPentium
最終的に、2010年に入ってやっとClarkdaleベースの「Pentium G6950」がリリースされるに至る。ただこのClarkdaleの場合、CPUが45nm、GPUが32nmという2つのダイをマルチチップモジュール構成にしたもので、Penryn-3Mに比べるとかなり原価が高かったと予想される。
2011年5月に、Sandy BridgeベースのCore iシリーズが登場したのに合わせて、「Pentium G620/622/840/850」の4製品が投入された。ダイサイズは1312mmだったため、やや原価は上がっているが、マルチチップモジュール構成のClarkdaleよりは安く上がる、というあたりではなかろうか。
Core iシリーズはこれに続き、22nmプロセスのIvy Bridgeに移行したが、この22nmプロセスが結構難航したこともあり、Pentium Dual-Coreは2012年9月に発売された「Pentium G2120」が最初の製品となる。
実のところPentium Dual-Coreのような価格帯では、必ずしも22nmの先端プロセスが安いとは限らないわけで、これもあって32nmのSandy Bridgeが結構長く使われることになった。
そして2013年になるとCore iシリーズは第4世代のHaswellベースに切り替わるが、これを受けてPentium Dual-CoreにもHaswellベースの製品がやや遅れて2013年9月頃に追加される。
20周年の節目に登場した
Pentium Anniversary Edition
さらに、Bay Trail-Dベースの製品もやはりPentiumという名称で追加発売され、いきなり製品ラインが充実することになった。その最新のものが、2014年6月に発売された「Pentium G3258」ということになる。
Pentium G3258は倍率ロックフリーとなっており、そのオーバークロック特性や価格の安さで好評なのはご存知の通り。このモデルの狙いは、20周年記念と銘打って、やや冷え込みつつあるデスクトップに活気をもたらす起爆剤としたい、ということもあるのだろうが、Pentiumというブランドの再構築を狙っているのではないか、という気がしてならない。
Pentium 4以降は「Coreの下に位置する低価格製品」というブランドに堕ちていたわけだが、これを「価格性能比の良い製品」というブランドに再構築したい、という願いがこの20周年モデルには込められているように思える。
もしこの見込み違いでなければ、インテルは今後もこのPentiumというブランドを維持しながら、価格性能比が高い(ただし性能はそこそこ)という製品を投入し続けるのではないかと思われる。
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