米マイクロソフトのCEOに、サティア・ナデラ(Satya Nadella)氏が就任してから2ヵ月以上が経過した。
その間、ナデラCEOは、いくつかの新たなメッセージを発信している。そのひとつが、「モバイルファースト&クラウドファースト」という言葉だ。
その言葉通り、モバイルおよびクラウドを軸に事業を展開するという意味だが、米マイクロソフトでクラウド&エンタープライズ事業のマーケティング責任者を務める沼本健コーポレートバイスプレジデントは、「モバイルファースト&クラウドファーストは、マイクロソフトが目指す『デバイス&サービスカンパニー』という言葉を、ナデラ氏流に言い換えたもの」だと指摘する。
iPadとOffice 365、Windows無償提供で展開する
モバイルファースト&クラウドファースト
デバイス&サービスカンパニーは、前任のスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏が掲げたキーワードだ。新体制に代わって、新たな言葉を提示するのはよくあることだ。
では、ナデラ氏はどんな意図を込めて「モバイルファースト&クラウドファースト」と言い換えたのだろうか? 沼本コーポレートバイスプレジデントは、次のように語る。
「デバイス&サービスカンパニーよりも直接的に理解できるのが、モバイルファースト&クラウドファーストだといえる。たとえばマイクロソフトは、OfficeをiPad上で展開すると発表したが、これもモバイルファースト&クラウドファーストといえばより伝わりやすい」。
iPad向けにOfficeを提供する理由は、モバイル環境を実現するタブレットとして最も利用されているデバイスに対して、クラウドサービスであるOffice 365を提供するというものだ。
マイクロソフトが、対抗するiPad向けに最大の切り札となるOfficeを提供する形であるが、「モバイルファースト&クラウドファースト」という切り口で考えればまさに当然の施策だろう。
また、9型未満のデバイスに対してWindowsを無償提供するといった施策も、タブレットおよびスマートフォン市場におけるシェア拡大策という点では同様にモバイルファーストの姿勢に合致したものであり、Windowsの無償提供とセットで行なわれるOffice 365の1年間のサブスクリプションサービスの無償提供は、クラウドビジネスの拡大に向けた布石という点では、クラウドファーストのための施策だといっていい。
「モバイルファースト&クラウドファースト」という観点から捉えれば、これからのマイクロソフトの一手は、今後、かなり幅広いものになるのは確かだ。
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