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マイクロソフト・トゥディ 第93回

「クラウド、ビッグデータは使いにくい」に応えるマイクロソフト

2014年05月08日 11時00分更新

文● 大河原克行

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“インメモリ/ハイブリッドクラウド/ビッグデータの民主化”
ユビキタスコンピューティング&アンビエントインテリジェンス

 もうひとつの重要なキーワードが、「ユビキタスコンピューティング&アンビエントインテリジェンス」である。ユビキタスコンピューティングは、すでに日本でもよく利用されている言葉であり、「いつでも、どこでも、誰でも」利用できるコンピューティング環境を指す。モバイルファーストとも連動する言葉だといえよう。

 一方で、アンビエントインテリジェンスは、日本ではあまり聞き慣れない言葉だろう。

 沼本コーポレートバイスプレジデントは、「アンビエントインテリジェンスとは、利用者が意識しなくてもインテリジェンスを活用でき、スマートなエクスペリエンスを実現できるもの」とし、「ユビキタスコンピューティングによって、至るところでデバイスが利用され、そこから大量のデータが生成されることになる。これがアンビエントインテリジェンスを実現するエネルギーになる」と話す。

 デバイスから多くのデータが発生し、それらのデータを分析し、最適な解を導きだし、ビジネスの成長につなげるというのはまさにビッグデータの構図だ。その世界をマイクロソフト流に言い換えた言葉と捉えることもできよう。

 だがその一方で、沼本コーポレートバイスプレジデントは、「ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンスを結びつける点において、技術的ギャップが存在している」と指摘する。

「ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンスを結びつける点において、技術的ギャップが存在している」と指摘

 「データはたくさんあるのに、それらが使いにくいという問題がある。ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンスをつなぐための技術が必要であり、そこにマイクロソフトの価値がある」と、沼本コーポレートバイスプレジデントは語る。

 そして、技術的ギャップを埋める要素は、「インメモリ機能による高速処理」「ハイブリッドクラウド」「ビッグデータの民主化」の3つだとする。

 なかでも「ビッグデータの民主化」については、「データ分析はデータサイエンティストだけのものではなく、多くの人が利用できるものでなくてはならない」と前置きし、「ITプロフェッショナルに使ってもらえる環境だけでなく、多くのユーザーが使い慣れたExcelを利用してビッグデータを扱うことができ、Power BIによって高い表現力と共有も可能になる。マイクロソフトはそこで差別化できると考えている。これによって、ビッグデータの民主化が可能になる」とする。

ITプロフェッショナルに使ってもらえる環境だけでなく、多くのユーザーが使い慣れたExcelを利用してビッグデータを扱うことができ、Power BIによって高い表現力と共有も可能になる。マイクロソフトはそこで差別化できると考えている

Power BI for Office 365の構成

 そして、「インメモリ機能による高速処理」「ハイブリッドクラウド」に関しては、最新の「Microsoft SQL Server 2014」と、Windows Azureから名称変更した「Microsoft Azure」が鍵になると説明する。

SQL Server 2014ではインメモリ機能が「完全に統合」された。右下の事例では、既存アプリをほぼ書き換えることなく16倍高速化できたという

SBIリクイデティ・マーケットにおけるSQL Server 2014の導入効果

 こうしてみると、マイクロソフトが掲げる「デバイス&サービスカンパニー」への転換は、「モバイルファースト&クラウドファースト」でより現実的な施策へと展開し、「ユビキタスコンピューティング&アンビエントインテリジェンス」によって、他社との差異化を図ると読みとれるだろう。


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