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発売記念フォーラムでインメモリOLTPなど新機能の効果が明らかに

マイクロソフト、「SQL Server 2014」導入効果を先行事例で紹介

2014年04月22日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは4月18日、都内で「SQL Server 2014発売記念フォーラム」を開催した。米マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデントの沼本健氏による基調講演では、パートナー各社からの大容量メモリ搭載アプライアンスやサービスがアナウンスされたほか、多数の国内先行導入事例が紹介された。

基調講演を行う米マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデントの沼本健氏

SQL Server 2014アプライアンスがパートナー10社から登場

 基調講演では、国内のパートナー10社からアプライアンス「SQL Server 2014 SSD Appliance」が順次発売されることがアナウンスされた。SQL Server 2014では新たにインメモリOLTPエンジンを採用しているが、その処理を支える大容量メモリと高速ストレージを組み合わせた製品群となる。

「SQL Server 2014 SSD Appliance」のラインアップ。パートナー10社から順次提供される

 また中小規模の顧客向けには、クラウドサービスを通じた「バーチャルな形で」(沼本氏)アプライアンスを提供する。具体的には同日、ビットアイルが「ビットアイルBIサービス powered by Power BI」を発表している。これは、大容量メモリとフラッシュストレージを搭載したマシンで稼働するSQL Server 2014と、「PowerBI」アドインを備える「Excel 2013」の仮想デスクトップ環境を、データ分析プラットフォームとして提供するサービス。ユーザーはリモートデスクトップ接続で接続する形態となる。提供価格(税抜)は月額38万円から。

ビットアイルが提供する「ビットアイルBIサービス powered by Power BI」構成図

「30倍のパフォーマンス向上」など先行導入企業の事例を紹介

 沼本氏は、企業のビッグデータ活用を成功に導く鍵として、新しいSQL Server 2014の「インメモリ機能による高速処理」「ハイブリッドクラウド」「ビッグデータの民主化」という3つの進化ポイントをあらためて掲げた。これらの進化ポイントについては既報なので、詳しくは関連記事を参照いただきたい。

 さて同日の基調講演では、SQL Server 2014を先行導入した国内ユーザー企業から、これらの進化ポイントがもたらした具体的な効果が語られた。

 インメモリデータベース機能によるパフォーマンス改善については、FX取引サービスを提供するSBIリクイデティ・マーケット(SBILM)代表取締役社長 重光達雄氏が登壇し、パフォーマンスの劇的な向上について語った。

SBIリクイデティ・マーケット 代表取締役社長 重光達雄氏

 重光氏によると、SBILMでは創業以来、SQL Serverを中心としてFX取引システムを構築してきたが、インメモリOLTP機能を備えたSQL Server 2014を導入することでパフォーマンスが30倍向上した。さらに、これまで丸一日かかっていた分析処理も大幅に高速化され、「リアルタイムに近い分析が可能になった」と説明した。

SBIリクイデティ・マーケットにおけるSQL Server 2014の導入効果

 続いて、ソーシャルゲーム開発/運営企業のgloops ソーシャルゲーム事業本部 システム基盤部 マネジャーの大和屋貴仁氏が登壇し、インメモリ列ストア(インメモリ カラムストア)機能によるパフォーマンス改善効果を紹介した。

 ソーシャルゲームでは、ユーザー行動をビッグデータ分析してゲーム性を高めたり、バトル結果に基づきユーザーランキングを決定したりする処理を、常にリアルタイムに近いスピードで行っている。大和屋氏は、ユーザーランキングのデータベースにおいて、SQL Server 2008で構築していた55GBのテーブル/インデックスデータが、SQL Server 2014の列ストア機能によって20分の1の2.8GBにまで圧縮されたことを紹介。I/O負荷やCPU使用時間も削減された結果、処理時間も12分から3秒へと飛躍的に短縮されたと語った。

gloopsにおけるSQL Server 2014の導入効果

 そのほか花王の導入事例として、インメモリOLTPとインメモリ列ストアにより、従来比で数十倍のトランザクション処理/集計処理スループットが実現したことで、商品開発に活用できるデータの量や種類の制約がなくなったことが紹介された。

 「Microsoft Azure」クラウドを活用したハイブリッドクラウド機能の改善については、人材サービス会社のマンパワーグループにおける導入事例が紹介された。マンパワーグループでは、ディザスタリカバリ(DR)サイトとして物理環境ではなくAzureクラウドを活用することを選択。その結果、「想定していた10分の1のコスト」でDRサイトが実現したという。

Microsoft Azureを活用したDRサイト構築やデータバックアップ。なおSQL Server 2014では、高可用性機能「AlwaysOn」のレプリケーション先としてAzure上のインスタンスも指定可能になっている

 SQL Server 2014とExcel+PowerBIを通じて、企業内のエンドユーザー自身がビッグデータをリアルタイムに活用できるようにする「ビッグデータの民主化」に関しては、日本テレビ放送網やわかさ生活における早期導入事例が紹介された。

 日本テレビでは、テレビ放送とスマホアプリを組み合わせたソーシャル視聴サービス「Join TV」において、SQL Server 2014とPowerBIによるデータ分析環境を活用。番組制作スタッフが自らの手で詳細なデータ分析を実施できるため、番組放映後に必ずデータを検証し、次の番組制作に生かすという意志決定スキームが確立されているという。

 また、わかさ生活においては、SQL Server 2014を採用してコールセンターシステムをリニューアルした結果、注文登録時の顧客待ち時間を1分から3秒に短縮し、サービス向上につなげたと紹介された。

 「これからの事業戦略において、データ、そしてそれを支えるプラットフォームはますます重要なものになっていく。SQL Server以外の製品も含め、マイクロソフトではより良いデータプラットフォーム製品を提供すべく開発を継続し、ビッグデータの民主化に取り組んでいく」(沼本氏)

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