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大谷イビサのIT業界物見遊山第9回

高価なお買い物に見合うユースケースとは?

ソフトウェアに真価!オールフラッシュアレイは第2世代に注目

2014年01月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2014年のIT市場はどうなるか? まずはサーバーに比して活況を呈したストレージ市場について見ていきたい。2013年は、昨年に引き続き、NANDフラッシュ(以下、フラッシュ)の製品への導入が一気に進んだ年だった。特に、すべてをフラッシュで構成したオールフラッシュアレイという新ジャンルで、次々と新製品が投入された。

記録媒体を全部フラッシュ化した新ジャンルが台頭

 フラッシュの台頭がストレージ市場を大きく変革しつつある。従来、エンタープライズストレージの分野では、フラッシュは利用頻度の高いデータへのアクセスを高速化するキャッシュとしての利用がメインであった。業務データの記録媒体として利用するにはフラッシュは明らかに高価で容量も小さかったため、あくまで低速なHDDの弱点を補う存在でしかなかったのだ。しかし、価格下落と共に、フラッシュはHDDの代わりに記録媒体としてエンタープライズストレージに取り込まれるようになる。

 従来、多くのエンタープライズストレージでは、ディスクを束ねたプールの一部にSSDを導入し、アクセス頻度の高いデータをSSDに配置。相対的にアクセス頻度の低いデータをHDDに再配置することで、アクセス速度の高速化やディスク利用の効率化を図る階層化管理のアプローチが一般的だった。つまり、キャッシュ用途から保存用途へ、そして階層化管理へとトレンドが移行したのだ。

 そして、こうした状況を受け、2013年に大きな注目を集めたのが、記憶媒体をすべてフラッシュ化したオールフラッシュアレイだ。昨年は、大手のITベンダーのほか、Violin MemoryやPureStorageなどの新興ベンダーもこぞってオールフラッシュアレイ製品を投入している。

オールフラッシュアレイにも2種類ある

 ここで重要なのは、オールフラッシュアレイには、設計において2つの種類があるという点だ。HDDを単純にSSDに入れ替えた従来型のオールフラッシュアレイは、ソフトウェアがHDDに最適化されている。そのため、データ保護や階層化管理などリッチな機能を持つが、フラッシュが持つ性能面での潜在能力を活かしているとは言い難い。ネットアップでいえばFASシリーズと異なるOSを採用する「EFシリーズ」や、EMCでいえば、VNXをオールフラッシュ化した「VNX-F」などは、こうした従来型のオールフラッシュアレイに分類される。

 一方、2013年特に注目されたのが、フラッシュネイティブのストレージとも言える“第2世代のオールフラッシュアレイ”である。

 高いI/O性能や省エネなどのメリットに注目が集まりがちなフラッシュだが、ご存じの通り、ビット単価が高価で、書き込みで磨耗する、故障時のデータ復旧が難しいなどさまざまな弱点がある。最大のメリットである性能という観点でも、ランダムリードがHDDに比べて大幅に速いというだけで、シーケンシャルリードや書き込みに関しては決して高速とは言えない。

 HDDを前提とした従来型のオールフラッシュアレイでは、こうした弱点を完全にカバーするのは難しい。そこで、フラッシュに特化した設計のストレージが必要になるわけだ。具体的には重複排除によってフラッシュに書き込むデータを削減したり、既存のRAIDとは異なる独自のデータ保護技術により、容量面でのオーバーヘッドを減らすといった設計を行なっている。こうした製品の多くは汎用ハードウェアと独自ソフトウェアを組み合わせによって実現されることが多い。ソフトウェアがIP(知的資産)になる傾向は、ストレージ分野では顕著だが、オールフラッシュアレイは特にその傾向が強くなると思われる。

 こうした第2世代のオールフラッシュアレイとしては、フラッシュを前提にソフトウェアを開発したベンチャーだけではなく、先頃EMCが「Project Thunder」と呼ばれていた「XtremIO」を発表。来年にはネットアップも、オールフラッシュアレイ「FlashRay」を投入する予定となっている。各社ともスピード競争から、前述したフラッシュ自体の課題解決に焦点が移りつつある。来年はこうした部分に注目したい。

 課題はオールフラッシュアレイをどこで使うかだ。各社ともデータベースアプリケーションやVDI(Virtual Desktop Infrastructure)などの用途を挙げるが、記憶媒体をすべてフラッシュ化したオールフラッシュアレイは、既存のディスクアレイに比べてかなり値が張る。こうしたプレミアムな製品に投資して、元が取れる用途はまだ限定的。もとよりストレージベンダーもそれは理解しており、限定された導入ポイントを探すより、オールフラッシュ、ハイブリッド、アーカイブなど全体の階層化管理の一部として商材を提案していくことになるだろう。

 では、どこが導入するかという話になると、やはりインフラ全体のパフォーマンスを意識したデータセンターやWebサービス事業者になるはずだ。新しい技術はつねにこの両者が導入していくのは、2014年も変わらない。

筆者紹介:大谷イビサ

 

ASCII.jpのTECH・ビジネス担当。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、日々新しい技術や製品の情報を追う。読んで楽しい記事、それなりの広告収入、クライアント満足度の3つを満たすIT媒体の在り方について、頭を悩ませている。


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