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Violin MemoryとPure Storageの技術的な違い

新興2社のアプローチから見るフラッシュストレージの動向

2013年01月28日 07時00分更新

文● 渡邊利和

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先週はエンタープライズ向けのフラッシュストレージの国内市場参入のニュースが相次いだ。共通するのは「HDDの代わりにフラッシュメモリを利用するエンタープライズストレージ」という点だが、細かく見るとさまざまな点で違いがあり、急速な多様化が進行しつつあるようにも見える。

Violin Memoryの取り組み

 1月21日には、米Violin Memoryの日本法人としてヴァイオリン・メモリー株式会社の設立発表があった。実際には昨年6月に設立されていたのだが、日本人社長の就任のタイミングで正式発表をおこなったものだ。同社はフラッシュメモリを記憶媒体として活用し、HDDを凌駕する高速、広帯域、低レイテンシのストレージシステムを開発/販売しており、「メモリスピードのストレージ」を標榜する。

 同社の技術について説明を行なった米Violin Memoryのソフトウェア担当CTOのジョナサン・ゴルディック氏は、同社の製品をSSDベースの既存のストレージとは明確に峻別している。同氏は、同社製品を「フラッシュアレイ(Flash Array)」、他社製品を「SSD(Solid State Drive)」と呼び分けている。

米Violin Memoryのソフトウェア担当CTOのジョナサン・ゴルディック氏

 要は、HDDを置き換えるためにHDDと同じフォームファクター、同じインターフェイスを採用し、記憶媒体としてフラッシュメモリを使ったものがSSDであり、同社のフラッシュアレイは一般に「ローフラッシュ(Raw Flash)」と呼ばれるチップレベルのフラッシュメモリを集めてストレージシステムを構築している。SSDの場合、HDDと置き換えが容易でコストも安価だが、HDDを前提としたインターフェイス規格であるSATAやSCSIを介して接続される。また、アクセス手法やRAIDなどの高信頼性確保のための技術もすべてHDD用に最適化されたものをそのままフラッシュメモリに適用するため、フラッシュ本来の実力を発揮しにくい面がある。

ゴルディック氏による、フラッシュアレイ(Raw Flash)とSSDの簡単な特性比較

 一方、Raw Flashと呼ばれる手法は、Fusion-ioの製品がまず市場に投入されているので、すでにご存じの方も多いだろう。フラッシュメモリを大量に載せたPCIeスロット用の拡張カードといった外観で、標準的なディスクインターフェイスを介さず、高速なI/Oバスにストレージが直結された形になっている。HDD時代の遺産とも言えるディスクインターフェイスをバイパスして、メインメモリやCPUのごく近傍にGB~TBクラスのストレージを接続することによる高速性や低レイテンシがRaw Flash型の手法のアドバンテージとなる。

 Violin Memoryの製品は、エンタープライズ向けの外付け型ネットワーク接続ストレージの形を採る。サーバーとの接続インターフェイスはFC-SANやiSCSI、InfiniBandといった標準的なもの。その内部には、数十にも達する大量のPCIeコネクタを備えたメインボード上にびっしりと拡張カード型のストレージモジュール(同社ではVIMM:Violin Intelligent Memory Moduleと呼ぶ)が並んだ形だ。

 フラッシュメモリチップこそ東芝製のものを採用するが、VIMM上に搭載されたコントローラチップやRAIDコントローラ、システム管理モジュールなど、システムを構成する要素技術のほぼすべてが独自技術で構成されている点が大きな特徴となる。フラッシュメモリを効率よく動作させ、データの消去や書き込みを繰り返すことで不可避的に発生する損耗を平準化するなど、フラッシュメモリをエンタープライズクラスの信頼性を持つストレージシステムにまとめるには、コントローラレベルでも高度な技術やノウハウが必要となる。同社はこの部分を独自開発した上、より上位レイヤーでの信頼性確保策であるRAIDに関してもフラッシュに最適化された独自手法であるvRAIDを開発している。単純に言えば、従来のRAID技術がHDDの物理構造に最適化されているのに対し、フラッシュに最適化された新しいRAIDを用意したということになる。同氏がごく単純化して説明したところによると、RAID5ではなく、RAID3に似た手法だという。

Violin Memoryのストレージ製品は、フラッシュメモリチップからメモリモジュール(VIMM)、RAID、システム全体といった論理階層で構成されるが、東芝から供給されるチップを除くすべての階層で同社独自の技術に基づく“インテリジェンス”が実装されているという。ストレージシステムの構成要素すべてをフラッシュ向けに最適化/再構成した、という言い方もできるだろう

 同社の手法は、フラッシュメモリの特性を熟知し、それに最適化された利用技術を開発することでボトムアップ的に“フラッシュメモリに最適化された技術だけで構築されたストレージシステム”を組み上げるというものだ。

 たとえば、フラッシュの特性として、読み出しは高速だが書き込みはやや低速で、データの消去はごく低速、といった処理内容による実行時間の差が大きいという点が挙げられる。読み出し参照だけならきわめて高速だが、既存のデータの書き換えはびっくりするほど遅い、ということだ。このため同社では、双方向通信によって各モジュールの正確な動作状況をRAIDコントローラー側で把握し、効率的な負荷の分散を行なっているという。これは、基本的にはノンインテリジェントなデバイスであるHDDでは出てこない発想であり、まさに根本からフラッシュのための技術開発が行なわれていることをうかがわせる。

システム構成と主要な特徴。筐体内部はPCIeスロットの塊といった印象で、PCIe拡張カード型のメモリモジュールがぎっしりと詰め込まれている。RAIDコントローラやシステム管理モジュールもハードウェアとして実装されている

 同社製品のパフォーマンスについては、競合するようなハイエンドストレージを販売しているベンダーもベンチマーク用のための環境として同社製品を利用している点からも明らかだと同氏は語る。「Oracle Databaseのベンチマークでは、自社のExadataではなくViolin Memoryのストレージで測定が行なわれている」そうだ。まさに、競合ベンダーも認めざるを得ない圧倒的なパフォーマンスを発揮するストレージだと言えるだろう。

ITベンダー各社がベンチマークで記録達成をした際にViolin Memoryのストレージを使っていた例がこれだけあるという。HP、IBM、Oracleなど、いずれも自社製品として高速ストレージを持っている企業も速さを追求する際には同社製品を使っている、ということだ

(次ページ、Pure Storageの取り組み)


 

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