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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第128回

ホンモノを作った「ToneGarage」の開発チームインタビュー後編

真空管ならディスクリート回路、ひたすら真面目に作ったんです

2013年09月07日 12時00分更新

文● 四本淑三

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オクターブファズ「Trike Fuzz」

3オクターブの音域を持つTrike Fuzz。真空管非搭載なのでキャノピー部分から基板が見える。マイナス2オクターブの音量と、プラス1オクターブのトーンの調整が可能。トグルスイッチで3オクターブ全部を鳴らすことも

 これはアップとダウンのオクターブがミックスできるファズですね。

―― ハーモナイザーじゃなくて、大昔のオクターバーみたいな分周回路を使ったやつですね?

 そうです。あとは半波整流。アップオクターブに関しては、結構キツい音なのでトーンが効くようになっています。ダウンについてはマイナス1オクターブがデフォルトで鳴っているんですけど、それにマイナス2を加えるかどうかを、ここでコントロールできます。

―― 全部で3オクターブ出せると。

 で、これを全部ミックスすると、こんな感じに。

―― いやー、これは強烈ですねー!

 あんまり壊れすぎた音が出ないようにはしています。スムースな感じに。使いやすさを工夫してみたかなと。

2系統のアナログディレイが入った「Double Deca Delay」

コンデンサーの充放電で信号を遅らせるBBD(Bucket Brigade Device=バケツリレー素子)を使ったアナログディレイ。ショートディレイ側は最長300ms、ロング側は900msのディレイタイムを持つ。トグルスイッチでロングだけ、ショートだけ、そして両方をつないだ「BOTH」を選ぶことができる

―― そして最後はアナログディレイです。

 これはショートディレイとロングディレイを掛け合わせるというモードがあるんですけど、まずこれはショートディレイです。

―― フィードバックを上げると、いわゆるスラップバックエコーみたいな感じになりますね。

 フィードバックは、普通のエコーから発振するまで効きます。ロングディレイにするとこんな感じ。それで、このBOTHスイッチを入れると、ショートディレイがかかった上でロングがかかる。それに加えてモジュレーションの調整ができます。

実際にギターを弾きながら音の違いを教えてくれた李さん

―― ちょっとコーラスがかかったような感じになりますが。

 全体のディレイタイムを一様に揺らしてやるんです。これでディレイとコーラスとリバーブがかかったみたいな効果も出せます。ショートディレイのほうが、若干明るめ。ロングディレイはダークな感じで。フィルターの特性を変えることで、BOTHの時にいろんな特性が交じるようにしてあります。

―― 最後の2つは真空管関係ないのに同じデザインですが。

遠山 まあ、ぶっちゃけ真空管の3機種を作って、どうせだったらアナログにこだわった、何か違うものをということで。

―― じゃあ、この筐体で真空管ではないものが出る余地はまだあるということですか?

遠山 内緒ですけど、あります。

小田 リクエストしていただけたら、リクエストの多いものをですね……。

―― これでフェーザー出しませんか? ユニヴァイブ※3みたいな。

坂根 いいですね。そういうアナログ感は出していきたいです。

※3 シンエイという日本のメーカーがUNIVOXというブランド名で海外向けに販売していた製品。ジミ・ヘンドリックスがウッドストックで使っていた事で有名。設計は現・株式会社コルグ監査役の三枝文夫さん。

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