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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第3回

小型かつ高品位、ドイツから届いた純白のアクティブスピーカー

コンパクトなボディーからあふれ出る上質、ELAC AM50 (3/4)

2013年07月22日 12時00分更新

文● 編集部

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かわいらしい純白の本体だが、その音は本格派

 AM50のベースとなったBS52.2は、2011年の登場後、ELACのベストセラー機になった。小型スピーカーの開発でも評価が高い同社の本領が存分に発揮された存在である。

 その性能を限界まで引き出せるパワードスピーカーを開発することがAM50の目的だったというから、音のよさは折り紙つきだ。加えてUSB DACを内蔵し、パソコンの中に保存した楽曲の情報を劣化なく取り出すこともできる。

 机上に置いて使っても違和感がないほど小さな本体でありながら、音作りには一切の妥協がない。ELACが長年培ってきたノウハウを生かし、透明感があり柔らかなボーカルや、明確な音の輪郭、そして小型スピーカーながらしっかりと良質に低域を表現し、音量を上げれば信じられないぐらい広大なスケールで音の空間を演出できる。

 まずは幅140cmほど、奥行きが65cm程度の机にノートパソコンと一緒に置いてみる。左右のスピーカーの間隔は80cm程度。ソースは特に考えず、仕事中にヘッドフォンで聞いているボーカル曲を無造作にピックアップした。iTunes Storeでダウンロードしたり、CDをリッピングして保存したものだ。

 再生した瞬間、唖然とした。普段ヘッドフォンでは味わえない立体的で奥行きのある空間がノートパソコンの後方に広がったからだ。オーディオのレビューなどで“スピーカー”が消えるといった表現を目にすることがあるが、この小さなシステムでそんな体験ができるとは思ってもみなかった。

 AM50で聴くボーカルはさわやかで雑味がない。透明感があり見通しのいい空間の真ん中に声がピッタリと定位する。とても明瞭で聴きやすい声だ。パソコンでいい音というとまず思いつくのはヘッドフォンで、筆者も仕事の合間に音楽を聴く際に利用することが多いが、この感覚は高級機でもヘッドフォンでは味わえない感覚だ。

 コンパクトなボディーだけに机などに置き、近い位置で聴く用途をイメージする人が多いと思うが、AM50の内蔵アンプは片側25Wと余裕のある出力ということもあり、広いリビングでも十分な音量で鳴らせる力を持っている。

 AM50は左右2台のスピーカーのうち、左側のチャンネル(MASTER側)にUSB DAC、アンプ、アナログ/デジタルの接続端子、電源などを内蔵。右側のチャンネル(SLAVE側)は一般的なパッシブタイプのスピーカーと一緒で、MASTER側のアンプでドライブする。

 MASTER側とSLAVE側の接続には、一般的なスピーカーケーブルを利用するので、「長めのケーブルを用意して、部屋の左右のコーナーに離して置く」設置も可能。それではと、この記事を書くために、左右のスピーカーを2.5m以上離し、20畳弱の部屋で鳴らしてみたが、パソコン側・AM50側の音量をともに50%ほどに調節した状態でも十分な音圧が得られた。

 そしてこの音が素晴らしくいいのだ。机の上に置いて近距離で聴いた際にも感じた空間はより広大になり、音に包まれているような感覚が味わえる。AM50の音調は全体にやわらかく、調和を重視している印象だが、細かい情報も的確に拾う。

 例えばピアノの伴奏で女性が歌うある曲では、曲の最後に伴奏者がペダルから脚を外し、ダンパーがピアノ線をギュッと押さえる音が入っているのに気付く。何度も聴いたことのある曲だった、おそらく作り手はこのギュッと鳴る音で締めくくる点まで意図して楽曲を制作していたのだろうと改めて気付いた。いいスピーカーで聴くことはこういう発見がある、だからオーディオは楽しいと実感させられた瞬間だった。

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