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JAL手荷物サービスのバックボーン

空港の裏側に密着! JALの預け手荷物がロストしない秘密

2013年06月30日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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コンテナへの積み込みは機械じゃできないので人手
でもヒューマンエラーを見逃さないシステムを導入

 さてメイクのターンテーブルに届いた手荷物は、いよいよコンテナに乗せられる。が、ここは人手に頼っている。なぜなら、コンテナに手荷物を積み込む際には、なるべく重く硬い荷物、そしてトランクのような四角いものから積み込まなければ、コンテナの中で荷崩れしたり、旅客の大切な手荷物を傷つけてしまうからだ。

メイクのターンテーブルには、次々と手荷物が届く。すぐ積み込まれるトランクもあれば、ずーっとターンテーブルを回っている軽く柔らかい手荷物もある

 現状ある手荷物とこれから届く手荷物を予測、また季節柄どんな手荷物が多いのか? ビジネス客が多いのか観光が多いのかによって手荷物は大きく変わるため、荷物の積み込みや振り分けはコンピューター化できないのだ。言い換えれば、伝統工芸品の作る職人の技はコンピューター化できないのと同じで、荷捌き職人の経験とカンはプログラムに書き換えられないのだ。

コンテナ内には、このようにキレイに手荷物が積み込まれていく

 ただ人間が介入すると必ずヒューマンエラーが発生する。複数便の荷物を同時に捌いていればタグの読み違えで別の便のコンテナに乗せてしまう場合もあれば(国際線だと地球の裏側に行っちゃうなんてよくある話)、目の届かない場所にあった荷物を積み残してしまう場合もあるだろう。しかしそんなヒューマンエラーを見逃さないよいうに、トラッキングシステムが見張っている。

手荷物のバーコードを読み込む

 コンテナに荷物を積み込む際には、必ずコンテナのバーコードと荷物のバーコードをハンディターミナルで読み込んでから行なうのだ。こうしてコンテナの搭載される便名や目的地と、手荷物の便名や目的地が一致しているかがシステムに監視され、間違っていればエラーとなる。つまり沖縄行きのコンテナに札幌行きの手荷物が入ることはない。

手荷物タグのシール1枚を取る。手荷物を目的地で受けたとき、必ずシールが1枚減っている(チェックインカウンターで発行したときは3枚ある)ので確かめてみて欲しい

 またチェックインした荷物の数とコンテナに積み込んで荷物の数をシステムで把握できるので、荷物が1個足りない場合などでもすぐに分かる。つまり積み残しがないということだ。

シールをコンテナに貼り付けられている台紙に貼りつつ、コンテナのバーコードを読み込ませて、荷物を積み込む

 さらにどのコンテナには、どの手荷物が入っているかが情報として残る。そのためファイナルコール(最終搭乗案内)をしたにもかかわらず、飛行機に乗らなかった乗客の手荷物がどのコンテナに入っているかがすぐに分かるのだ。

チェックインしたのに飛行機に搭乗しなかった旅客の
手荷物は超迷惑なので乗り遅れないように!

 チェックインしたにもかかわらず、旅客が搭乗しなかった場合は、安全のためその旅客の手荷物を飛行機から下ろすことになっている。X線検査をしているので可能性は低いが、爆弾などが入っているかもしれないからだ。

ビジネスクラスの下あたりにある前部カーゴ(貨物)ドア。翼の付け根までみっちり詰まっているので、奥に入ったコンテナの荷物を降ろすのは大変な作業

 トラッキングシステムから、その旅客の手荷物がどのコンテナに入っているかはスグにわかるが、すぐに取り出せるかは別問題だ。コンテナを出し入れするドアはたいてい1つしかなく、奥のほうに入っているコンテナを取り出すには、手前のコンテナを全部出さないとならないのだ(飛行機には前後にカーゴドアがあるが、間に翼があるのでカーゴ室はつながっていない)。

エコノミークラスの翼後ろにあるカーゴドア。ちなみにコンテナ下の切り欠きは、円筒形の機体にあわせるため

 筆者は以前、搭乗率8割程度のジャンボ747-400の成田→ロサンゼルス便で乗り遅れに遭遇したが、荷物の取り出しで1時間ほど待たされたことがある。飛行中の1時間ならさほど苦でもないが、地上での1時間はとても長い。エンターテインメントシステムもないし、食事が出るわけでもない、ただシートに座って1時間待つのは大きな病院で順番待ちをする以上に辛い。

 乗務員に「いったん出発ロビーに下ろしてもらえないのか」を聞いたところ、国際線の場合ドアを閉めた瞬間、飛行機の中は運行するエアラインの国となるという。なので、再びドアを開けて出発ロビーに戻るには、飛行機自体の入国申請と審査が必要になるので、やすやすとドアを開けられないというのだ。

 ファイナルコールで乗り遅れると、とんでもない人数の旅客とスタッフに迷惑がかかるので乗り遅れには十分注意して欲しい。

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