「遊びを技術で実現する」歴史に名を刻む腕時計
これらすべての高精度でセンシティブなメカニカルパーツは、警察官やSWATの装備品でもある、クリアで軽量な「ライオットシールド」(防弾盾)に採用されているのと同じ、高強度のポリカーボネートで作られた風防で守られている。いくつかあるモデルによって多少の差異はあるが、Tread 1の腕時計全体はステンレスとチタニウムで保護され、ソフトで幅の広い柔らかめのラバーベルトを採用する。腕首への装着感もフレキシブルかつ確実だ。防水性は公称水深10m。スポーツ的な水泳や潜水には無理があるが、日常生活にはまったく支障のない防水対策処理がされている。
Tread 1の中央下に見える大きなリューズのようなツマミは、腕時計本来のリューズとは目的が異なり、機能設定の為のジョグダイヤルだ。左(時計の針の逆周り)にねじって4秒ホールドすることで、秒ベルトの動作を停止させて「消音モード」に入る。動作を復活させるには、再度同じ動作を行なう。またツマミを4秒間押し続けることで、Tread 1を完全に停止させることもできる。
停止後もバッテリーがある限り、内部では時刻を常に管理しており、同じ動作を行なうことで、現在時刻表示に復帰できる。また停止時には、時刻は12時00分を表示して停止するが、秒ベルトは1から10のあいだのどこかの位置で停止する。その値を10倍したものがバッテリ残量(パーセント)となるので、誰にでも分かりやすい仕組みとなっている。
これらのメカは、Tread 1に内蔵されたリチウムポリマー充電池により、約2週間駆動・維持される。内蔵されたリチウムポリマー充電池は、電磁誘導技術による非接触のドッキングステーション(標準付属)で、簡単に誰でも充電できる。展示・保管ケース兼用のアームに、Tread 1の背面を完全に密着するように載せて置くだけで、一晩(約8時間)で満充電となり、その後約2週間駆動する。バッテリー残量が少なくなってくると、Tread 1は自動的に秒ベルトの動作を停止して省電力モードに入るので、充電タイミングを忘れることはなさそうだ。
腕時計の歴史はまだ100年少々にしか過ぎないが、Tread 1は将来に渡って腕時計の歴史に名を刻む、腕時計のひとつとなるだろう。このように画期的腕時計が腕時計メーカーからではなく、米国の新進スーパーカーメーカーから生まれたことは驚くべきことだ。明らかに時代は変革している。
電波や衛星を活用した単に精度の高い腕時計や、腕時計とは本来関係のない宝飾をあしらった換金性の高い超高級時計、それらとは明らかに一線を画する「とにかく欲しい腕時計」である「Devon Works Tread 1」には、心からエールを送りたい。日本の腕時計メーカーにも「遊びを技術で実現する腕時計」の世界でも頑張ってほしい。
今回の衝動買い
アイテム:Devon Works Tread 1
価格:アワーグラスジャパン銀座店にて176万4000円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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