前回のコラムでは、Digital Audio Playerとしてのアップル「nano」を単なる腕時計にして楽しんでみた。しかし、一週間もただの腕時計としてだけ使っていると、やはり本来の機能である“オーディオ再生”もさせてみたくなるのが人情だ。
同じ音楽再生を目的の1つとするなら、nano腕時計から長いイヤホンケーブルを引っ張り出して袖口から首元に引き出す当たり前過ぎる方法は、もっとも避けたいリスニングスタイルだろう。長袖の時期ならまだしも、これからやってくる省エネの夏、腕時計から両耳に伸びる長いケーブルは極めて暑苦しい。
実現方法を常識的に考えると、Bluetooth(以降BTと表記)無線通信によるワイヤレス化が一番シンプルだが、小さなnanoにはBT無線通信機能が標準では搭載されていない。”困ったときのネット頼み”でほんのし少しWebを検索してみると、ありがたいことにこの世界の達人や先人が、いろいろ悪戦苦闘した結果や素晴らしい成果がたくさん転がっている。
気持ちがノッている内に、早速筆者も“nano腕時計のワイヤレス化”をやってみることにした。まず必要なモノはnano腕時計のDockコネクタに取り付け、音楽を無線で発信するBTユニットと、その無線送信データを受信して音楽再生するBT対応のイヤホンユニットの2つだ。
BTユニットは、デザイン的な好みもあるだろうが、できる限り小さく、消費電力が少なく、対応度の実績や保証のあるものが望ましいことは言うまでもない。結局のところ、筆者が購入したのは、米KOKKIAの「i10s」という型番の極めて小さなBluetooth Stereo Transmitterだ。
「i10s」は、過去から現在までのiPodやiPhone、iPadの多くに対応しており、内蔵バッテリーを持たず、電源はnanoから供給を受ける為にサイズも極めて小さい。nano腕時計に取り付けた時のバランスもけっして悪くはない。
アナログ、デジタルを問わず、音楽の再生品質や音質にもっとも大きな影響を与えるのは最終的な音を出す装置であることは、従来のホームオーディオでもモバイルオーディオでも同様だ。ホームオーディオのスピーカーに該当するイヤホンは、できることなら、販売店で実機を装着してBT環境で試聴をすることが望ましいのだろう。
しかし、普通の有線イヤホンなら試聴可能なオーディオショップもそこそこあるが、BTイヤホンはなかなか難しい。筆者もやむなく、価格帯の異なるBTイヤホンをamazonで3種類ほど購入してみた。あいにくもっとも高額なBTイヤホンが届く前に原稿を書き始めたので、ここではもっとも低価格なプラネックスのAIRSTYLEと、ロジテックのLBT-HP06の2種類を使ってみた。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。

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