すでに10年以上昔から、ケータイに押され気味で、腕時計の装着率、販売高は極めて低迷している。混迷する世界の腕時計メーカーはありとあらゆる商品企画戦略を練るが、その終着点はいつも同じで、超メカ型や宝飾型の「超高級化腕時計」路線と、安価で数量限定という“なんちゃって個性尊重型”のデザインのための「デザイン腕時計」路線の2パターンだ。
ここに来て、世界のトレンドをフォローするAndroidを採用したイタリア製の高級腕時計や、スマホと連携する周辺機器型腕時計、ヨルグ・イゼック氏の手によるメカ・イメージをTFT液晶でリアルに表示する高級腕時計の「SLYDE」など、腕時計メーカー以外の製品も含め続々と新顔が登場してきている。
これらの先行的イメージリーダーとなったのは、DAP(Digital Audio Player)であるアップルのiPod nanoを腕時計にトランスフォームするLunaTik社の「Multi-Touch Watch Band」だ。発売後速攻で購入した筆者だったが、2つの問題点があってすぐに使用しなくなった。
1つは、ウォッチバンドがゴム製で、普通に使っていても、やや粘着性のその表面はおそろしくチリやホコリを吸い寄せてしまうこと。もうひとつは、筆者がまったく無神経に購入したMulti-Touch Watch Bandのゴールド・アルミフレームがグリーン色のiPod nanoと恐ろしく色彩的になじまないことだった。
今回、筆者は、まずiPod nanoをDAPではなく、ただの腕時計としてキットアップしてみようと考え、一般的な腕時計のメタルベルトそっくりのiWatchz社の「ELEMETAL」を衝動買いした。続いて、使用中のグリーン色のiPod nanoはどう見てもELEMETALには不似合いなので、もっともELEMETALにカラーマッチングの良いと思えるiPod nanoのシルバーも同時に購入した。
今回は、音楽再生が目的ではないので内蔵メモリーも不要ではあったが、0MBのiPod nanoは販売されていないので、やむなくもっとも安い8GBのiPod nanoを購入した。ELEMETALは、ベルトが少し幅広で大きめの感じはするが、ごく普通の時計ベルトだ。「ベルトサイズ調整工具」が標準的に付属するので、余分なベルト駒を外し、自分の腕周りに合わせる調整も簡単だ。
ベルトサイズ調整が終了したら、iPod nanoのクリップを少しつまんで広げ、ELEMETALの溝に合わせてスライドしながら装着すれば取り付けは終了だ。クリップは確実にELEMETALの溝をグリップする構造なので、滅多なことで外れることはない。実際に腕に装着してみると、当初は少し大きい感じがするが、それもすぐに馴染んでくるだろう。
iPod nanoの中にはいくつかの腕時計文字盤デザインが収録されているが、以前のLunaTik Multi-Touch Watch Bandも今回のELEMETALも腕時計の全体感と、組み合わせる文字盤の雰囲気が上手くマッチするデザインとそうではないデザインが明らかに存在する。意図的な「ハズし」がどの程度のセンスに映るかは、個人差や腕時計以外の持ち物とのコンビネーションもあるのでなかなか難しい問題だ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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